第11話飯は常に食べられるとは限らない
「これがヤマトの取り分だ、また機会があったらよろしく頼むぜ」
俺はグエンから今回の依頼の取り分5000Cを受け取る。今回討伐したのは18頭で、1頭当たり追加で500C報酬が増えたのだが、俺は授業料としていらないといった。まあ、今回の授業料としては安すぎるが。このあと運んだ肉と毛皮を売りさばくそうだが、俺の取り分はないらしい。報酬外だからな、確認しなかったお前が悪いと意地悪い顔で言ってきた、構わないけど。とりあえず早く帰ることにした。お腹もすいたし。
「ああ、ありがとう。今回は本当に勉強になったよ、ありがとう。あんまり役立てなくてごめんね…」
「いや、取り逃がしたゾウサギを狩ってきたのはとてもありがたかったぜ。1頭でも逃すと仲間に伝えてあのあたりに現れなくなっちまう。それに、一匹あたりの戦闘力も高いから、俺たちじゃダメだったかもしれないし。」
「そうだったのか…でも、手負いだったし。」
「魔獣は手負いが一番やばいんだ。何か抵抗されなかったか?」
抵抗…ゾウサギが鼻で突いてきたが、あれは手負いのせいか速度がなかったからな。
「特になかったかな」
「それは運が良かったのかもしれないな。次からは気をつけとかなきゃな」
…言う時間はなかったけど、言って欲しかった。あとでそんなこと言われると怖くなる。まあ、知らない自分が悪いんだが。
「うん、わかった。じゃあ御飯を食べに帰るよ」
「お、じゃあな!俺たちは肉売ったら飯食いに行くよ」
そう言って俺たちは分かれる。俺はギルドから出ると、宿に戻る。食堂も新しい食材用意しただろう。そう思っていたのが甘かった。
「今日は食堂を利用できない…」
宿屋に戻ると、食堂の扉に張り紙があった。「食料がないため、本日は食堂を利用できません。ご迷惑をおかけします」困ったな。まあ、外で食べればいいかと思い、空腹で痛くなってきたお腹をさすりながら外に向かう。商店街に向かうと、なぜか食べ物の屋台が見当たらない。飲食店もことごとく閉店している。一体何が?俺は薬屋のおっちゃに話を聞きに行った。
「おっちゃん、なんか今日飯にありつけないんだけど」
「ああ、いろいろな店で食べ物だけが傷んで、食料がないらしい」
「え?なんで?」
「多分だが、魔法でこの事件を起こしている奴がいるのだろう。魔法でもないと、こんなに大量の食料が一気に痛むなんてことはない」
「いったい誰が…」
「わからん。食料の値をあげたい商人の仕業かもしれんし、復讐、または愉快犯かもしれん。夕方には近くの街から食料が届くから、それまでは辛抱だな。」
「こんなことするなんて、許せない!」
「ああ、許されないな。商売の街でこんなことをしたんだ。死罪は確定だろう」
何か俺とおじさんはずれている気がしたがまあいい。おじさんは自分のヒゲで遊ぶと俺に向かって、
「ところで、俺がこんだけ話したんだ。何か買ってくよな?」
俺は毒消しを買った。こんな時でも商売を忘れないおじさんさすがっす。
俺は考えていた。飯が夕方まで食べられないのは間違いない。問題はそれまでどうするかだ。空腹で依頼を受けに行っても動ける自信がない。かと言って、宿屋に戻っても何かできるわけじゃない。俺は消極的にギルド近くにぶらつくことにした。ギルド近くは景色がいい。まず目に付くのは噴水だ。水晶で組まれており、遠くから見ると水が浮かんでいるようにも見える。仕組みは分からないが、真ん中に設置された棒から水が吹き出し、しぶきが空気を覚ましてくれる。この噴水の水は飲用にも出来ると、噴水近くの看板に書いてある。やはりこういうのは、魔法の力でできているのだろうか。次に目に付くのは、石の壁、木の扉、水晶の窓、鉄の柱。この街で使われている建物の素材を全て使っている建物だ。どうやら建築屋のようで、この街の建物は大体1つの素材で全て作られていることが多いのだが、この建物はそれを全て使いこなしている。噴水はどうやらこの建築屋が設計したもののようだ。この看板に書いてある。というかこの看板便利だな。
その後も近くをぶらついていると、怪しい人影を見つけた。俺はなんとなく気になり、あとを追いかける。見つかったら「道に迷いました!」とでも言おう。人影は裏路地に入り、人目につかないところに行く。人影はゴミ置き場のようなところに行き、そこにいた男と目を合わせていた。
「誰にもつけられなかっただろうな?」
この男は狐のような耳を持っていた。獣人だろうか?顔まで怪我生えている。
「ああ、それらしい気配は感じない。」
俺が追いかけていた男は、普通の人間だった。ただ、フードをかぶっており、顔が見えないようになっている。
「ならいい、次の食料は夕方にこの街に届く。これをどうするかだ」
…なんかきな臭い会話だ。俺は今すぐこいつらを通報するべきじゃ…でもいなくなったらなあと思い、話を聞く。
「街の中に入ってから腐らせればいい。検問所で待ち伏せというのはどうだ?」
「それで行こう。じゃあ今から準備をす…誰だ!」
狐耳の男の耳が大きく動く。小さな音でバレてしまった。今すぐここから離れようとした際、近くのゴミと、腰につけた剣がぶつかってしまい、音を立ててしまった。
「見られちまったならしょうがない…シヤキミゴ!捕まえるぞ。」
「ああ、任せな。」
そう言って、フードの男が魔法陣を浮かべる。やばいと思った素直に逃げることにした。が、突然足元が沈み、転んでしまった。
「おとなしくしてたら命は助けてやる。まあ、抵抗すれ…」
俺は魔法を使うことにした。昨日の感覚をお思い出す。空腹のせいか、魔力が流れているのがよくわかる。俺はありったけの魔力を、魔法陣につぎ込み、とにかく水を出すことをイメージした。
「魔法使いだと?しかもこの魔力…おいやめろ!」
狐耳の男が吠える。フードの男の魔法陣が光る。だが遅い、俺の魔法はもう発動している。
フードの男が突然現れた影を不思議に思い空を見ると、大量の水の塊が浮かんでいた。
「な、こんな量の水をなんでこんな短時間で…!?」
俺は水から意識を離す。すると、空中に浮かんでいた水が落ちてくる。俺を巻き込むけど仕方がない。俺は落ちてきた水に流されると、意識を失った。
明日は更新できるかわかりません。それと、土日の間に今までの話の修正をするかもしれません。




