元聖女の逆鱗に触れる
愚図る私に痺れをきらしたのか強引に抱え上げドスドスと歩くマール。
(もう何も考えたくないわ)
目を瞑りされるがままにした、数メートル歩いたところで私は降ろされた。
暑さはあまり感じなかった、ゆっくり目を開け自分の最期の地を見た。
「え・・・!?ここはどこ?」
マールを見上げると先へ進むように促す、どうしろというのか?
ゴッツが先にそこに佇んでいた「待っていた」とでも言うように。
そこには何本ものヤシに囲まれた湖が瑠璃色に輝いていた。
すぐそばのヤシの根元には草花が生い茂っている。
どういうこと、私が来たときはこんなものは無かったはず。
「オアシスが出来てる・・・信じられない」
ゴッツが身振りでなにか伝えようとした、私の後ろには白絹の宮殿が少し遠くに見えた。
思ったほどは遠く移動してなかったようだ。
ゴッツは何か掘るような仕草を何度も繰り返す。
「なぁに、掘ったと言いたいの?まさか井戸?」
私の問にうんうんと縦に頭を動かした、いつのまにかマールが横にきて、なにかを植えるような仕草を繰り返した。
・・・
・・・
「・・・マール、ゴッツ」
”褒めて„とばかりに2人が上気した表情を向ける、目が期待でキラキラしている。
「マール、ゴッツ・・・そこに座りなさい」
「「むぷ?」」
《す わ り な さぁあーーーーーい!!!!》
二人は私の剣幕に恐れ戦き「「ぎゃーーー!!」」というような表情をして縮こまった。
***
「いきなり拉致って人を怖がらせて・・・私はあなた達に捨てられるかと思ったのよ!」
その時の恐怖体験を涙を滲ませ責め立てた。
平身低頭で謝る二人、大きな土塊が震えているようだった。
サンディはヤレヤレ・・・というように、やんちゃ坊主の質の悪い悪戯に呆れている。
少し日焼けてヒリヒリする肌を氷で冷やしつつ、スイカジュースを飲んだ。
あぁ・・・生きているってスバラシイ・・・・
「命がけのサプライズは二度としないで!」
「「むぷーー」」ハハーーッと言うように二人は敬礼で答えた。
「ゴホン、勘違いした私も悪かったわ。でもまさかオアシスを造ってたなんてね」
「「むぷ」」
「マール、ゴッツありがとう。ここはもう悪魔の鍋なんかじゃないわ」
二人の手を取りニッコリ微笑んだ。
ゴッツとマールは嬉しそうに微笑み返した。
「ところで、3人ともいつの間に瞳ができたの?」
「「「むぷ?」」」
サンディはスカイブルー、マールはアンバー、ゴッツはフォレストグリーン。
ちなみにリモネルは地味なブラウン。
「自覚なしかー、ちょっと前までは窪み程度だったのに。とっても綺麗な色で羨ましいわ、
もし人間だったら3人とも美形だったでしょうねぇ」
うっとり妄想しているリモネルに3人は「わかりません」のポーズをしていた。
それから私達はオアシスを増やす計画を立てた、話し合いでこの宮殿を中心に囲むよう造ることとなった。
生き物が棲めるようになった悪魔の鍋に目を付ける輩が現れ、
厄介なトラブルが舞い込む事になるのは・・・ちょっと先の話。




