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推しと異世界召喚    作者: 安寿
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11大賢者 実近 蘭之丈

蘭之丈くんは優しい眼が特徴的な癒し系キャラで売り出していた。王子様のような優しい美少年で、笑うと目が線になって無くなってしまうような優しい笑顔が特徴的で、きりっとした目力強い京也くんとはまた違った意味で可愛いので、人気があった。それに美少年だけどお笑い担当だし、歌ではほぼハモリ担当だったが、ハモリ担当なだけあって、ほぼ歌っているということになる絶妙なポジショニングであったのである。

背も高く子供の頃から習っているというタップダンスも上手くジャグリングもできるという芸達者な人である。たとえ大賢者でなくても彼ならどんな異世界でも大道芸などをして食べていけそうな気がする。それくらい多芸多才な人なのだ。

優しい笑顔でおとぼけキャラを演じているけど、ふと素に戻ったときなんか目が厳しくて多分この人は馬鹿な人じゃない。めちゃくちゃ頭いい人だろうと私は思っていた。

たまたま電車に乗ろうとしたときに、同じドアから降りてきた蘭の丈くんと遭遇した、というかすれ違ったことがあるからなんだけど、素の蘭之丈くんは目がきりっとしていてなんか只者じゃないというかものすごく頭が良さそうな人だったからだ。ちょっとすれ違っただけどそう思わせるものがあるって相当な気がする。

『さねっち、スイッチらんらん蘭之丈でーす。皆さんライブのスイッチ入りましたかあ?入ってる人?入ってない人?入ってない人いるからもう一回ね。さねっち、スイッチらんらん蘭之丈でーす。』なんて毎回やるお決まりの一発芸なんかがあったのだけど、さねっち、は苗字が実近(さねちか)だからである。実近 蘭之丈なんてちょっと由緒正しい感じの名前なんだけど本名だから多分いいとこの御曹司なんだろうなあ。っていうか本当にいいとこの御曹司らしいし、だからこそ余計に風貌が王子さまっぽく見えるのでちょっと悪っぽい不良キャラでロックっぽい曲中心に売り出したヘブンズゲイトでは異色キャラだった。がそういうキャラも需要があり、マダムや小中学校に特に人気があった。王子様にあこがれる世代に人気だったってことかなあ。というのがヲタクの考察だけど、担当じゃないからよくは分からないというのが本当のところである。

そして、いま目の前にいる蘭之丈くんも煌びやかな衣装に身を包みほぼ王子様であった。

めちゃくちゃ豪華なお衣装に身を包んでおられたのだ。

っていきなり敬語なのは、大賢者さまとやらがいかにこの世界において重要でいかに人々にあがめられる存在であるということを表している。もはや蘭之丈くんは、ヘブンズゲイトの後ろのほうでハモリ担当しているキャラではなく。最重要キャラになってしまったのである。彼の頭脳・英知・それと、大賢者そしてのスキルがこの国の国王に対しても進言することは絶対という謎に権力がある位置にあるらしい。

この異世界にきて驚くような天分を発揮しているというわけで、もはや異世界償還二日目にして、私はびっくりが止まらないのであった。

とにかく、彼にいきなり、「聖女ナリコ」と呼びかけられた時も異常な威圧感を感じてしまった。

今の俺はあなたが元世界でファンとして認識していた俺ではありませんよ。みたいな感じである。

言葉の一言がやけに重みがあるのだ。ヘブンズゲイトの彼はものすごく軽くてもはやく空気より軽い存在だったのに。

いまは王国の重鎮である。この国、否この世界の先行きを決めるのは俺だというよな感じがもはや体中、彼の周囲一帯に漂っているのだ。

びっくりぴょんである。

「『聖女ナリコ』っていきなり言われてもさあ、困るよね。成子(なりこ)ちゃん。」

可愛い笑顔で話しかけてくる蘭之丈くん。

やけに豪華なローブをまとっていかにもな帽子、階級が高いですみたいなのを被っているので、なんか優しい無邪気な笑顔の裏に何かありそうな一目置いておかなくてはならないような雰囲気を醸し出している。素晴らしい圧倒的な重圧感がある中可愛い笑顔で話しかけてくれる。しかし、なんとなくこの人のことはうっかり信用してはいけないような話も丸飲みしてはいけないようなそんな気分になった。こんな知らない人しかいなさそうな状況で信用できないとか思うのはつらいのだが、本能がそう言っているので仕方がない。

「僕からは成子ちゃんって呼ばせてもらうね。僕のことはランノでいいよー。大賢者さまとかさあ、恥ずかしいし、なんとなくこの辺がくすぐったいんだよね。」と言って首の辺りを触る。

確かに蘭之丈くんのことをファンはランノって愛称で呼んでいたからそのほうがしっくりくるんだろう。

私も聖女ナリコとかいちいち呼ばれるのウザい気がする。京也くんはどうなんだろう。勇者京也とか呼ばれるのだろうか。それってなんかこっぱずかしくないかな。とふと思ったけど、京也君は私の布団に突っ伏して爆睡していた。本当に二日も眠っていたのか。そして、私のこと心配して看病していてくれたってことでいいのかな。

なんか物凄くうれしい。京也くんに看病してもらえる世界線があるなんて思ってもみなかった。

そんな呆けたことを思い噛みしめていると私の間抜けなうっとり顔に気づき呆れたのか大賢者さまの蘭之丈くんは国王に謁見する前に簡単に予備知識を入れておいたほうがいいだろうとのことで、私にこの世界のことをかいつまんで説明してくれた。


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