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推しと異世界召喚    作者: 安寿
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26捕虜になった聖女

というわけで、今私は魔王城の中の一室にいるんだけど、これって、一応客人みたいに言ってくれてたけど、捕虜ってことだよね。普通に。

別に監視とかもされてる様子もないけど、なんかものすごく視線というか、好奇心でいっぱいの様子の魔物の方たちの様子。敵視されてツバとか吐き掛けられるみたいなことにはなっていなくて、むしろ、そんなに危機感を感じないというか、多分だが、彼らはあの魔王様の庇護にあるというか、この魔王城にいれば安全というか安心感があって、人間ごとき一人来たところで危機感とか感じないんだろう。

にしても、意外と魔物っていうのが、


そうなの。モフモフしてて可愛いんだってば。鳥もモフモフ。多分軍事担当大臣とかっぽい偉そうな魔物もちょっと地球の犬さん、シベリアンハスキーを思わせるモフモフ感だし。眼帯付けた歴戦の古兵っぽい風情の熊に似た魔物もパンダちゃんみたいな白黒の色使いだから怖さが半減だし。部屋に案内される道すがらも好奇の目であちこちから見られてるのを感じたし、わざわざすれ違って覗き込んでく魔物もいたんだけど、なんだろう。嫌だなって気がしない。そんなに悪い奴らになんだか見えないんだけど。

うーん、この感情、表現したらいいんだか知らないけど、そう、なんだか、最近ずっと野営とかしてたから、屋根があるとことってだけでほっとするし安心感あるし、この魔王城がそんなに嫌ではないというか、むしろ・・・


むしろ、落ち着く。

お・ち・つ・く。

のである。


なんだかなあ、こんなんでいいんだろうか。とふと思ったけど、ええい、どうにでもなれ、きてしまったんだから仕方ない。なるようにしかならないんだから、肝を据えて。と私はすっかり肝を据えて落ち着いてしまったのだった。


これって、多分、いや、絶対だ、あの魔王さまとやらが、みるからに怪物ですみたいなおどろおどろしい風貌だったらこうなってはいなくて、見るからに私の好みのイケメンだったということがこの感情を生み出してるわけで、今の見た目がイケメンだからって第二形態があって、恐ろしい姿になる可能性とかもあるのではないだろうかとか、気合を入れようと頑張って考えてみるんだけど。


無理だった。


別に本体が竜だろうが化け物だろうが、今イケメンならいいのだ。

変身したときに考えればいいことだし、今はイケメン魔王の城滞在を楽しもうではないかとすっかり楽しくなってきてしまったのである。

はあ、めちゃイケメンだったわ。あとで会談するって言ってたけど、私大丈夫かな。上手くやれるんだろうか。ぼろを出さずに。それに平静でいられるかも不安だ。見惚れてアホなことしないだろうか。もっと可愛い服着てくれば良かったな。戦い用のローブだし、目立たないように地味にしてるし。いまいち可愛くないの着てるのが悔やまれる。

ああ、気合い入れてないときに限ってこういうイベントがあるんだよなあ。

ダサい服着て焼肉いった帰りに寄った古本屋で京也にばったり出くわして本人だと気づいたけど、焼肉臭いかもとか思ってダサい服だしとか委縮して声をかけられないことあったなあ。あのとき握手くらいしてもらえばよかったな。【ファンなんです。応援してます】って言いたかったなって、後から死ぬほど後悔したのを思い出した。ほんと、ドキドキときめきイベントって突然気合い無しのときに来るんだよなあ、まったくどうなってるんだろう。この世のなりたちっておかしくない?とか、今更思うけど、京也と握手したかったとか【応援してます】って言いたかったとかってずいぶん懐かしい気持ちな気がする。この世界に召喚されてからずっと一緒にいるからそういう気持ちなんだか忘れていたような甘酸っぱい気持ちのようなそんなことを思ってしまった。魔王かっこよかったな。危険があると思うと余計に惹かれるものだ。危険な男ほど惹かれる、私はそういう性癖を持っていたのを思い出した。それに敵ということが余計にアカン気持ちになっている気がして胸がキュンとなるものが。いかん。こんなこと考えている場合ではない。ピンチであるということに変わりはないんだし、捕虜なんだから。ここは敵陣のど真ん中なんだし。敵の本陣にいるのだ。いやあ、でも素敵だし会談が楽しみだわ。私を部屋に案内してくれた魔物の話に寄ると、魔王軍幹部の重鎮がさっきはいなかったから、その重鎮たちを集めて、晩餐をするのでそこで、会食をしながらの会談になる予定を組んでいるとの話だった。

晩餐かあ。魔王と会食しながらの会談。なんかちょっとドキドキだよなあ。


この瞬間私が魔王にデレている間に京也たち勇者一行や帝国軍やら国王やらやはりイケメンの騎士隊長さんやら、王子やらがてんやわんやで私の捜索と救出作戦にアタフタしていて、京也なんか発狂しそうになってるなんて知る由もないのだった。

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