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推しと異世界召喚    作者: 安寿
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21まりんさんとのこと

まりんさんとは、その出会いからいやな感じであったのだが、京也ファンの他の友達がまりんさんのファンとの事で、まりんさんはおかしなブログを書いているマダムでマダム界隈でとても人気があった。

なんでも、社会人のお子さんが3人いて、男の子1人、女の子2人のママである。お子さんの出身大学が早慶であるとの事でなんでも受験とかにうるさいマダムたちの中では子育てに成功した人みたいな感じで称賛の目を集めていた。なんかやだな、偉そうな感じで、人を見下した感じの人に見えたんだがそれは勘違いだったのだろう。が、バッグから何気なく取り出したポーチから生理用のナプキンがチラッと見えてしまったというより、わざと私に見せたらしいのが、なんか変なもの見せて恥ずかしい人だなと私は思ったのだが、そのくらいの年齢の女性に取って生理用品を持ち歩いている、すなわちまだ生理がある、閉経していないわ。イコールまだ私は子供も産めるしばりばり女だから、というアピールだったらしい事を後で知ってなんだか引くものがあった。困惑である。別にそんなことこっちは気にしてはいないのだが、なんか変な対抗心みたいなものがあったらしい。

本当になんだか嫌な感じの人だなあと思ってしまって苦手であった。

けど、友達がそのブログマダム界隈で仲良くしたいと思っていたらしく、ドームでお会いしていないわね、というのが京也がプロ野球の解説者としてドーム球場での仕事をしているので、その見学に行ってないわね、という話だったのだ。


が、私にはあまりにも辛い黒歴史があって、


その野球の仕事の見学というか、普通に野球観戦する客として球場に行ったときに、その出来事は起きた。


私と友達で始発でドーム球場に行き内野の京也が座る解説者放送席のすぐ前の席をゲットしたのだが、それだけの労力を払ったチケットを他の友達でなく、まだあまり仲良くなっていない、まりんさんとその友達に譲って一緒に野球観戦したいと私の友達が言うので、あまり好きでないまりんさんとの野球観戦にイマイチ気が進まなかったのだが、同意して、一緒に並びの席で観戦することになった。なんとなくやだなあって気持ちが結局第六感は正しいという結果になるのだが。


ほぼ1メートルも離れていない後ろに放送席があり、京也がいる。

それだけで、後ろから何とも言えない圧迫感があった。オーラが伝わってくるというか、後ろをあまり振り返ってはおかしいし、迷惑になるからと、そっと、見ないようにしていたのだが。


「キャー、ヤバい。」「近いわ」まりんさんがお友達マダムときゃぴきゃぴして騒いでいる。

目立つからやめてほしいなと思うのだが、恥ずかしいなこういうのと思うのだが、なんか、もう思いっきり後ろ振り向いてガン見しちゃってるし。絶対野球ファンでなく、京也を見に来ましたっていうような行動である。これだからミーハーなアイドルのファンは、迷惑なんだがと野球ファンの人たちに思わせてしまうような感じの行動で、試合を観てくださいよと言われてしまいそうな行動なのだ。


はあ、嫌だな。だから誘いたくなかったのにと心の中で思いながら友達のことをちょっとうらめしく思ってしまった。


そもそも私自体は、まりんさんの友達ではないし、ただの知り合いの知り合い程度の間柄であるのだ。


解説者の放送席は通路である階段の横にあり、階段を通るときに放送席の中を見ることが出来た。とても近くで。


なので、チェンジのときに、まりんさんはトイレに行ってくるわという名目で友達と席を立ち階段をじろじろ、キャッキャと京也を立ち止まって見ながら登っていったのだ。


やっちまったなと思った。


これってやってはいけないことだよね、絶対迷惑かける恥ずかしい態度じゃん。

と思ったのだが。


次のチェンジのとき私が階段を通って通路に出ようとしたときに、


テレビ局のディレクターのオッサンに捕まってしまった。

あえてオッサンと呼ばせてもらう。別に名前を教えてくれたわけでもないし、名刺をもらったわけでもなく、いつも京也と一緒に野球やらスポーツの取材をしている禿げてる中年の男性だからだ。禿げていて、年をそれなりに取っている人は私にとってはオッサンである。


