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第19話 妹が危険に晒される

夕暮れの光が、街を赤く染める。

俺は妹と一緒に帰る道を歩いていた。

でも、胸の奥がざわつく。

――今日、何かが違う。



角を曲がった瞬間、視界の端に黒い影。

一瞬、妹の存在が揺らいだ。

「え……?」

妹が立ち止まり、足元を見下ろす。


世界が“干渉”している。

空気が歪み、風の流れが異常に重い。

――俺が前に出なければ、妹は確実に危険にさらされる。


咄嗟に手を伸ばす。

だが、体が重く、動きが鈍い。

――0.02%の未来で踏み込む代償が、今、形を変えて現れた。


「お兄!」

妹の声に反応し、やっと腕を掴む。

世界が応答し、空気が歪む音が耳を打つ。

まるで、世界そのものが俺たちを押し戻そうとしている。



その瞬間、胸の奥に鋭い痛み。

手足の感覚が薄れ、視界がわずかに揺れる。

――代償だ。

世界の修正が、俺の存在を削りに来た。


妹を守るために踏み込むたび、確実に何かが失われる。

昨日までは漠然としていた“代償”が、今は鮮明に感じられた。


「大丈夫……?」

妹の声が、いつもより少し不安げに震えている。


「……ああ、大丈夫」

声を強くして答える。

本当は、体も意識も限界ギリギリだ。

でも、守るために踏み込むしかない。



帰宅後、ベッドに座り込み、頭を抱える。

ペンを握る手も、呼吸も、すべてが微かに震えている。

昨日までは戦略を考える余裕があった。

今日は、それすらままならない。


だが、妹は目の前で笑っている。

生きている。

守れたのだ。


――0.02%の未来を生きるということは、

小さな勝利すら、命を削る重さを伴う。


その夜、夢の中で、世界が囁いた。

「君が踏み込むたび、代償は増える」


瞼を閉じ、俺は誓う。

どんなに削られようと、どんなに痛もうと、

妹を守るために、前に進むと。


0.02%。

その数字は、希望であり、罰でもある。


俺は、それを背負いながら、まだ戦い続ける。

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