第21話 妹の危険がピークに達する
夕暮れが街を赤く染める。
俺は妹の背中を見ながら歩いていた。
だが、胸の奥がざわつく。
――今日、何かが違う。
角を曲がった瞬間、違和感が現れた。
歩道に置かれた自転車が、わずかに揺れ、倒れそうになる。
妹が足を止め、驚きで眉を寄せた。
「お兄……?」
瞬間、世界が干渉していることを直感した。
空気が歪み、風の流れが異常に重い。
――俺が前に出なければ、妹は確実に危険に晒される。
咄嗟に手を伸ばすが、体が重く、腕は思うように動かない。
足の感覚も鈍く、視界がわずかに揺れる。
――0.02%の未来を守る代償が、今、形を変えて現れた。
「お兄!」
妹の声が恐怖と困惑で震える。
俺は手を差し伸べ、ぎりぎりのところで彼女を支える。
触れた瞬間、胸の奥に鋭い痛みが走った。
全身が熱を帯び、頭の中で何かが弾ける。
――世界は、俺たちを押し戻そうとしている。
俺が踏み込むたび、代償が積み重なり、確実に削られていく。
◆
帰宅後、机に向かい、今日の出来事を整理する。
倒れた自転車、妹の動揺、周囲の異常――すべて世界の干渉だ。
「踏み込みすぎると、確実に削られる」
医師の言葉が頭に蘇る。
だが、踏み込まなければ妹は死ぬ。
天秤は完全に崩れている。
希望と代償が、互いに激しくぶつかり合う。
◆
夜、妹が寝室に入る前に、俺は小さく呟いた。
「……大丈夫だよ」
嘘でも、力強く言うしかない。
世界の修正が彼女に触れる前に、俺が盾になる。
ベッドに座り込み、手の震えを抑えながら思う。
今日の代償は、昨日以上だ。
明日はもっと激しいかもしれない。
それでも、俺は前に進むしかない。
0.02%の未来。
希望は薄く、代償は重い。
だが、守るために踏み込むしかない。
――限界まで削られても、俺は戦い続ける。
妹が生きている限り、俺は立ち上がる。




