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廃ダンジョン産スライムが売れた日

まずはもちろん、エドワードさんのところに持っていく。


「こんなことがあるのか……」


エドワードさんがバケツで持ってきたA級に目が釘付けになっていた。


「これ、売ってくれませんか?その売上で、前にC級をもらった分を精算してほしいです」


「これは……売れない」


「そん……」


「お前が売れ」


エドワードさんが立ち上がった。


「紹介してやる。いくぞ」


俺も立ち上がった。


「どこに行くんですか?」


俺は聞いた。エドワードさんは立ち止まらない。


「ドラゴン牧場だ」


俺はエドワードさんに付いて外に出た。


――荷車を引いてドラゴン牧場にたどり着いた。


ドラゴン牧場に来るのは久し振りだ。柵のどこかが壊れてるのも含めて、変わりがない。


俺とエドワードさんは、ドラゴン牧場のオーナーさんと面会していた。


「今日はこいつから話があります」


エドワードさんが俺を押してくれた。


「ご無沙汰してます」


「エドワードさんから話は聞いてるよ。で、いいデキになったかい?」


「前と同じですが、C級の40%をここまでにできます」


バケツの中のスライムを見てもらった。


「B級だね。ちゃんとできてる。ただ……」


オーナーさんが俺に顔を向けた。言いたいことは分かります。これだと前と同じですよね。


「これだけだと前と同じですが……」


荷車に視線を移した。オーナーさんも荷車を見た。


「5杯あります」


オーナーさんがうなった。


「増えたね。しかも厳冬期に」


寒くなるとスライムが獲れなくなるのは、スライム猟師やドラゴン牧場のような人たちの共通認識だ。説明なしで済んで手っ取り早い。


「いかがですか?」


「このバケツのと同じ品質なんだよな?全部買おう。いくらだ?」


「通常料金からハチガケで頂ければと……」


「2割引きか。いいだろう」


商談はあっさり終わった。


――うまくいった。


俺たちはドラゴン牧場を辞した。俺は得意気に空の荷車を引いて歩いた。


「よくやったな」


エドワードさんが褒めてくれるのは、かなり珍しい。


「ありがとうございます!」


喜んでお礼を言った。


「これからは、お前一人でドラゴン牧場に納めに行け」


こうやって、自分の商売を分けてくれるのだ。


「ありがとうございます!」


俺はもう一度お礼を言った。


「いや俺は何もしていない」


エドワードさんはそう言うが、絶対違います。エドワードさんが面倒を見てくれたからスライム畜養ができたんです。


そして、ドラゴン牧場に連れていってくれたから、直接取引ができるようになったんです。


色んなことを沢山してくれたからなんです。


――そう言おうか言わないでおこうか迷った。


そして俺は言った。


「ありがとうございます!」


「お前はそれだけしか言えないのか?」


エドワードさんが少し笑った。


そうです、頭の中が整理できてないので、これしか言えないんです。


「ただ……」


俺は呟くような細い声で言った。


「どうした?」


「これ、畜養ですから養殖にはなっていません」


エドワードさんが首をかしげた。


「それが困るのか?」


「最後には養殖をさせたいんです。幼生から育てて、効率よく高品質のスライムを育てたいんです。廃ダンジョンで畜養はできました。たぶん、養殖にも応用できます。もう少し頑張れば……」


「ちょっと待て。落ち着け」


あっ。待たないと。落ち着かないと。


俺は一度深呼吸をした。


「もう一度言います」


「おう」


俺はゆっくりと話し出した。


「成体を捕まえてエサを与えるのが畜養で、もっと小さい頃から育てるのが養殖です」


「今のは畜養だな?」


俺は頷いた。


「そうです。今度は養殖をやりたいんです。というか畜養は養殖の準備でした」


「ほう。それで、目処が立ったということか?」


今度は力強く頷いた。


「はい。エサはだいたい分かりました。それに廃ダンジョンだと厳冬期でも畜養ができるのは分かりました。養殖まで行けそうです」


「ふむ……」


エドワードさんは、ほんの少し考えたが、すぐに続けた。


「……じゃあますます畜養に精を出さないとな。俺はC級を獲ってくればいいんだな?」


「いやそんなことさすがに…」


エドワードさんを手先みたいに扱うなんて俺にはできない。


「いや、お前が相手でも売るぞ。商売だ。ちゃんとカネを払え」


「はい。そうします」


変な同情とかはいらないし、変な応援もいらない。むしろ、適正な請求があった方がいい。


「そうだ。今回売れたんだから、二週間ほど前にC級を売った分のカネ払え」


――忘れてた。


お読み頂きありがとうございます。


全15話の第10話でした。


「俺」は攻略済みダンジョンで畜養に成功したようです。

そしてエドワードさんのお得意さんで、何度が出てるドラゴン牧場に、エドワードさん紹介で売りに行きます。

エドワードさんがとことんいい人になってる。


この後もエドワードさんいい人です。


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よろしくお願いします。


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