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推しと異世界召喚    作者: 安寿
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17ぬい職人

それはたまたまだった。

私が持っていた‘ぬい‘。京也の衣装を真似て可愛い二頭身のお人形さん。通称ぬいである。ぬいぐるみっぽいつくりの愛らしいお人形。人形というよりぬいぐるみ側の雰囲気のマスコットである。大きさが7,8センチくらいの身長に作ってあるので、バッグとかにキーチェーンを付けてマスコットとして付けて持ち歩いたりできるというものだ、私は京也の‘ぬい‘を自作して持ち歩いていた。公式グッズとしての販売はなかったのだが、もっと若いグループとかだと‘ぬい‘を販売しているところもあるみたいだったが、ヘブンズゲイトには‘ぬい‘のグッズはなかった。けど、可愛いものが大好きな私はアニメファンということもあり、アニメキャラは大体‘ぬい‘が公式グッズとしてあるので、その雰囲気を真似て自分なりに京也の‘ぬい‘を自作して持ち歩いていたのだ。

実は私は小学生のときからずっと手芸部で手芸が大好きなのだ。好きということはそれなりに器用であるということと、それなりに創作スキルがあるということでもあった。だからその京也君の‘ぬい‘は京也にそっくりの良い出来だったので私はとても大事に愛でていた。そっくりの‘ぬい‘、出来が良かったということがその事象に結びついていたのだと思う。


それに気づいたのが本当にたまたまだった。


この世界には元世界の有名RPGのド〇クエに出てくる人気可愛いキャラのスライムが実際に敵として存在した。だからゲームの世界が夢の中なんだなあと最初のうち思ったものだ。そしてやはり見た目可愛いので、私は京也のぬいと一緒にスライムのぬいぐるみも作成して飾っていた。

部屋に並べて置いていたのだが、勇者とスライムって飾っておくのに可愛いから、京也ぬいには剣も作ってあげていた。魔法学校に通っているとはいえ、暇な時間もあるし、趣味の手芸をちょっとやったりする時間があったのと部屋に可愛いものを飾って可愛くしたいという気持ちがあったからである。‘ぬい‘の文化がこの世界にはなかったのだ。人形といえばアンティークドールみたいな感じの高級でちょっと怖いと感じる人もいるタイプの人形が主流でぬいぐるみはクマさんしかなかった。つまりアイドルの‘ぬい‘はなかったのだ。それに合わせて可愛く飾るスライムのぬいぐるみなんかもなかった。そもそも魔物は敵なのだから遊びに使うにしても可愛いからとかはないのである。

だから自作してスライムぬいぐるみを、やっぱり可愛いよなあスライムとか思いながら、『えいっ!』って京也ぬいで攻撃して、『やられたあ』って倒された形に横に寝かせたりしていたんだけど、

俗にいうお人形遊びをしていただけなのだが、


【勇者のスキルが上がりました。スキルポイント100を取得。レベルが1上がりました。】

というあの謎のPC音の声が聞こえたのである。


え?何?噓でしょ。今の。気のせいかな。なんか聞こえたような。

でも、いつも聞いてやつのような気がする。


うーん、


私はまたスライムぬいぐるみを京也ぬいで切り付けて倒してみた。


【勇者のスキルが上がりました。スキルポイント100を取得、レベルが2上がりました。」


また聞こえた。

これって。まさか。


面白くなってついつい、レベルを20くらい上げてしまったのだが、その日京也にたまたま夜ご飯食べるときに会ったのだが


「ナリコ、聞いて!」


今日の訓練で信じられないくらい急にスキルポイントが上がって、普通じゃ考えられないくらいのレベル上げができて、通常だったら1年はかかるほどの上達具合だったのだそうだ。

「やっぱり、俺勇者だからかな。」

嬉しそうに興奮して報告してくる京也。

ああ、これ間違いない。あのお人形遊びのせいだ。

話を聞くと時間も大体合っているし。

知らないうちンレベルアップしていたそうだから。


私のぬいには本体のレベルを上げる能力があるのだ。


このことは言わない方がいいのかもしれない。これが聖女の力だとしたら、悪用しようとするものが出てくるに違いないし、それにこの力は勇者にしか通用しないのかもしれないし、そもその私が作ったぬいに京也への推しに対する愛みたいな何かが入っていたからかもしれないし、この事象がなぜ起きているのか判断が難しいからだ。

それにこんなに簡単にレベルが上げれると分かってそれなりに大変そうな剣の鍛錬とかをやりたくなくなるかもしれない。それは命を懸けて戦いに臨まなくてはならない京也にとっていいものではないような気がする。

取り敢えず、まだ真相は分かっていないんだし、この件については話すのはやめておこう。

と思った。人はすべてを知らない方がいいこともあるのだ。

言わないのと嘘をつくのは違う。

言わなかった。それだけ。

なんとなく言わない方がいいという霊感みたいなものに従って私は京也にぬいの件は言うのはやめておいた。


それに


こっそりと推しの役に立つって


ヲタクにとって


最高じゃないですか。


こんなとこまできて推しごとが出来るなんて

なんて幸せなの

ってちょっと思ってしまった。




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