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異世界で社長になる。   〜5歳児から始める異世界ビジネス革命〜  作者: Mizunoki.Kawai


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革命のはじまり

## 129話 革命のはじまり


朝の炎の鍋亭は、今日もいい匂いが漂っていた。

俺と父さん、母さん、そしてレノの4人で、いつもの大盛り朝食をがつがつ平らげていく。


「父さん、昨日は炎の鍋亭2号店の初日どうだった?」


父さんは大きく頷いた。


「うむ。飲食店が足りてないのもあるが、たくさん来てくれたぞ。プレサントの試飲もやったが、追加で頼んでくれた客も多かったな!」


「ほんと? よかった!」


母さんも顔をほころばせる。


「本店でも、昼に試飲して飲みに来たって人が多かったわよ。忙しかったわ」


〈やっぱり……酒と飲食店、そしてランチボックス。全部が相乗効果を生んでる〉


俺は思わずニヤニヤしてしまう。


レノが落ち着いた声でつけ加えた。


「はい。それぞれが売上や広告効果につながっているみたいですね。これでプレサントは大きく伸びますね。後はリバーシですが」


「うん。カチさんが今日、印刷機を取りに来いって言ってたから行こうか」


レノは軽く首をかしげる。


「できているとして……作業はどうしましょうか? 人手が必要では?」


「確かに、人が何人か必要だよな」


すると母さんが、すぐに笑った。


「いいわよ。母友に声をかけておくわ。まだ働きたいって人もいるし。作業は簡単なの?」


〈さすが母友ネットワーク……スピード感が異常だ〉


「助かるよ! 作業は、型にインクを塗ってぺたぺた紙に押すだけだよ」


「それなら、みんな話しながらできそうね。何人必要なの?」


「じゃあ……4人とか?」


レノが補足する。


「場所はランチボックス製造所の空き部屋を使えば十分でしょう」


「4人ね、余裕よ! 給金は銀貨3枚でいいのね?」


〈頼もしすぎる〉


「うん! それで行こう! じゃあ今日はテンドーさんとミナと一緒に製作所に行こうか!」


父さんが目を細めた。


「製作所……?」


〈そっか。昨日いろいろあって、ちゃんと説明してなかったな〉


「そう! カチ鍛冶屋がまるごとうちに入ってくれたんだ。みんなカチさんと働けるのが嬉しいって」


父さんは呆れ半分、感心半分で言った。


「お前は……本当にとんでもないな」


〈いや俺も、トントン拍子すぎて正直びっくりしてるんだよな……〉


「うん。みんな喜んでくれてよかった」


レノが微笑んだ。


「ライムさん、流石です」


 


朝食を終え、俺とレノ、テンドーさん、ミナの4人は、カチ鍛冶屋こと炎の夜明け商会の製作所へ向かう。


「すいませーん! すいませ……」


「うっせえ、聞こえてるわ! あっちで待ってろ!」


カチさんの声が、今日も鍛冶場に響く。


「ライム社長! ちーっす!」


弟子たちが口々に挨拶してくれた。


〈いつものやりとりに、新しく社長呼び……地味に嬉しい〉


カチさんとラークさんが、奥からどしどし歩いてくる。


「できてるぞ!」


テーブルの上には、文字が彫られた部品がたくさん並び、枠のような器具がいくつか置かれていた。


「ラーク、やってみろ」


「へい!」


ラークさんは、型にはめ込まれた文字部品にインクを塗り、紙の上にポンと押し込む。


次の瞬間——

ミナが作ったルールブックの1ページが、驚くほどくっきりと印刷されていた。


「わぁっ! 私が作ったるーるぶっくだ! こんなに簡単にできるんだね!」


テンドーさんは震える声で言った。


「こ、これは……簡単にもほどがあります。1ページが一瞬で……! とてつもない発明ですよ……!」


〈そう、これは……世界を変える力だ〉

〈『印刷機』なんて呼ぶのも恐れ多いくらいシンプルなものだ。でも、この世界には存在しなかった革命だ〉


俺は感動を隠さず言った。


「やっぱりカチさんたちはすごいよ! こんなにすぐに作れるなんて!」


カチさんは鼻を鳴らす。


「こんなもんすぐだ! 弟子たち総出で文字を彫るのが大変だっただけだな」


ラークさんが続ける。


「でも、文字になる型を一度作れば、これからは文字を彫らなくてもいくらでも複製できますね」


テンドーさんが目をキラキラさせながら手を挙げた。


「私も……ほしいです!」


「まぁそのうちね! まずはリバーシだよ!」


「そ、そうですね!」


レノが段取りをまとめる。


「これから炎の夜明け商会のランチボックス製造所で印刷を開始します。できた分は随時、エステルへ送ってください」


「承知しました! 忙しくなりますね!」


 


こうして、世界を変える発明が生まれ——

その最初の使い道は、なんと『リバーシのルールブック量産』という贅沢仕様になった。


この印刷機は、後にこの国に『知識革命』を起こすことになる。


その第一歩として、母友たちの協力のもと、

ランチボックス製造所の空き部屋で、毎日200部のルールブックが印刷されることになった。


〈さあ……ここからだ。プレサント、そしてリバーシもやれることはやった!〉


ガラワ組との約束に向けて、改めて走り出した炎の夜明け商会であった。

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