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推しと異世界召喚    作者: 安寿
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12この世界のこと

この世界のこと。

簡単に言うと破滅にむかっている。

この世界には人族と魔物で構成される魔族という二つの勢力がある。

そして長い間二つの勢力は戦争を繰り返しながらもなんとか均衡を保っていた。

が、突然問題が起きた。

この世界の居住区域が侵食されて減りだしたのだ。

世界の端からどんどん消失していっているという感じである。

両陣営の領地の端のほうからどんどん消えて土地がどんどん無くなっていっているのだ。

イメージとしては砂のように崩れて消え去っていっている感じ。

このままではこの世界全体が消えてなくなってしまうと思われるが、今の状態としては実際に住むところが無くなってしまい、続々と人が移動して集まってきているけど、これ以上消失したら住むところも作物を栽培するところも無くなってしまう。だから、魔族の領地に攻め入って一気に魔王を倒して魔族領を人族の領地にして居住地を増やす、そのために魔王を倒せる勇者と、人々や勇者を助けることができる聖女を召喚した。

いうことらしい。

そして、戦略が重要になってくるので戦いと王国の運命を託すべく、大賢者蘭の丈くんは召喚されたのだとのことだった。

召喚された目的を理解しそんな甘い呆けた顔をしている場合ではない。ということを蘭の丈君は言いたかったらしい。

何か理由がなければ異世界召喚なんかしないとは思うけど、思ったより大変な世界に召喚されてしまったらしい。これってろくでもない世界のろくでもない戦争に巻き込まれてるってことなのでは?

なんでそんなにこやかに冷静に語ってるわけ?

そもそも破滅に向かって消失しているその消失を止めることが出来なかったら、魔族領を支配したとしても住む場所が一時だけ増えるだけで、根本的な解決ではないのではないだろうか。という疑問が私には浮かんだ。

「それって、魔王を倒したら一件落着ってことではないような気がするのだけど。領地が増えても侵食を止めなかったら結局いつかは無くなってしまうのではないの?」

「いきなり本質的なことを言うね。さすが、成子ちゃん。頭が良さそうだとは思ってたけど、その通りなんだよね。侵食が止まらなければ、もちろん、この世界は消滅する。破滅に向かっているんだから。だからってこのまま何も対策を講じずにいるわけにはいかない。それに魔王の領地を征服することができれば、とりあえずは人類は生き延びられる。全部が侵食されて滅亡するまでには千年くらいはかかると思う。その間にどうにか対策を講じればいいだけのこと。今何もしなければ、農作物も作れず人類は餓死するね。」

「だから、戦って領地を増やす。その手伝いをするために私たちを召喚したってわけ?なんか納得できないような気がする。」

「納得できなくても、今君の存在がこのキングスマナリン王国にあって、王国と運命を共にしなければ生きてくこともできない状態だよ?」

脅しとも思える発言だった。確かに知り合いもいない、働く場所も食べ物を調達するすべもない。住むところもない。いきなり知らない世界に召喚されたのだから。召喚したもののいうとおりにするしかないのだろう。とりあえず生きていくためには。

「それに、君の大好きな隼人君は、勇者として魔王を倒すことを引き受けるって言ってたよ。僕の見込みでは彼一人では討伐は無理だ。成子ちゃんの助けがなければ、あっという間に犬死にするのが目に見えてるけど。成子ちゃんは隼人の犬死にを黙って見ていられるだけの強さがあって、戦争とか嫌だわとか言えるのかな?」

更にこう付け加えた。

「この世界の完全消滅までは千年の余裕がある。それは、君と隼人の寿命をゆうに超える。君たちがこの世界で天寿を全うするには充分に足りる時間だ。だが、この魔族との戦争に協力しなければ、この世界で人類が生きていくすべはない。魔物に凌辱されて殺されて終わりって話だね。聖女として召喚された成子ちゃん、さあ、犬死にか、聖女の役目を果たして人類の未来を救うのか、どっちを選ぶ?」



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