しかも未だに心証が悪い。


おじさまとか呼ぶ気には一切ならないのだ。


「ちょっと、」

と呼び止められ。

「はい?」

「私ですか?」


「そう、アンタみたいのが野球ファンに迷惑かけてるのを神崎くんは一番気にしているんだ。」

「じろじろ後ろばかり見たり、他の人に迷惑かけるような騒いだりキャーキャー言ったりしてるのが迷惑だって言ってんだよ。」

いきなりアンタ呼ばわりである。


私だって子供ではない。ちゃんと働いて納税もしている社会人で真面目に会社で働いて税金を納めているのだ。

もちろん、子供だからと言ってアンタ呼ばわりしていいという事ではないが、いきなり成人女性を捕まえてアンタなんて言えるのは悪いけど、常識なくていい気になっているテレビ局とかマスゴミ関係の人たちくらいだと思う。他の大多数のテレビ局勤務の人がちゃんとしていたとしても、実際に私がアンタ呼ばわりを初対面でされたという事実は変えられないのだ。


ムカッとしたが、私は大人であった。

ここでことを荒立てては京也に迷惑がかかってしまう。私自身は騒いでないんだし、そんなことを言われる筋合いはないが、4列横並びで買ったチケットで、一緒に入場している友達と傍目には見えるのだかっら仕方ないのだ。

どうみても、まりんさんたちが、というより、まりんさんが、はしゃいで、きゃぴきゃぴしたせいで、とんだとばっちりが私に来たと思うんだが。


「ご迷惑をおかけしたのなら、申し訳ありません。連れの者にもよく言い聞かせます。もうしわけありませんでした。」


なんで、私が謝らなくてはならないのかよくわからなかったが、普段クレーム対応もしている社畜なので、咄嗟にそういう言葉が出てしまうのだ。普通の子だったら、

「なんで私がそんなこと言われなくちゃならないの?信じられなーい。何それ迷惑って。私が何したっていうの?」

とでも言って反撃すると思うし、今思えばそうするべきだったのだろうと、思ったりする。

が、私はそのときの私は、まりんさんの罪をまるっ被りしたのだった。代わりに怒られておいたよ。である。


なんか悔しくて、悲しくて胸がバクバクした。


京也のことをチラッとみることすらできなかった。


じろじろ見にくんじゃねえよと思われそうだったし、多分そんなふうに思っていたんだろうなあとおもったからである。


野球は下火で正直サッカーやバスケットボールに押されがちかなあという感じであり、球場のチケットの売り上げとかもイマイチであり、女子が見に行ったりするのが増えたら、野球場も活気が戻るし、何といっても内野指定席なんて高い席のチケットが売れれば、売り上げ貢献になって、京也の解説者として使ってもらっている仕事の後押しになると思って私は高い指定席の野球観戦チケットをわざわざ球場まで始発で買いに行って購入しているのだ。


それを迷惑に思われているのだと。

それも


アンタみたいな人が。


と名指して言われるとなると。


平気な人がいたら教えてくれ。


私は涙があふれてきそうになるのをぐっと我慢したんだよ。


トイレに行ったけど、泣きそうだった。


でも席に戻って、友達越しに、怒られたことを伝えた。


まりんさんは、舌をペロッとだし、気を付けるね!

って言ってそれからはおとなしくなったけど、なんかお葬式みたいな気分だった。お通夜とかお葬式みたいな気分の野球観戦。


まりんさんは金持ちマダムで怖いって雰囲気があるから、オッサンは、まりんさんには直接言わず、おとなしそうな、というか若い子だから強気にいっても大丈夫だと思ってなめてかかって私に言ったんだと思う。


煽り運転とか通り魔が入れ墨入れてるガタイがいい男の人は狙わず、弱そうな女子とかをターゲットにしているのと同じだ。マスゴミのやつとか大嫌いだと私は今でも思うし、テレビとかでオッサンが一緒に写っているのを見るといまでも嫌な気持ちがするので、スポーツ番組すら見ない。自分が観なければいいだけのことなのでいたってシンプルな答えである。


が、とにかく高いチケットを買ったにも関わらずとても嫌な気持ちになってしまった。


そして、気分をなんとか盛り返そうと泣きそうになってても仕方ないので、途中でサーティーワンアイスクリームを買ってきて食べながら観戦することにした。とりあえず、スイーツを食べて気を取り直そうとしたのである。


