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ミスクリックの異世界転移 間違った先で婚約したヒロインが執念深く追跡しだす  作者: 水都


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3/9

ドラゴンと協力します


ドラゴン守として、村から数キロ離れた地点高台の先端部に鎮座するドラゴンの卵をリースは見つめていた。大きさは妊婦の腹程で、ざらついていて、麻袋のような色合いの茶色い卵だった。

ドラゴンがもたらす様々な危険を想定して村からはずっと離した場所で村人一人で育てるのが通例だった。生活物資は既に運び込まれており、人一人が暮らせる簡易的な住処ができていて、

生活物資も定期的に補給される予定だ。


夜半夜空を見上げてごろ寝。となりの卵はまだ孵る様子がない。私は家族のことを少し考える。

私の夫と家族どちらを取るかというはなしならば、前者に決まっている。これは道徳的にも正しいとまではいかなくとも間違ってない。

問題は彼はどこにいったのか?ということだった。私が弄ばれただけならば、私は愚かであって、そのせいで家族に迷惑までかけているということになる。

正直可能性が零とはいえない。それは認めよう。しかしどこへ消えたのか?の答えにはならない。


あの日私の問い”どこから来たのか”になぜか彼は答えられなかった、村で祭りをやっていることすら知らなかった。そんな人が一体私に求婚した後どこへ消えたというのか。


可能性として夜中あたりを散策しての滑落の事故死がありえた。私はすぐにその可能性を考えて、息も絶え絶えになって熱を出したが、

しかし、あり得そうな場所を探しても、遺体がいつまでたっても見つからない。私は一日過ぎるたびに彼が生きているという確信をどんどん深めると共に活力を取り戻したが、

どうじに、騙されたり可能性が増してきて、そちらの苦痛に苛まれることになった。

生きているのか、死んでいるのか、騙されてたのか、あれこれ考えるのにほとほと飽きて、私はともかく、大胆に行動したくなった。

ドラゴン守の危険を省みないのはそのせいなのだ。家族を不和も省みないのもそのせいだ。

つまり私の勝手という父の言はあたっていることになる。


革袋から水を飲む。夜空を見上げ、あの日のことを主観的感情を抜きで言細やかに思い出す。


「やっぱり騙されたなんて思えないわ。そもそもどうやってあそこまで来たのかそっちを考えたほうがいいかも。ん?」


卵の方から音がした気がしました。私は立ち上がって距離を取って卵を見下ろします。


間違いなく、バリバリと卵が内側から何かで突き破った音が聞こえた。可愛げのない大きさの爪が卵から伸びているのが見える。


「い、いよいよね。早かったわね。私はここにいて大丈夫かしら」


これって本当にドラゴンの卵? 大きすぎるきがする。いや明らかに卵より大きななにかが卵から現れている。


卵のシルエットがモデュレーションしていって黒い影が広がっていった。


卵から出た何かは足元に卵の殻の踏み付け、長い首を伸ばして、翼を大きく展開し、天に高らかに咆哮をあげた。


体積が何十倍にもなってます。私のちょっと大きなトカゲを育て上げるような可愛い想像が吹き飛びました。

とりあえず、恭順の意を表した方がいい気がしたので、片膝をついて見上げるな姿勢になりました。


「我が名は、ルシード。ドラゴンとしてこの世界にやってきたのだ。お前は我が生贄か屠殺者か」


世界?私はすぐにドラゴンの伝承を思い出した。世界の理を知る。


「私はあなたの世話をするためそばにいたものです。まさか育った状態で卵から出てくるとは思いませんでした」


「どちらでもよい。世話は不要だ。私はそなたが想像する訓育されるようなドラゴンとは違う。」


羽を大きく広げてた姿は、大きな鳥のようでもあったが、尻尾や口からのぞかせる牙の威圧感がそれとは別物だとわかった。

このドラゴンは一旦目の私から目を離し、自分の姿と体をチェックするように細やかに体を動かしていた。

私はおずおずと尋ねた。


「この世界の外からやってきたのですか?」


質問は無視され、ドラゴンは首を回して関節の調子を確かめていた。


「何か重大なことがあってのことだと思います。こんな場所に落ち着いて生活を始めるわけないと思います。ちがいますか?」


