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6.春の陽気の中で

15歳になって、いまは季節は春。うららやかな陽気に包まれている。私は移動魔法で今日も王宮へ赴く。シャルルの婚約者として。婚約前は『殿下』という敬称をつけていたけれど、いまはよびすてにしてほしい、といわれてシャルル、とよぶことになっている。もちろん、私も『フィオナ』とよばれている。


「お待ちしておりました、フィオレンティーナ嬢。殿下がお待ちにございます、中庭の方へお行きくださいませ」

「ありがとう。いきますね」


転移装置にのり、中庭へと降り立つ。小鳥たちのさえずり、うららかな春の陽気。まばゆい光の中に、シャルルはたっていた。呼びかけると、振り向いて春の陽のような微笑みを浮かべる。こちらへ近づいてきて、軽く抱きしめられてキスをする。婚約してからというもの、キスや抱きしめられたりなどは、挨拶がわりとなっている。


「いらっしゃい、フィオナ。最近、お妃修行の方はどう?魔術の方より作法とかを優先させてるらしいけど」

「ええ。そうなの、順調に進んでいるわ。礼儀作法もマナーも大丈夫よ。婚約成立から3年たつのだもの。早くて夏、遅くとも秋には終わるそうよ」

「そうか。それが終わる頃には結婚式の案内を国内外に出さなくてはね」


そうね、とうなずきながらシャルルをみると、嬉しそうだ。シャルルも今年で19歳、ずいぶん待たせてしまったし、会う時間も大切にしながら、お妃修行も頑張りたいものだ。お兄様たちは、まだ婚約者はいない・・・というか、わたしが結婚するのを待っているみたいだ。家にしょっちゅう帰ってきては、わたしとの時間を大切にしてくれる。お父様も春の月の終わりには一度帰る、との連絡が入っている。今まで一度も帰らなかったわけではなく、わたしが外にでているときに、お父様が帰ってきてすれ違いになったり、だったりした。


「フィオナ、なに考えてるのかな?ずいぶんと、思案顔だけど・・・」

「ん?家族のことよ。だめだったかしら?」

「僕のことを考えてほしいな。目の前にいるのに、他ごとを考えるなんてね。そうじゃないのかい?」

「ふふ、わかったわ。シャルルといつも会えるわけではないし、あなたのことを考えることにします」


お互いの顔をみて、くすくすと笑いあった。うららかな春の日差しの中、私たちは最高に幸せな時間を共有していた。



今年最後の更新です。みなさん、よいお年を。来年もよろしくお願いします♪

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