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異世界は突然に(仮)  作者: ルミナス
第2章 家族と魔法と喋る剣
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第18話大和、覚醒

 【スルクライ】のスライム討伐の作戦は、スライムの体に植物の種を蒔き、それを急成長させてスライムの体を植物の土台にするというものだった。全員総出で【スルクライ】の魔力を込めた種をスライムに投げつけることで、体のほとんどを植物で覆うことができたが、スライムが体を切り離すことで植物の侵蝕が止まり、触手によってギルドのメンバーのほとんどが戦闘不能になっていた。

動けなくなったものからスライムに取り込まれ、次は自分かと怯えることになり、かろうじて動けるものはもはやスライムを止めることはできないと薄々思い始めていた。

「まさか、あの体を切り離すことができるとはな…」

 イシュラは自分の計算が甘かったことを悔いていた。あの巨大な体ならコントロールできず動きも怠慢になり、植物の侵蝕速度に対抗できないと思ったからだ。だが実際は、並のスライムよりも速い速度に、対応力。単純な大きさゆえにダメージも与えられず、少し触手を振るうだけで避けきれないものが出てくるほどだ。

「しかし…なんだって急にこんな化物が現れたんだ…」

なんの前触れもなく、こんなにでかいスライムが現れるわけがないと、イシュラは思っていた。

「…一ヶ月前のやつらの仕業…?でも、腐らせる能力程度じゃあんなに急に巨大化する説明にはならないな…」

 今考えているあいだにもスライムの触手が伸びてくる。イシュラは植物を生やすことで壁にしながらも、スライムの体を侵食しようとしている。が、終わりが見えない。

(今はこんなこと考えてる場合じゃないな。こいつをどうにかしなけりゃやばい。今は耐えてる奴もいるが、このままじゃ持たない。)

 弱ったものを逃がそうにも、このスライムは逃げるものを優先に襲うのだ。どうするか…と考えたときに、視界の端に赤く光るものが見える。

(あいつは…あの時の試験で戦った小僧…とフィンネか?というか、なんだあの魔法陣は?)

 仰向けの大和の上にかぶさるようにして倒れているフィンネ。ヤマトはフィンネを抱くような格好だった。フィンネの胴体には痛々しい穴があいており、穴からは大和の服が見えた。大和の傷は見えないが、あの出血量では助からないだろうとイシュラ思った。だが、それよりも不思議なのは、血でできた魔法陣だ。魔法陣は普通、魔力で作り出すもので、他の素材を使って書くということは普通しないし、魔力を通しても反応しない。だが、そんな常識を破るかのように、あの魔法陣からは大量の魔力を感じる。




 時間が少し遡る。

 大和は意識が遠くなる中、【スルクライ】たちがここにつき、その大勢が触手に蹂躙される姿を見ていた。大和は自分よりもフィンネのことが気がかりだが、うまく体が動かない。どうにか自分の体を動かしてフィンネの姿を見たとき、大和は絶望した。フィンネの息がない。先程は意識がなかったが呼吸はあった。だが、今のフィンネからはそれを感じられない。大和はまさかと思いながらフィンネの体を触る。だが、大和はそこにあるべきものが見つからなかった。フィンネの体と思われるべき場所に急に空洞があったのだ。大和は先程自分に起きた事を考えると絶望し、意識を失う。その瞬間、大和から流れ出た血が赤く光りだし、魔法陣を作り出した。

 そして、時がもどる。血の魔法陣の光は弱々しくなる。イシュラは目の前の光景に目が話せなかった。大和とフィンネに触手が伸びる。スライムは光りだした大和に手を出せなかったが、その光が弱まったことで大和たちを取り込もうをしたのだ。だが、

「させるか!」

イシュラが魔法陣を出し、魔力を注ぎ込む。植物がスライムの触手を取り込もうとするが、

『GUOOOOOO!!!!』

声を出せないはずのスライムが吠えた。触手が2本に分裂し、そのうちの一本が植物のに触れる。イシュラの放った植物はその触手を取り込むが、もう一本には影響を与えられない。

(まずい!)

 その時、イシュラの目の前で信じられないことが起こった。

バキン!

 突然大きな音がしたと思ったら、スライムの触手が凍っていた。凍った触手は勢いをなくし、大和たちの目の前で落下する。そこには、鎧に穴があいているのに、体に傷一つない大和の姿があった。彼の右側には魔法陣が浮かんでおり、何かしらの魔法を発動したことが見てわかった。

 大和が魔法を発動すると、スライムの体の大半が凍った。炎で蒸発し、植物の侵食で切り離したといえども、まだまだ巨大なスライムの体を氷が覆い尽くしたのだ。

「…さない…」

イシュラの耳につぶやきが聞こえた。

「絶対に…許さない…俺達が何をしたんだ…なんで…フィンネを……皆を…」

キィッィィィィィン!!

大和の魔法陣のかがやきが増していく。その光は青と暗紫、その二つが混ざり合っていく。

(水と闇の光合成魔法か…今の氷はこいつが…やばいこんなこと思ってる場合じゃないのに)

彼は不謹慎だと思いながらもこう思った。

(おもしろい!)




 ――スライムは初めて死の恐怖を感じていた。本来は感情を持つことがないスライムだが、大量に取り込んだ命と桁外れの魔力、何よりも、自分をここまで大きくした原因のおかげで、少しの感情があった。先程までの感情は「喰らう」と「弱いものへの優越感」が主となり、弱ったものを喰らうほうが効率が良いと思っていた。だが、今一番弱っていたものに手を出したら、自分の体のほとんどが凍ってしまったのだ。残っている部分ではもう、大きな生物を喰らうことができない。スライムは核を分離し、逃げようと考えた。だが、もう一度襲った冷気によってスライムの体は完全に動かなくなった。

(シニタクナイ)

 スライムにはそんな気持ちがよぎったが、スライムを絶対に殺すと思うものが、それを許さなかった。




 大和は二度目の合成魔法を放つ。水と闇えお合成しての氷魔法。スライムの水分を多く含む体にはよく聞いた。体の中でも一際赤く輝く所がおそらく核だろう。そう思った大和はミスリル銀の剣を抜き、飛んだ。

 凍ったにもかかわらず、スライムは体を動かそうとしていた。

「これで終わりだ。本当はこんなもんじゃ済まないが、シネ」

大和は剣を振りかぶると、凍った体ごと核を切り払う。赤く輝いた核は切られた瞬間に溶けてしまった。溶けた跡には何も残らない…そう思っていたら、剣が出てきた。片刃で柄が長い。長巻のような形をしていた。

大和は訳がわからなかった。スライムの核を切ったら突然剣が出てきたのだ。だが、そんな大和をさらに混乱に陥れることになる。

『助かったぜ兄ちゃん。お礼に一つだけ願いを聞いてやる。』

 剣が…喋ったのだ。


文章力が足りない…。ここまで読んでいただきありがとうございます。

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