家族とうまくいきません
「ドラゴンの守り手になります」
私の両親のと兄の驚いた顔をしたが、まったく想定外というわけではないだろうと思った。
父と兄は一応ドラゴンの危険性をといて、やめさせようとしたが
私はそれも覚悟の上なので無意味なのだった。
「危険なことは分かっていますが、これをやる以外で村にいる役割がないのです」
「結婚すればいいだろう。おまえは恵まれた器量をもっているだ」
「婚約済みですから無理です。」
父は頑なに彼の存在を認めなかった。私の虚言だと言い張った。それまで仲の良かった私たちはかすかに憎しみ始めていた。
「いままで育ててやってきたのに、無駄な死に方をするのは許さん」
私はカッと頭に血が上った。これが父の偽らざる本音なんだと思った。私は何でもいいから反撃にしたかったので、栄誉あるドラゴンの守りてという建前の観念をもちだした。
「お父様。ドラゴンの守りては、誰かがやらなければならないことです。光栄な役目です。その栄誉を侮辱するのですね?それは村の伝統を否定するのと同じです。」
父は何も言いかえせないようだったので、私は調子づいた。
「私がやらなくても誰か若い娘がやらなくてはならないですよ。それなら私がやります。私がちょうどいいです。すこし頭がおかしくなっているという噂もありますからね」
父はまったくいいかえせないようだった。ここで手を緩める私ではなかった。追撃するように言った。
「ドラゴンの守り手が死んださい、家族にお金が入る仕組みがあるそうですよ。だから私の死んでも無駄じゃないわけですね。」
「そうか。そんなに死にたいのか。それなら勝手にしろ。」
「勝手?村と家族のためになることをするのに、なぜ勝手なんですか?」
「リースやめろ」
兄の制止がはいった。私は落ち着くために深呼吸した。いつもの家の雰囲気が不可逆かつ決定的に変化したようだった。
兄の咎めるような目線がむけられている。私が言い過ぎたのは明らかだった。
父は重苦しいオーラをまとって、頭を抱えている。兄は怒った顔向けて私に謝らせたいようだった。
なんといえばいいのでしょう。このやってしまった感。私が悪いような気がしてきて、家から飛び出した。
一人で野原に座って落ち着いて考えよう。
つまり、まあ私は父のものではなくて、もう彼のものだから仕方ないのです神様。折り合いをつける努力はするつもりですけど限度があります。
だいたい私がやらなければ誰にお鉢が回るのでしょうか、村の少女全員のなかで私が一番要領がいいのは明らかです。
ドラゴンは元来、家畜化される動物ではない。それどころかもっとも秘教的な宗教家の中には動物の一種ですらないという人もいる。
そのようなものと対峙し続けるドラゴン守の非常に危険は高い。家畜化の歩留まり率はそのままドラゴン守の生存率といえる。
迷信深い人はドラゴンに対する信仰が無垢の子供の犠牲を正当化していた。
もうすこし利発な人はドラゴンの卵は投機の対象であった。
要は海洋貿易と同じで10隻の船のうち何隻が無事帰ってくるかというような、確率の問題とかんがえられた。しかし、ドラゴン育成は航海ほどに蓄積された情報はなく、また宗教による干渉が多いところが違っていた。
もし従順に手なずけられなかったら…
火の息で焼死。爪で惨死。牙で食い殺される。屈強な前足で捕まれて、高所から放り捨てられ死亡。
リースの危険は本人の予想を超えて高いものだった。
リースの兄アルジャンは父親の彼女を思っての心痛を見るたびに、嫉妬心と後ろ暗い後悔とに同時に襲われるようだった。
彼はリースに嫉妬していた。長男として嫡男としてリースと比べて不当にわずかな愛情しか受け取っていないと感じていた。
「父さん、リースがドラゴン守になるのが決まったわけだね。」
「勝手に言っているだけだ。あいつは良いところの嫁に行ける器量と徳があるんだ」
アルジャンの中にまたチクリとした焦燥といら立ちが起こった。
「リースの才覚ならうまくやるんじゃないか? ドラゴン守が危ないことでもうまくやり遂げたりしてね。そうしたならばどっかの家に貰われるよりずっと名誉じゃないか」
「危なすぎる。ドラゴン守のノウハウは失われつつある。最後にドラゴンを手なずけたのは4,50年まえのことだぞ。こうなったらこっそりと卵を割ってしまってそれで終わりにしようと思う」
