N3魔法水晶
シュンとアミが洞窟で鸚鵡型モンスターとたたかっているとのとき、魔王城ではイケメン魔王と、あくま神官こと根本晃が、大きな水晶玉の前でその一部始終を観察していた。
「なかなか、やるなあ、シュンのやつ。」
「貴殿の仲間であろう。なかなかのものであるな。そして、かの蛇とやらが美しいのお。」
蜘蛛の糸に鸚鵡がはまってしまったところでは、
「ほおお。」と感嘆の声を上げる。
っていうか、鸚鵡ってこちら側の部隊ではないのか。
戦って傷つくようなことがあっていいのか?という疑問が根元に芽生えたが、魔王が笑って見ているので自分が気にするようなことではないのだなと思い、その点について言及するのも考えるのもやめておいた。
この水晶玉が凄い。見ていると、元世界のテレビ画面の中継を見ているような感じで、画面に『ライブ』って入ってないのが不思議に感じるくらいである。
見ていると、蜘蛛の糸に捕まった鸚鵡をシュンがボコボコに殴っており、横から蛇が鸚鵡の腹の辺りをパクリといっていた。
ああ、これはもうだめだな。
なんかひでえことするな。あいつら。元から乱暴なとこあるなあとは思っていたけど。
まあ、それもこれも魔王があのオウムの魔物を洞窟に送り込むのを見たから、オウム側の気持ちになって考えてしまうのもあるが、シュンたちの立場にしたら、辺り一面敵だらけだし、食い物も魔物しかいないんだから仕方ないってもんかなあ。蛇にしても捕食能力とやらがあるから、倒した敵は見境なく食ってるみたいだし。
死んだな、あいつ。
俺は、魔王の呼び出しに応じて現れ、魔王の命によって洞窟に向かうときの、オウム型魔物の
「魔王様、お任せください。」
とか、羽を使って敬礼していた姿とか、あいつは言葉も話せたんだよなあ。魔物というより、魔族なんだろうな。どちらかというと、人間に近い種族なんだろう。羽とかあるけど。
などと、しんみりとした気持ちになってしまった。
まあ、戦いに犠牲は必要だとは思うんだが。
この戦いに果たして犠牲がいったのかどうかが、
要らなかったよなあ。犠牲。
としか思えなくて、
俺はそっと小さなため息を吐いた。
まあ、魔王に気付かれないようにこっそりとだが。
ここの世界では魔王が絶対なのだから、変に眼をつけられてはこれからの寿命とやらが著しく短くなってしまうだろう。というより、即刻死ぬかも。
なんだかなア。こういうの苦手なんだよなア。
知り合いが死ぬとか、知った顔が死ぬとことかあまり見たくないなと俺は思った。
とりあえず、この世界にシュンも召喚だがなんだかされてきたらしいことと、シュンがなんか知らんけど強いこと、そして俺だけが知らない世界に来たわけではないことがわかって、なんだかちょっとほっとしたのだが。
それにしても、この魔王が何を考えてるどういう思考回路で動いているのかとかが全くわからないということに俺はほんのりとした不安を感じるのだった。
そんな俺の様子を感じ取ったのか
「なんじゃ、不景気な顔をしておるのお。
心配せずともよい。
面白いから、まあ、見ておれ。」
と、魔王は鷹揚に俺に語ったのだ。
いったい何が始まるのやら。、まったく見当を付かないのだが。




