A4蛇くんと一緒
「お前、寒くねえか?」
ふと気づいたようにシュンが僕に言った。
「お前って変温動物だろ?ここみたいなちょっと寒いとこって苦手なんじゃ。」
そうなんだ。僕寒いからあまり動けない感じになってる。
「うん。」
「そっか。それじゃ、」
えっ?
僕蛇だよ?
なんと、前世でアイドル誌で見たり、クラスメイトがキャーキャー言ってテレビに出てた話したり、コンサートに行ったよって話したりしているのを聞いて、ちょっと気になっていた、というか、かっこいいなとか、正直ちょっと好きだった、というかポスターとか部屋に貼っていたからかなり好きだった、けど、多分僕コンサートとか観に行ったりしたこともなくて、ファンクラブとかも入ってないうちに前世とお別れしたんではないだろうか。思い出せないけど、多分さっさと死んだっぽいんだけど、ヘブンズゲイトが超人気グループでシュンが超人気のアイドルだということは僕でも分かってるんだけど・・・
今、
僕
シュンの腕の中にいるんだけど。汗。って蛇だから汗とか出ないんだったわ。だけど、焦ってるから使い方間違えてないよね?飼い主が良くネットで書き込みするときに使ってたんだけどさ。
蛇の僕を身体で包んで暖めてくれてるんだけど。
「僕、蛇なんだけど、」
「ん?だからどうした?」
「怖くないの?」
「別に怖くないっしょ。毒とかないんだし。」
「気持ち悪くないの?」
「なんで?別に気持ち悪いとかないけど。俺そういう偏見とかないわ。」
なんだろう。飼い主に抱きしめられるとかだったら、僕気持ち悪いとか思って嫌だったと思うんだけど、嫌じゃない。
むしろ心地いい。暖かい。
「ほらさ、僕毒ないけど、巻き付いて締め付けて殺すとかで危ないとか危険生物だからとか思わないわけ?」
「お前弱ってるじゃん。弱ってるから巻き付いて殺すとか無理じゃね?
それにお前そういうことしないだろ。」
なんの根拠があってとか、お人よし過ぎなんじゃないのとか、思ったけど。
「危ないから僕のこと殺すとかしないの?」
危ない蛇は殺処分とかいうワードが頭に浮かんだから。
でもシュンから返ってきたのは全然違う答えだった。
「だって、お前知性あるじゃん、言葉も分かる、意思の疎通もできる、そういうやつは、危険生物とかそういうのと違うんじゃないか?人間じゃないってだけで、こんななんだか知らないとこで動けなくなって野垂れ死にするの黙ってみてるわけにいかないだろ。」
「僕。僕。」嬉しかった。
「それにお前女の子じゃん。男は女に優しくしないと。男は女を守ってやらないとな。」
びっくりするほど、まっすぐな目で僕の顔を見てシュンは言った。
これって、人によっては受け入れがたい男尊女卑があとかいろいろ言う人には無理な発言かもしれない。
でも、突然知らないとこに移動されて、寒くて身体も動かせないし、ちょっと意識も朦朧としかけてきていた僕にとっては、あまりにも意外で、それに素直に嬉しくて、嬉しかった。
語彙力皆無だけど、僕は蛇だからね。
暖かくて気持ちいい。それにいい匂い。はあ、イケメンの匂いだあ。うーん、イケメンの香りに包まれるのってこんないい感じなのね。前世でもなかったわあ。覚えてないから多分そういういいことはなかったんじゃないかなあ。はあ、それに、今朝テレビで見たばかりのアイドル様の腕の中だあ。はあ、なんて素敵な境遇。こんなこと人生でも蛇生でもなかったわあ。幸せ。。ああ、神様ありがとうございます。
大いなる存在なるものが神様なのかなんなのかわからないけど、きっと神様だってシュンも思ってたみたいだし、ありがとう。ありがとう。
なんて思っていたら、なんか凄く眠くなってきてしまい、僕はイケメンアイドル、シュンに抱かれたまま眠りに落ちていった。




