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推しと異世界召喚    作者: 安寿
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K6使い捨ての命

とにかく俺には納得いかない事が多かったが、大賢者になった実近から色々とこの世界のこと、キングスマナリン王国のこと、それにぞっとするような知りたくなった真実を聞くことが出来た。

意識が戻らない成子さんのベッドの横で聞いた特に大事な話が、この世界の実情のあとにあくまでさらっと語られたんだが、その内容はこういうものだった。

まず、召喚されたものは元の世界に帰りたいという希望があっても帰れない。

ステータスバーに記された役目を果たすのが嫌だとか逃亡したとしてもそのステータスバーに記された役職は一人しか居ないので、例えば勇者として召喚された者が魔王討伐を嫌だと拒否したとしても、元の世界に帰れるわけではない。更に勇者は世界に一人しか存在できないので勇者の役目を果たせないまたは使い物にならない場合次の勇者を召喚するにはその勇者が死ななければ召喚できないので最悪処刑して殺して次の勇者を召喚するしか方法がない。ということだそうで、つまり、魔王討伐を断る、または弱くて使い物にならない場合は、俺の命はここで終わるという話であるということらしい。

断れませんよ、ということで、一応知らないと殺される恐れがあると思い教えてくれたそうだ。それは他のステータスにも当てはまるそうで、大賢者に選ばれた実近 蘭乃丈が大賢者の知恵を貸すのは嫌だと拒否したり、大賢者としての役目を果たせそうにないような様子だと、次の大賢者を召喚するために処分されるすなわち死ということもあるのだと。

「まあ、俺は最高だから、別に心配してないし、現に君たち二人の居場所探知にも成功しているし、協力する意思表示もしているからね。」まあ俺は安全だけどね、ということらしい。

その定理でいくと聖女に関してもその法則が当てはまる。

だから、成子さんがもし意識を戻すことなく聖女としての役目を果たすことが出来なければ、死んでもらうという選択肢が選ばれる可能性があるということらしい。

「でも、彼女の場合は魔法酔い起こして倒れてるだけだから、それに召喚にも魂に負担がかかるから、魂の回復に時間がかかってるだけだと思うよ。そのうち目を覚ますから心配要らないよ。」

と無責任に笑って言ってるのだが、俺は心配でそのうちがいつかわからないし、いきなり安楽死の注射とかされて殺されてしまったりするかも知れないなどと思うと気が気でないのだ。

要するにお気楽ですっかりこの世界に適応能力を発揮している、しかも怒りも疑問も元の世界のライブ中だったこととか、どうなってるんだろうとかの心配もあっさりと捨てている実近はともかく、全然納得できないこの召喚に関して文句の一つも言えそうにないし、文句あるなら殺す的なことらしく、言われたまま魔王とやらを討伐する使命と黙って引き受けなければいけないよ。君たち召喚者はいくらでも殺して召喚できる使い捨ての命なんだから。

という恐ろしい現実を突き付けられたのだった。

まあ一応召喚は大変らしくそう簡単に次を召喚できるというものではないとの事だったが。

俺たちの命は安っぽい今にも風前の灯火のように消え去るような、、ポイポイ使い捨てるようなものだった。もし魔王討伐に失敗して殺されたらそこで終わり、次の勇者を召喚してまた戦ってもらう。そういうものらしい。酷い話だ。やりますか?との打診もなく、なんの心構えも準備も無しにしかもファンも俺たちメンバーも楽しみにしていた15THアニバーサリーライブのライブ中に召喚されていきなり命をかけての戦いを強制されている。こんな理不尽なことがあるだろうか。しかも成子さんにいたっては人助けしたあげく、聖女の役目が果たせないかもしれないか?という国王の言葉は役目が果たせないなら処分するしかないなという含みがあったのだと思えると、腹が立って仕方がないし、不安と怒りと焦燥感でいっぱいになる。

そんな状態の俺の横にいるのが安定して空気読まない実近ときたものだ。もう俺は最低最悪の気分だった。

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