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第18話 世界の攻撃が加速する

朝、カーテン越しの光が淡く差し込む。

だが、昨日までの穏やかな光とは違う。

空気が重く、胸が締め付けられる。

――世界が、昨日よりも本気で攻めてくる。


俺は立ち上がり、机に向かう。

ペンを握る手はまだ震えていたが、昨日の経験が頭に刻まれている。

――動けば代償。動かなければ妹が危険。

踏み込むしか、選択肢はない。



学校に着くと、すぐに違和感が走った。

通学路の空気、友人の視線、すれ違う風の流れ――すべてが微妙に歪んでいる。


「……まただ」


妹が歩く背中に視線を向けると、彼女の影が一瞬だけ、別の動きをした。

まるで、世界が「こっちへ進むな」と警告しているかのように。


俺は咄嗟に反応し、足を止め、距離を空ける。

その瞬間、胸の奥が強く冷えた。

――代償だ。

0.02%の未来を生きる代償が、今、目の前で積み上がった。



放課後、俺は大学病院に向かう。

医師に確認するためではない。

戦略を練るためだ。

どこまで干渉できるのか。どこまで動けば、妹を守れるのか。


診察室に入ると、医師はすぐに視線を向ける。

「踏み込む気だね」


「はい」

短く答える。

言葉以上に、決意を込めた。


「0.02%の未来は、君が試すものだ」

医師は淡々と語る。

「だが注意しろ。世界は容赦なく、君の行動に反応する」


その言葉が、昨日よりも重く響いた。

――俺は今まで、ただ守ろうとするだけだった。

だが、守るだけでは、0.02%の未来を踏み抜くことはできない。



帰り道、頭の中で戦略を組み立てる。


1.妹の行動パターンを把握


2.世界の“修正反応”を予測


3.最小限の干渉で最大の効果


――簡単ではない。

世界は生き物のように動き、俺の一挙手一投足を観察している。


しかし、覚悟はできている。

代償は受け入れる。

消えかける存在も、薄れる意識も、すべては妹を守るため。



その夜、ベッドに横たわると、妹が小さな声で言った。

「お兄、今日は……変だった?」


答える前に、俺は深呼吸する。

「ううん、何も変わってない」


嘘だ。

でも、今はそれでいい。

世界の修正を誘発させないためには、

嘘も、踏み込む力の一部なのだ。


瞼を閉じ、意識を集中する。

明日、どの道を選ぶか。

それが、0.02%の希望を生かす唯一の鍵だ。


――世界の攻撃は止まらない。

だが、俺もまた、戦い始めた。

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