十五 邂逅の事
お嬢様に言われて、棒があるという所まで戻ってみると、お嬢様が、下ろして欲しいといったので、下ろしてやったんだニャン。
「これです。これ。ほら。やっぱりあった。これは何ですかね? こんなの、私、今までに見た事がないです。チコ様は、見た事がありますか?」
大きな木に立てかけられて? いた細い木の棒を、お嬢様が指差したんだニャン。
「見た事ないんだニャン。確かに? この辺に? ある木の枝じゃなそうなんだニャン。けど、これ、捨てて? 行ったんじゃないのかニャン? だって、こんなの何の役にも立たなそうなんだニャン」
お嬢様が、木の棒を手で持ったんだニャン。
「何ですか? これ? スカートの裾に、何かが引っかかって。それに、良く見ると、透明な糸? ですかね? それに、この、色が付いている小さな玉みたいな物は何でしょうか?」
お嬢様が、言ってから? スカートの裾? に引っかかった何かを外そうと? し始めた? ニャン。
「やっぱり、そんな変な物、捨てて行ったんだニャン。そんな事より、チコは、聖を探しに行きたいんだニャン」
「私もなんだか、そんな気がして来てしまいました。何に使うのか、ちょっと、興味も湧いてますけど、さっきから、もう。何なんですか、これ? こんなに小さいのに、凄く尖っていて、それに、先の所に、小さなでっぱりみたいなのがあって、それが邪魔をして、引っ張っても抜けません」
お嬢様が、スカートの裾に引っかかったのが取れなくって? ちょっと、怒ってるっぽいんだニャン。
「もう良いニャン。チコが取るニャン。今のチコなら、きっと、なんでも壊せる? と思う? んだニャン」
「でも、壊してしまったら、持ち主さんが取りに来た時に、困ると思います」
「じゃあ、お嬢様は、そのまま、その変なのをくっ付けたまま? 帰れば良いニャン。それで良いのかニャン?」
「後、ちょっとだけ」
お嬢様が、引っかかったのを取る事に集中? し始めたんだニャン。
「お嬢様~。お嬢様~。どこですか~? お嬢様~」
「セバソが何か言ってるんだニャン」
「セバソティアン。おいていってごめんなさい。でも、何もないのなら、来なくって良いです。貴方は、馬車の所で、待ってて下さい」
「そうはいきません。お嬢様に何かあったら、このセバソティアン、亡きご当主様と奥様に、顔向けできません。とにかく行きます。そこから動かないでいて下さい」
お嬢様が、深い溜息? を吐いて? また、引っかかったのを取ろうとし始めてから、ちょっとして? セバソティアンが来たんだニャン。
「お嬢様。それは? 何をしてるんですか?」
「この変なのが、スカートの裾にひっかかってしまって。取れないんです」
「どれどれ。このセバソめが。お嬢様。失礼してよろしいですか?」
「セバソティアン。ありがとう。では、お願いします」
「お任せ下さい」
……。
……。
「なんでしょうか、これは。取れませんね」
セバソがチコの方に、顔を向けて来たんだニャン。
「なんだニャン?」
「チコ様。チコ様はとてもお強いお方です。この、小さな、金属でしょうか。この部分を折る事は、できないでしょうか?」
「たぶん? できるニャン。でも、お嬢様が、壊すのは駄目だって言ってたニャン」
「だって。壊してしまったら、持ち主さんが取りに来た時に、困ると思って」
「お嬢様。これが何に使う物かは分かりませんが、この森の近くにはエルフや妖精などが住む場所があると聞いた事があります。ひょっとすると、これは、そういう者達の持ち物なのかも知れません。そうなると、ただの道具ではなく、魔法道具か何かなのではないでしょうか。そうなると、壊しても、すぐに直ったり、もしくは、壊せない、という事もあり得ます。壊せない場合は、このまま持ち帰るしかないという事に、なってしまいますが」
「エルフや妖精ですか。妖精の事は良く分かりませんが、エルフだと、狩りに使う道具か何かかも知れません。この、引っかかる部分で、何かをひっかけて取るとかでしょうか」
「この森で、そんな小さな物で引っかけられるのは、葉っぱくらいなもんなんだニャン。そんなに壊すのが嫌なら、スカートの方を切ってしまえば良いニャン」
あれれ? ニャン? 棒と、透明な糸? と、この変に曲がった小さな引っかかる物? どこかで見たような事がある気がして来た? ニャン?
チコがそんな事を思っていると、馬車がある方向? から、たぶん、さっき、お嬢様やセバソを襲っていたのと同じ奴ら? っぽい感じの獣? の鳴き声がして、何匹か? が、こっちに走って来ている気配? と音が聞こえて来たんだニャン。
チコは、すぐにお嬢様とセバソの方に、顔を向けたニャン。
「二人とも安心? するニャン。またチコが、ちょちょっと? やっつけてやるんだニャン」
言ってから、チコは、気配と音がする方に、顔を向けたニャン。
それから? 少しの間? 時間が止まってる? みたいな、静けさ? があってから、何匹かが、一気に? チコ達の周囲? 三ヶ所とか四ヶ所とか? 色々な方向から襲いかかって? 来たニャン。
猫パンチ、猫パンチ、猫キック、ニャン。良い感じニャン。このままの感じで、猫パンチと猫キックでやっつけて行くニャン。
「お嬢様。危ない」
「セバソティアン」
駄目だニャン。あの一匹は、ちょっと遠いんだニャン。このままでは、間に合わない? あっ、ニャン。良い棒があるじゃないかニャン。
チコは、咄嗟に? お嬢様が見付けたあの棒を掴む? と、それで、思いっ切り、あの犬なのか、狼なのか分からない、謎の獣を叩いた? んだニャン。
獣に棒が当たると、獣が怯んだ? のと同時? に、ボキッ、ビリッ、と変な音がして、棒が折れちゃったんだニャン。
でも今は、棒よりも、お嬢様なんだニャン。チコは、棒を投げ? 捨てると、怯んでた獣に猫キックをお見舞い? してから、お嬢様を抱えて、木に登った? んだニャン。
「チコ様。任せて下さい。地上に残したという事は、このセバソめも、一緒に戦えという事ですな。さあ、獣ども、どこからでも、かかって、ああ~ん。あへぇぇぇぇ。転んでしまって、足を、やってしまったようです」
「お前? 何をやってるんだニャン。地上に残した? のは、ただ忘れてただけニャン」
チコは、お嬢様を木の枝に引っかけてから、セバソを取りに戻って、また木に登って、セバソも木の枝に引っかけたんだニャン。
「二人はそこで待ってるニャン。ちょっと、そこら辺? を探して、あの変な獣達がいたら、皆殺しにして来るんだニャン」
また、たくさん殺しちゃったんだニャン。でも、しょうがないんだニャン。……。しょうがない? ニャン? チコは、なんでこんな事を、考えてる? んだろう、ニャン。チコは、そんな事を思いながら、木から下りたんだニャン。