「それこそバカだよ!いまだってドラゴンを信仰している人はたくさんいるんだ。そんなことしたら僕たち一家は生きていけない」
「秘密裏にやるんだよ。」
アルジャンの感情はついに爆発した
「父さん。なぜいつもリースのことを優先して考えるんだ。リース、リースって、俺が長兄だろ。あいつは結婚したくないから危なくてもドラゴン守になる。それでいいじゃないか」
「なぜ追い出すような真似をしないといけないんだ。なんであんな嘘をつくんだ。なんで仲違いしてわかれなきゃならないんだ」
「まだそんなこと言っているのか」
アルジャンのあきれたような声が空間に染みわたる。長い沈黙のあとアルジャンはぽつりと真実を話した。
「実は、俺あの祭りの日に変わった服装の男の子をみたよ。多分リースの言っている奴だろう」
「な、なんだってー!なんで黙っていた!!!」
「だったらなんだよ。リースのためだよ。婚約者が逃げたより、最初からいなかったってしたほうがいいに決まってる。それが妹のためだ。」
「俺に何で言わなかった。俺はこれまでどれほどリースを責めたかしっているか!」
アルジャンは冷めた目で床を見つめて答える
「父さんがリースの味方したらリースが諦めないだろう。兄としての思いやりだよ。だけど無駄だったな。妹は本物の馬鹿だ。好きにさせるしかないさ」
リースの父はアルジャンの言葉を最後まで聞かずに家を飛び出した。
リースのドラゴン守に村で正式に任命された。村としてはドラゴンの卵を育てるは名誉なことであるという建前の元、本音では、鬼が出るか蛇が出るかの厄介な代物でもあった。
またドラゴン自体とは別にドラゴンに対する信仰を持つ者たちがそこらにいて、その人たちからの干渉も考慮に入れるべき事項だった。
諸々の事情を勘案すると、リースがドラゴン守を希望することは、他の村人にとってかなり都合がよかった。
村長は最後に確認のためリースを一人呼びつけた。
「こうなってしまったのか。ドラゴンは偉大だが、ドラゴンの世話は重荷じゃな。いつだってそうだだった。」
「村長。これでよかったのです。ドラゴン含む幻獣は世界の理を知るといわれてます。私は実はそれが私の求めているものへの道標となるかとおもっているのです。」
村長は長い時間何か回想に耽ったように押し黙った後、慎重に答えた。
「ドラゴンと心が通じれば、その可能性はあるじゃろう」
「わたしやってみます」
「うむ。おや ありゃなんじゃ」
一目散に飛び出して高台方へ向かう人が一人見えた。
「あれは私の父ですね」
「卵の方向じゃな」
「ええ」
そこでようやく何をする気が気付いた。
「ああ!まずい!!!卵ぶっ壊すつもりですよ」
「止めなさい」
リースもまた俊足で高台にむかった。
お父様をいじめすぎたかもしれない。
卵を割ったら、一家は追放されてもおかしくないし、村の評判も傷つくし、なにより彼とのつながりを失うような気がして恐ろしい。なにもいいことはない絶対にとめなくてはならない。
私は全速力中の全速力で卵が見つかった高台の高所をめざした。
全身全霊で駆け抜けた茂みの先に卵と父を視界にとらえた。父は石を振り上げている。
「ゴンッ!」
私はスライディングして、滑りながら卵をキャッチすることに成功したが、父が振り押した岩に頭を打たれて、卵と抱えたまま、白目向いて気を失いました。
「は!」
そんなに時間をたたずに、わたしは目を覚ましたようでした。卵を抱いたままで、卵が無事でほっとしました。
父と兄と村長と村の大人数人がその場にいました。
父は私にすまなかった、と詫びました。
私は気にしなくていいです、とそっけなく言ったので、父は立つ瀬がないようでした。
「これでリースをドラゴン守として認めざるえない、アルスそうじゃな?」
村長はそういって、しぶしぶお父様を肯かせたのでした。
兄は私の方に目もくれず、心配している様子も見せないで、先に村の方へ帰っていきました。
もしかして怒ってる?
なんだかずっと仲良くやってきた家族3人の関係がこじれ始めたようで、冷たく暗いものがただより始めた気がします。
しかし、私にとって優先するのは彼との約束です。
彼にまた会いたい。捨てられたなんて信じられないのです。向こうも会いたがっているはずです。
そのためにやるべきことがあるならなんだってやってやります。
毎日更新予定です!
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