世界のあぶく
前話 ちょっと重要な改定
フォリアは神々のなかで善悪正邪について、一つの方向を与える神とされる。
迷っているものは、どのような光でもそれに従うだろう。それが邪悪なものを生じても光それ自体には価値がある。
エクセンスは運命の神である。彼はつねに織物の糸や盤上の駒を動かし、気に入ったの配置と視点を探そうとする。自分のひと弾きから生まれた特異点の広がりを予測し、そこから起こる世界の変化を甘受する。
今回のひと弾きはミスクリックのような失敗があったために予測外の出来事が生じ始めていた。
しかしそれは今はあぶくのような儚い世界の瑕疵にすぎない。
もうそろそろ本来導き出される出来事どおりに世界は出来事で波打ち、変化しだす。そのとき予想外のあぶくは弾けて消えるだろう。エクセンスのひと弾きがミスクリックのあぶくをどのように打ち消していくのか注視していた。
実際にリースとルシードは困窮していた。
ルシードはドラゴンの姿であったことが長かったせいか、体力や魔力が著しく衰えていた。つまり人としてなまっていたため、何度も休憩を取る必要があった。ルクティはさっさか進んでいく後ろ姿をとらえるのが精一杯だった。
「ルクティ待て」
そう言われてうんざりして振り向く。ドラゴンでなくなってからのルシードにルクティはいささかがっかりしていた。
自分で自分は腕が立つ魔剣士だとか、おおよそのスキルは極めた等といっていたのに
これじゃあ体力のないおっさんじゃん。
「ルシード様。もうすぐ山のふもとですよー」
そういってもルシードはペースをあげるどころか木に長身を持たれて目をつむって、停止していた。
ルクティはあきれて、ふもとへ歩き始めた。
「まて、ルクティ」
その声は無視された。ふもとでは空は快晴で風の強い気分のいい気候で、道が地平線まで伸びていた。
「あのルシード様。薬は私一人で売りますから、先に宿にいって休んでいいですからね」
なんだかんだ街までついて。ルシードはくたびれた様子をみせなくなった。他人に対して警戒をしているのかもしれないとルクティは思った。
「……」
「いや、もう散々山でお疲れの様子だったじゃないですか。今から気張っても、こっちが心配になりますよ。」
「お前が心配だ」
こっちが心配だ、とルクティは思った。
「しかし、そういうならばお言葉に甘えさせてもらって、先に宿に行って休んでおこう」
ええ、そうしてください。そういいながらルクティは荷物のチェックを始めた。
「しかしこれだけは言っておくが、人に戻ってから時間が経つにつれて、以前の力が戻りつつある。そのときにはお前の期待する以上の働きができるだろう。私をあまり見下げないことだ」
こういうことをわざわざ言う必要あるのかな、ルクティは思った。
別に見下げたこと言ったわけじゃないのに。態度に出てるのかな。
「大丈夫ですよ。今は体をいたわってくださいね。ルシード様」
ルクティは内面を隠して、そうニッコリと笑顔を返した。




