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推しと異世界召喚    作者: 安寿
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22/77

N1あくまで神官

はあ?ここどこ?

つうか何この状況。

キモイんだけど。

キモいやつがいっぱい俺を取り囲んですけど?

これってなんかのドッキリとかなんか?

何じゃこりゃあ


俺は根本《ねもと》 晃《あきら》

一応アイドルやってます。ヘブンズゲイトってユニット組んでます。

グループ活動してるから俺のみの人気だけでじゃないんだけど、ドームで何日か公演できてチケットが即完売される程度のアイドルでございます。自慢してるわけじゃなくて、事実を述べているだけです。

で、今日もドームで絶賛ライブやって、歓声が響く中、手を振ったりしてお客さんたちに応えてたんだけど。


今、俺を取り囲んでいるのは、

怪物?

緑色の、ゴブリンって名前の良くアニメで観るようなやつとか、

なんか岩みたいな色のデカいやつとか、

変な角みたいのがついてるやつとかが、


俺を取り囲んで難しい顔とかしてるんですけど。


あ、お客さんのことを怪物とかディスってるわけじゃないです。

あ、そこのお母さん、緑色の服がお似合いでゴブリンみたいですね、みたいないじりとかしてるわけじゃないし、体格がいいお客さんをゴーレムみたい、とか、凄くデカくて顔が鬼瓦みたいなお客さんをザウルスみてえ、とか言ってないし、変な花冠とか髪留めっつうの付けてるお客さんを角とか付けてどうしちゃったの?とか思ってないし。まあそんな感じのことを正直思ったりしながらライブしたりしていたので、一応お客さんはジャガイモに見えてます。緊張するからジャガイモだって思うようにしています。って公式には発言していたりしますが。

今は本当に怪物っていうか魔物?みたいなやつらに取り囲まれてるんだって。

これって、もしかして大ピンチなんじゃない?

俺食われちゃったりするとか、そういうやばい状況なんじゃないだろうか。


つうか今ライブ中でしょ。なんだっけ、俺は眉間にしわを寄せてちょっと前に起きたであろうことを思い出そうとした。

あまりよく思い出せない。なんか霞んだような感じではっきりしない。んだけど、


うんうん、と俺の顔の団扇を持つファンの子たちの歓声と羨望のまなざしに頷いて答えながら、踊り、次の自分のパートに入るとこでマイクを口に持ってきたところで、

突然演出の予定に入ってないドライアイスのような白い靄とピカって光る何かに包まれて


気絶した?


じゃこれは夢?

俺ライブ中に気絶?

みんなどうしたかな。シュンは?京也は?蘭之丈は?どこ行っちゃったの?もしかして俺だけ?俺だけはけて三人で間をなんとかしてる感じなんだろうか。

早く目を覚ましてライブに戻らないと、お客さんたちが待ってるのに。こんなおかしな夢を見てる場合じゃない。


「あくま神官よ、立つが良い。」

厳かな声がして、見上げると、

はっと息を飲むような美大夫がそこにいた。

怪物くんたちだけじゃなかったのか。

しかも人の言葉話してるじゃん。

なんとなくほっとしたが、別に状況が良くなったわけでもなく、


あ。あくま?あくま。神官って、神官だよね、神の官僚の官って書く神官のことだよな。あくまに付けてるのがわけわからないが。なんかそんなようなことを言ってるけど。

俺?俺のこと?俺に言ってます?

?それ。


俺は美大夫に問いかけるような眼差しを投げた。

身長は180センチくらい、俺と同じくらいに見える。

綺麗なシルバーの髪を後ろでまとめている。よく乙女ゲームに出てくるイケメンの髪型。

眼は緑と赤のオッドアイ。すげえ美形。


イケメンアイドルを自認している、俺でも霞むような気がして変な劣けめを感じるような畏怖をさせるような美しさを持つイケメンだった。

周りのやつがキモイ異形ばかりだから、余計に現実みがないほどのイケメンぶりが際立つ。


こいつ只者じゃないな。ということは俺にも瞬時にわかった。


「魔王様のお言葉だ。立つが良い。」

俺を取り巻いて覗き込んでいたキモイゴーレムって名前だったっけ?岩だか石だか土を固めたみたいな怪物が口を開いた。

ひえー、こいつも喋れるのか。人の言葉話してんじゃん。

ゴーっとか言うんじゃないんだな。

とか思いながらも

ここは取り敢えず立っておかないとやばい気がする。本能が命令に従えと言っている。これが夢とわかっていても言うことをきかないとやばいことになるだろうことは容易に推測が付いた。


俺は仕方なく立ち上がる。


「あくま神官よ。名をなんと申す。」


名前?

俺の名前訊いてんの?

つうか 俺あくま神官ってやつじゃないと思うんだが。

名前とか答えていいんだろうか。

どうしよう。とか思っていると


隣にいたゴーレムが俺の腕をそっと掴んだ。

チラッと見ると、

魔王様とやらの方を見て、俺に答えを促すように頷いてくる。


「根本 晃と申します。」

俺が言葉を発したことにより、

どうやら俺は『あくま神官』とやらになったのを認めた形になってしまった。

ここでのあくま神官としての生活が始まってしまった。


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