「それがなにか?」


「私もあなたの行くところにつれていってほしいのです。役に立てるはずです」


ルシード様は長い首を私の顔の前まで動かして、凝視した。冷たく悲しい目という印象をうけた。私は平常心を乱さぬように努めた。


「闘いのためにこの世界に来た。それでも協力するというのか」


また、危なそうな展開です。でも私もしぶとくなってきてるのかもしれません。ルシード様にはっきりと宣言しました。


「私は愛のために。」


ドラゴンは首を傾げた。


「? つまりどういういことだ?」


理解に苦しんでいらっしゃるリアクションだった。馬鹿と思われている気がして悲しい。


「愛のためです。どうしても再開せねばならない相手がいます。その人は4か月前のこの辺りに何の手掛かりもなくあらわれて、消えてしまわれました。普通のやり方では見つけられない、そんな気がするのです。」


「多次元横断者か?」


「なんですかそれ?」


「私のように別の世界に行き来するもののことだ。」


さっそくドラゴンの知恵を得ることができたみたいだわ。別の世界を行き来するですって、でもこの世界にもういないってことかしら?


「仮にそうならば私の探している人はこの世界にはもういないのでしょうか」


「かもしれない。あきらめるか?」


「いいえ。あきらめません。ルシード様はまだ何か知っているみたいですし。ルシード様が戦う相手もそれなのでしょう?」


「そうだ。物分かりがいいな君は。私も一人では動きずらい。こんな身なりではなおさらだ。協力関係であればこちらも望むところであるが、どうする。」


「望外ですわ。よろしくお願いいたします。ルシード様。」



 リースは家族には最低限のことを書き残して、その日ルシードというドラゴンの背に乗ってコーリヤ村を飛び去った。リースが家族に直接別れを告げなかったのは反対されるのが目に見えていたからであるが、それとは別にルシードの気が変わらないうちに即刻村を去るひつようがあったためだった。

こんな別れをしたのだからもう一生許されないのかもしれないと思ったが、ルシードとの出会いは彼との出会いには彼との出会いと同じで、誰も邪魔することの許されない神聖なものを彼女は感じていたのだった。


ルシードの首の付け根に乗って月の明かりを受けながら雲海を進む。とりあえずは、飛行の訓練を兼ねて東風に身を任せて大陸中央部に進んでいた


「とんでもない親不孝者だなリースよ。その男に家族を捨てるほどの価値があるのか?」


「そうですね」


なんか身の上話をしたら、ドラゴンに諭されてしまっています。言い返す言葉はありません。


「もしかしたら後悔するかもしれません」


適当に答えた。まったく後悔する気はないけれどね。多次元横断者という特大な手掛かりを聞いてから期待で興奮しっぱなしだった。


「そんなふうにはみえないな」


ギクリ、とした。このドラゴンなんか変だな。


「ルシード様は本当は人間ではないのですか?」


「なぜそう思う」

「会話してみて、あまりにも人の底意地が図ったようなこというものですから、人間臭いなと思いました。」


「その通り。人の姿をすることもある。しかし人間かどうかという問いに答えるのは難しい」


「ルシード様はやろうとすれば人の姿になれるということですか!?」


「世界を超えてきたことに比べれば驚くようなことではないだろう?

限定条件で人の姿に戻れるが、簡単に揃えられないために、お前の協力を必要としているのだ」


「なるほど、分かりました。」


私は快活に答えた。買い出しとかだろうな。ルシード様はどんな姿だろうかと想像しだす。

いやいやいや、ちょっとまてよ。


「わたしも戦うんですか?」


「ドラゴンのなりでは手の届かない場面では手伝ってもらう。そういう話だったはずだが。」


「ええ、まあ、そうですね。」


あがりっぱなしのテンションが、すこし落ち着いてきました。すばしっこい方だとは思いますが、取っ組み合いには自信も興味も無いです。少し自嘲的なさげな笑みを浮かべて、空から大地を見下げると、大陸最大のガリル湖が見えました。静謐で冷えた湖はルシード様の瞳をのぞき込んだ時と似た印象を受けたました。




そのうち彼の話に移ります

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