第22話 主人公の初めての反撃
深夜、部屋の明かりだけが静かに揺れていた。
机に広げたノートの上で、ペンを握る手が微かに震える。
0.02%――
希望は薄く、代償は重い。
だが、もう待っているだけでは守れない。
◆
昼間の自転車の事故未遂。
あの瞬間、世界は妹を守らせまいと、全力で干渉してきた。
――なら、俺も干渉してみるしかない。
手を机の上に置き、深く息を吸う。
頭の中で、今日起こった事象をイメージする。
倒れそうになった自転車、妹の足元の位置、風の流れ、周囲のすべて。
「――こうなるはずだ」
意識を集中させると、奇妙な感覚が体を貫いた。
空気が僅かに重くなる。
視界の端で、壁のシワが揺れるように見える。
――世界が、俺の行動に反応している。
◆
翌朝。
妹と登校する道で、再現されるシーン。
昨日と同じ角、同じ自転車。
だが、今回は俺の意思で微妙に歩く位置を変えた。
――その瞬間、空気がわずかに変わる。
自転車が倒れそうになったその瞬間、俺が手を差し出す前に、
微かに風の流れが変わり、妹の足元が守られた。
「……!」
胸の奥に、これまで感じたことのない熱が走る。
――俺の意志で、世界を“ずらす”ことができた。
◆
帰宅後、妹はいつも通り笑いながら靴を脱いだ。
変わらない日常。
でも、俺の胸の奥には確かな手応えがあった。
机に座り込み、ノートを開く。
今日の成功を書き留める。
小さな成功だ。
だが、0.02%の未来に踏み込むための第一歩だ。
◆
その夜、夢の中で、世界の声が囁く。
「君が踏み込むたび、代償は増える」
だが、今度は違う。
踏み込んだ先で、俺はほんの僅かでも、妹を守れた。
代償は恐ろしいが、0.02%の未来を生きる価値がある。
俺は手を握り締める。
――まだ、戦える。
まだ、未来を変えられる。




