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いつでも邪魔は突然に

横河美波


『みんな~、今日の私頑張ったよね~?』


『頑張った!』


『ママすごい!』


『準備も頑張ってた!』


『ママは最高です!』


『イカすぜ!ママ!』


『私いっぱい我慢できたよね!』


『できてた!』


『忍耐の塊だよ!!』


『ママにしかできない!』


『骨が折れたわい』


『ササラもよくやったー』


『よーし!限界だからママ叫んじゃうぞ~』



「くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


天に向かって腹から吼える。


怒りの感情が溢れすぎて、歯もガチガチ、体ががくがく震えて立っていられなくて尻もちをつく。


歯を噛みしめすぎて、奥歯が割れる音がした。


告白を受けたあの時


アルトからの連絡。


『ママ、変な格好をした人達が暴れてる』


そして爆発。


手ノ塚さんが守ってくれてるのにイライライライラ!


怒りたくて怒りたくて怒りたいから、手ノ塚さんの目を盗んでキックに離れた場所に送ってもらった。


送ってもらえて良かった、こんなにヒスってたら嫌われちゃう☆


「せぇぇっかく!良い雰囲気でぇ!!」


飛ばされたのはどこかのビルの屋上。


そのコンクリに爪を立てる。これ柔らかすぎなんじゃない??


「告白されたっていうのによぉぉぉぉぉ!!」


コンクリを目倉滅法掻き毟る。


「なんなんだよぉぉ!あの爆発はぁぁぁ!!邪魔しやがってぇぇぇ!!ちくしょぉぉぉぉぉ!!」


拳を思い切り叩きつける。屋根に穴が空き、私はその下のフロアまで瓦礫と一緒に落っこちた。


「ふふ…ははははは!!!!」


怒りすぎて震えだけじゃなく笑いまで止まらなくなってきた。


変な格好をした人達だぁ?


「どいつか知らねぇけど頭から噛み砕いてやるぁ!!」


土曜の夜、誰も居ない瓦礫まみれのどこかのオフィス。私はぶっ殺すの精神で着ている服を乱暴に脱ぎ捨てた。異世界のあの姿に変身すると破れるからだ。


気を利かせたキックが全部門で片づけてくれる。


私のことを応援してくれて、周りをうろうろしてた子供達にササラがてきぱきと指示を出す。


『シルバ、ここら一帯の防犯カメラをHDまで壊せるかの。ままが映ってたら事じゃ』


『ほーい、大丈夫だよ』


探査の網を広げていたクィスが教えてくれた。


『まま、敵は5人だね。ままの傍で暴れたのはあっちの…』


本当出来る子供達。


『あっ、こいつら、前にスルガが直したSFの5人だ』


ピキッ。


火に油。


「あいつらっっ…!!」


『ママ、ごめん…』


しゅんとしたスルガの声に怒りを出すのをどうにか止める。


『…スルガは悪くないよ、私が治すのお願いしたんだから。気にしないで、ね?』


あいつらぁぁぁぁぁ!恩を仇で返しやがってぇぇぇ!!


スルガが責任を感じないように慰めながら心の中で怒鳴る。


まずは近い奴!!


右手に爆炎の力を込めて打ち出して、オフィスの壁をぶち破る。


『……………………!!』


私はもう一度吼えた。もう人の声ではない。


吼えた私ですら嫌悪感がある鳥類の金切り声。


私の唇は天の異獣王カエルムの嘴へと変わり、そして背中には白金色の翼が生えていた。


視界が360度見えるようになったのは嘴から上が蟲の女王フォルミカの複眼になったから。


鼻をつく硝煙の煙が立ちこめる中、私は外に向かって走り出す。


オフィスカーペットの床を感じていた素足の感覚が無くなり、蜘蛛の足の鉤爪が布地をえぐりながら加速する。私の腰から下は完全に蜘蛛の形になっていた。


今は内装工事の人達が使う白い大きい車と同じくらいの大きさの蜘蛛の体。


体を低くしても頭も翼も天井すれすれ。外に出ればもっと大きくなれる。


背中の翼は羽ばたく度に枚数が増えていき、最終的には8対、16枚の翼になった。


異世界の姿に戻るのは1か月位振り。


私の異世界での基本の姿は地の異獣王…地を這う竜みたいな姿。


虫の女王を取り込んだ時には虫の姿、海の異獣王、天の異獣王、不浄の異獣王、世界樹それぞれの姿をとることができるし、その複合系だって勿論。


世界樹が絡むととてつもなく巨大になるので、基本選ばないけど。


最初は醜い姿だと思っていた異世界の姿。


今は自分の強さ、それを育んだ経験の成果として誇らしくすら思えている。


私の邪魔するヤツを自分の力でぶっ殺せる!なんて素晴らしい!!


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