K4 宮殿への入城
馬車に乗って本当に宮殿らしきところについた着いた。お伽話で見るようなお城だった。ヨーロッパの城みたいな感じのまさに宮殿というよな建物。まさに城である。
マジかよ。と思った。
警備の兵隊みたいなやつが近衛騎士団の一行に敬礼をしている。
俺たちは敬礼をされて、恭しく通された。
一応本物の近衛騎士団らしい。
弱っちい奴らと思っていたがどうも彼らはVIP待遇らしい。
結構立派な扱いの人たちだったんだなとこのとき気が付く。
そして、相変わらず気を失ったままの成子さんを抱いて俺も城の中を歩いていた。
とにかく、無事お迎えしたことを国王に報告せねばならぬということで、国王に謁見することになる。
そこで俺は想像だにしなかった人物と遭遇することになった。
国王に謁見した場所は宮殿の大広間のようなところだった。
たくさんの神官らしき人や貴族やら大臣らしき人たち。後でそのような紹介をされたから間違えたはいなかった。がいた。
そして、中央の少し高い玉座に国王とおぼしき人がいた。
「私はキングスマナリン王国、国王、エルヒン・フランチェス・キングスマナリンである。
勇者殿、我が国の召喚の儀に応じていただき国民共々感謝する。して、その方は聖女様であらせられるか?」
俺の腕の中で相変わらず意識なく眠っている成子さんをさして言った。
「俺は勇者とのことです。が、こちらの方が聖女なのかどうかは俺は聞いておりませんのでわかりません。」近衛騎士団の隊長とやらに訊かれた時も同じことを答えたのだが、聖女かどうかなんか聞いていないし、ステータスが見れるプレートみたいなものも自分のしか見てないから成子さんが聖女かどうかとか俺に訊かれてもわからないし、よくわからないことをいい加減な返事をしてはいけないと思ったのだ。噓ついたから死刑とかあってもおかしくない世界線のような気がする。なんとなく野蛮だったり封建的だったりするようなそんな空気感を感じて、そもそもどこの誰だかなんだか知らないやつにこうして呼び出された?召喚だとお?っていうしかも俺はドームでライブ中だったじゃねえか。それってあっちの世界の俺ってどうなってるわけ?いきなりライブ中に失踪、謎の失踪とかになって仕事放棄してどこか行ってしまいました。どうしたんでしょう。とかWSでやったりしてるとかなんだろうか。戻った時に大量の違約金発生とかになってるんではないだろうか。というか戻れるのか?まさかの死んでるとかだってあるかもしれない。いや、むしろそれが自然なような気もする。ライブ中に突然死。みたいな扱いかもしれない。
にも関わらずこっちの都合とか一切お構いなしに召喚に応じてくれて感謝するだとお?応じて来たわけじゃねえし、勝手にこっちの世界に移動させられてたんだよ。それに成子さんだって、聖女かどうかより、今この状態、どうしてくれるんだよ。気絶したまま馬車で運んだけど、まずは健康状態を確認して治療なりしてくれるのが本筋だろ。聖女かどうかなんか関係ないだろ。まずはこんな状態の女を国王だかなんだか知らないけど膝まずいて挨拶してる場合じゃないような気がするんだよ、救護班が先だろ。と思って口に出しそうだった。
そのとき、傍らにいた騎士団隊長のユーリなんちゃらとかいうやつが口を挟んだ。
「恐れながら国王陛下、こちらの方の魔力はとても素晴らしいものでした。我ら近衛騎士団がディスイークの群れに襲われ、あわや全滅の状態のところ治癒魔法で全員の傷を治し、全員無事帰還できたのはこの方のおかげ。まさしく聖女様なのではないかと。」
「ほほう。そなたがそう申すのならそうなのではないかとは思うが。それにしてもそのご様子ではもはや聖女の役目が果たせないようだが。」
確かに気を失い、正体もなく俺の腕に抱かれている様子を見たら今にも死んでしまうのではないかとか、もう意識が戻らないのではないかとか、やってはいけない禁忌なことをしてこの隊長とやらを瀕死状態から助けたのでは?とか俺にも不安しかないのだが、気絶しているからと言って、用済みみたいなもう役に立たないのではみたいな言い方はないんじゃないかと、ムカついていたところ、ふと、国王の傍らにいる男に目がいった。
というかその男が口を開いたから目をやったといったほうが正しいのだが。
「その方は聖女様で間違いありませんよ。国王陛下。私が保証します。それにとてもお疲れのご様子。召喚の負担と、魔力を一度に大量消費なさったことによる魔力酔いを起こしたのでしょう。我々がおりました世界では魔力というものを使う文化がございませんでしたので、初めて魔力をお使いになったはず。それでは魔力の反動も調整もままならない中の魔力使用。魔力酔いは当然のこと。」
そのとき、近衛騎士団の人たちから「おー、まさか初めての魔力であの治癒魔法を。詠唱も無しでなさっておられた。」「信じられん。」などというため息が。
その男は誇らしげに続けた。
「とにかく、一刻も早く寝所にお連れしてお体を休めて回復していただくのが先決。このような場所にいつまでも連れまわしていては聖女様のお体に触ります。素晴らしい魔力に驚かれるのも聖女様でないかお疑いになるのも結構ですが、まずは聖女様をベッドにお運びしたほうが良いかと。」
その言葉に慌てた様子に国王が
「おう、その通りだ。大賢者どののいう通り、この方は聖女様で魔力消費が激しくお疲れのご様子、早く寝所にお運びしてもらうのがよかろう。宮廷医務官を呼び診察をさせるように。勇者殿、失礼申した。私が気づかぬゆえ聖女さまにご負担を。勇者殿もお疲れであろう。」
かくして堅苦しい謁見とやらが終わりバタバタと慌ただしく成子さんのことを寝かせる部屋に運ぶことになった。俺ももちろん付いていく。相変わらず俺がお姫様抱っこをして運んでいる。
それにしてもびっくりというのが、
「私も付き添いましょう。」
と言って付いてきた大賢者さまとやら、国王の信頼がやたら厚い、この大賢者さまが口を開いたら国王がすぐにその言葉に従うという驚きの人物。
その人物に見覚えがあったのである。
見覚えどころか声もよく知っている。
その大賢者さまとやらは、俺もよく知っている、それもそのはずの、ヘブンズゲイトのメンバー実近 蘭之丈だからだった。
実近が大賢者さまだとお?
俺が目を見開いてびっくりしてしまったのは言うまでもない。
「京也、無事でよかったよ。」と言って俺にウインクして見せたのだ。
「勇者京也。俺は大賢者蘭之丈だよ。」




