アクアの祈り
アクアは孤児院の隣にある古びた教会に今日も足を運んでいた。
数年前に建てたばかりの新しい教会がここから徒歩約5分のところにできてから、この古い教会は人が寄り付かなくなった。
しかし、そんな誰もいない空間がアクアにとって落ち着ける場所となった。
石造りの壁は黒ずんでおり所々小さな穴が空いて、光が差し込んでいる。
教会の中は神聖な空気に包まれており、心なしか外より温度が少し下がった気がする。
ー水の精霊王様、どうかこの地に雨をお降らせください。
長椅子に座り目を閉じ、手を組みながら心の中で祈りを捧げる。
私には魔力がない。魔法を使うことができない。
...私にはただ祈ることしかできない。
雨が降らず気温が上がり続ける影響で、年々この村の森林は枯れ作物も実らなくなってきた。
このまま雨が降らなければ私たちはここで暮らしていけなくなる。
今まで暮らしてきた思い出あるこの地を手放すことも、このままこの村が廃れていくことも嫌だった。
神に祈るように再びぎゅっと目を瞑ったその時、
ーパリンッ
身体の奥底からガラスが割れるような音がした。
...身体の、中?
その音にアクアはびっくりし掌で胸元やお腹、お尻と上から下に触ってみたが特に変わったことは何もなかった。
「うーん気のせいかなあ」
謎の音を勘違いだと自分に言い聞かせるようにアクアは能天気に呟いた。
その時のアクアには、自分の身体になにが起こってるのか知るよしもなかった。




