K7ほんわか
そんな焦燥感でいっぱいの俺の前で、いきなり成子さんが目を開けた。
ぱちくりとした目で天井を辺りを俺を見てびっくりしたような顔をしている。
良かった。気が付いて。目を覚ましてくれて良かった。ほっとしてもう泣きそうになってしまった。
そんな俺を不思議そうにみて、
「京也くん?」
「ありがとう。」
なんかとりあえず大丈夫そう。そう思ったら眠くて眠くて成子さんの布団に顔をうずめて寝入ってしまった。
そうしている中、実近が成子さんにこの世界のことを説明する声や、成子さんの鈴がなるよう可愛らしい声が聞こえてきて、しかもこんな切羽詰まった状況なのになぜかほんわかしていて俺は本当になんか癒されていた。
一人でなくて良かった。
一人でこの世界に召喚されていたらもっと辛かったのではないか。
空気読まない実近も、可愛らしい成子さんもいてくれてよかった。自動翻訳されているらしく話すこともできるし、相手が何を話しているかわかるのだが、この国の言語は違う。自然と話せているから違和感ないのだが、やはり日本語を聞くとほっとする。だから二人が日本語で話しているのも聞いているだけどかなり場がほんわかして空気になった。実近のほんわかと成子さんのほんわかが重なっ絶妙にほんわかして俺はほんわかな中眠りに落ちていったのだ。ここにきて初めてのほっとする時間だった。実際ほっとしている暇などなかったのだが。
どれくらい眠ったのか分からないが、気が付くと、国王に3人で謁見するという流れになっていて、着替えをするように言われた。
なんか騎士服のようなものが既にあつらえられて手渡された。
勇者に与えられるお決まりの服なのだろうか。
それと、もう成子さんも着替えを終えて準備が出来ていた。
美しい。白い絹のような光沢のある布地にキラキラとして宝石のようなものがいくつも付いているローブをまとった成子さんは女神のようだった。聖女というより女神だ。輝いて後光がさしているように見える。
成子さんの長い黒髪が聖女の衣装にまた絶妙に似合っている、もしかしたらこの美しい髪のせいで聖女として召喚されたのではないかと思ってしまう。色白で目がぱっちりと大きい成子さんの美しさはもはや聖女を超えて女神さまだった。そして、なんかやはりほんわかしていた。
「京也くんの服素敵です。」
にこっと笑いかけられると俺はなんか何も言えなかった。
成子さんのことも褒めたいんだけど、言葉にならない。
なんか気が利いたことを言おうとするのだが、なぜか口からこごもって何も出てこない。
大賢者の実近が
「お前、見とれてね?ナリコちゃんのこと俺のミューズ、女神様とかなんかそんなこと思ってるだろ。」
と茶化してきたが、相手にする余裕もない。
侍従とおぼしき人に「勇者様は聖女様をエスコートしてください。」
と声を掛けられ、やっと動けるようになった。まったくフリーズしていた。
舞台で女優さんをエスコートすることなどあったから慣れているほうだと思っていたが、実際に国家元首の前に聖女様をエスコートするといういきなりの状況、しかも予行練習無しとなると、さすがの俺も緊張した。が、一般人として生きてきた成子さんは多分もっと緊張しているに違いないのだ。俺がしっかりしなくては、みとれている場合ではない。
結構厳粛な場で、俺たち3人は勇者、聖女、大賢者として任命され、俺は宝剣、成子さんは魔法に使うらしい宝石が打ち込まれた杖、大賢者実近は何やら立派な帽子を授与された。
そうして俺たちはキングスマナリン王国の勇者、聖女、大賢者として任務に就くことになったのである。
そんな緊張な場面でも成子さんから漂ってくる空気は暖かく、俺を優しく包んでくれる。なんで彼女がいるとこんなに心が温かくホッとするんだろう。