が、アイスクリームを持って席に戻ろうとすると、またオッサンに呼び止められた。


「どこで買ったんだ。」

ため口である。というか脅迫的な感じ。


私は意味がわからず、

「下で売ってましたけど。」と答えた。サーティーワンのことだと思ったからである。

「そうじゃなくて、今日のチケットだよ。」


そうか、オッサンは私が転売屋から転売された違法チケットと京也の放送席の近くのものを京也みたさに入手したと思って聞いてきたのか。私が闇サイトでチケットを買う犯罪者とでも思って糾弾しているのが。ということを即座に判断したわたしのあたまの回転の速さをほめて欲しい。ほぼ、1秒もなくそれだけのことを考えたのだから。そして物凄い怒りが沸き起こった。


「此方の球場のチケット売り場で買いましたよ。始発で並んで。でもこの席になったのは席も選べなくて渡された席を購入する仕組みだったのでたまたまで、偶然です。選んで買えるわけではないんです。始発で来たとしても。購入する権利があるだけです。枚数制限があるから並びましたけど席は選べないんです。」

あくまで正当な手段、更に労力を使っているのだというアピールをした。


あまりにも意外な返答だったらしく、更に席は選べない、だから、京也の放送席の真ん前の席が買えたのはもの凄く嬉しかったのだ。それが膨らんだ風船がバチンと割られたようにシュンとしてしまった気持ち。それがオッサンには通じたのだろうか。少しでも。

オッサンははっとしたような感じで、どうも何か勘違いしていたらしいと分かってくれたらしかった。


そして、私は言わなくてはいけないことがあることに気付き、

「実は2週分買うことが出来たので、来週の試合の分も同じ席で購入しています。来週も来ますがご迷惑はおかけしませんから。」


オッサンはうなずいた。


誤解も解けたようだがアイスも溶けてしまいそうだったのでオッサンに会釈をして私は席に戻った。


この顛末は本当に私のヲタ生活の黒歴史である。


京也の差し金でオッサンが言いにきたのか、オッサンの勝手な行動だったのか、いまだにわからないし、応援しているつもりでも迷惑で邪魔な存在だったんだなということがとても心に痛いのだ。


今思えば、まりんさんが騒がなければ京也の思っている野球ファンに自分のファンが迷惑かけていると思っているという気持ちに気付くことが出来なかったのだから良かったのかもしれないが、私にとってもとても悲しい出来事だった。


次の週は気心が知れた友達4人で観戦に行った。試合前に先週こんなことがあってテレビ局のスポーツ担当ディレクターのオッサンに怒られた話としておいたので、みんなおとなしく見ようねということあは周知してあるから安心であったが。


京也に嫌われてしまったのかなあという事がとても気になっていて泣きそうな気持は変わりなかったのだが。


京也たちは放送席に入るときに客席を通るのだけれど、近くの階段を通るときに、


なんと、


私のことを見て、会釈をしてくれたのだ。


え?

今の何?


私も会釈したが。


友達も驚いていた。


きっと、


オッサンが怒ったこととか、私が悪くない事とかいろいろ話してくれて


それで、


きっと、


ごめんなさい。


って事

だったのかな。


ということになった。


んだけど、


直接話とかしてないから


わからないままなのだ。


そして、放送席から帰るときもいろんな帰り道があるのだけど、

私のいる真後ろを通って帰ってくれた。


そして、その場所を通る前にオッサンが私に目配せというかウインクというかをした。


多分悪いことをしたから近く通ることにしてあげるね、みたいなことだったのだと思う。


これで野球の話がいい話みたいになってるんだけど、


実は続きもあって、


指定席とかでなく観に行ったりしたときに通路で花道が出来ていて出待ちしたときに


京也が通って、私とばっちり目が合ったときがあって。え?って感じで目を見開いたんだけど。気づいてくれた?って


うわあ。って思ってたら、

すぐ近くに

まりんさんがいて

「触っちゃったあ。」って腕をわしづかみにしてて、


そのとき京也は私の顔を見てて、


なんか、どうも私がわしづかみしたと勘違いしたらしい疑惑。


違うって。それは濡れ衣だっては。


てことで、


まりんさんがいると


私の運を吸い取ってしまうし、


なんか


ろくなことがないから。


嫌な予感しかしないの。


元世界のことだけど、


きっと


この世界でも私の足を引っ張るような気がして


嫌な予感しかしない。



 






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