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異世界で社長になる。   〜5歳児から始める異世界ビジネス革命〜  作者: Mizunoki.Kawai


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エステル出張の終わりと、それぞれの想い

## 121話 エステル出張の終わりと、それぞれの想い


学舎長室に戻ったところで、クララがくるりと振り返った。


「ねえねえ、私役に立った?」


クララさんは相変わらずルンルンだ。

あの堂々たる事業紹介と質問回答、完璧だったよな。


「はい。完璧です。さすがナンバーツーです」

レノが穏やかに微笑む。


「わ、私は……頭真っ白で何も分からないまま終わっちゃった。ごめんなさい」

ミナがしゅんと肩を落とす。


「いや、パンフレットだけで十分すぎるほど活躍だったよ」

俺は即答した。


テンドーさんも頷く。

「みんな、パンフレットに穴が開くんじゃないかってくらい見入ってましたよ」


「これで少しは集まってくれるといいのですが……」

レノが小声で呟く。


〈いや、レノは見た目とカリスマ性だけで女子生徒の半分は来るかもしれない……〉

そんなことは言わないけど。


「ここまでやって集まらないなら仕方ないさ。でもみんなすごく良かったよ。きっと大丈夫!」

俺がそう言うと、


「そうじゃな。よい会社紹介だったと思うぞ。泣いておる者もいたしの。あんな盛り上がったのは初めてじゃ」

ヘイズさんが楽しそうに笑った。


確かに、涙ぐんでいた学生が何人もいた。

それを思い返していると――


「ライム! ワシを今すぐ雇ってくれ! お前のところで働きたい!」


ガリレさんが突然、気迫たっぷりに前へ出てきた。


「え、えーと……」

俺は完全に固まった。


「何を言っている。授業はどうするんじゃ」

ヘイズさんが慌てて制する。

「お前さんが研究をしたいから教員をやっているのは知っとるし、応援したいがの」


「そんなことどうでもいい!」

ガリレさんは声を張った。

「俺は初めて……ここで頑張りたいと思ったんだ!」


〈うれしい……けど待って、ガリレさん〉

その気持ち、本当にうれしい。

だけど――


「だめだよ、ガリレさん!」

クララさんがズバッと言った。

「レノのお話聞いてなかったの?」


「ぐっ……」

ガリレさんが言葉に詰まる。


〈クララさんは本当に正論を真っ直ぐ投げるな……〉

すぐにでも来てほしい気持ちはある。だけど――そうなんだ。


「ガリレさん、そんなふうに思ってくれて本当に嬉しいよ。俺もすぐにでも一緒に何かしたい。

 でも……みんな同じ条件でやりたいんだ」


ガリレさんはしばらく黙ってから、小さく息を吐いた。


「……わかった。すまなかったな。クララの言う通り、パンフレットに書いてないから誰でも応募できるし、レノの言う通り選考が必要だ」


その素直さに、少し驚いた。


「でもね」

俺は言った。

「水車とか風車の研究、やってるって話してくれたよね?

 俺、どうしてもやりたいことがあるんだ。

 そのために……効率よく、大きな力を引き出す方法を研究してほしいんだ」


ガリレさんの目が、一瞬で輝いた。


「ほんとか!? その研究が……役に立つんだな?」


「うん。どうしても必要なんだ。

 だから、それまでは今の仕事を続けながらお願いね」


「わかった! こうしてはいられん! では、また頼むぞ!」


そう言って、嵐のように走り去っていった。


そんなガリレさんを見送ってヘイズさんは続ける。


「助かるぞい。あいつはあんな奴じゃが、途中で穴が開くのは困るからな。

 そして、あいつをよろしく頼む」

ヘイズさんが苦笑する。


「こちらこそ!」


テンドーさんが手を叩いた。

「では帰りますか。忙しくなりますよ!」


いつものマイペースでそう言った。

こうしてエステル出張は幕を閉じた。


後に伝説のプレゼンとして語り継がれ、

学舎の歴史に名を刻むことになるとは――

このときの俺はまだ知らない。


---


帰りの船。


夕陽がノール川を金色に染める中、俺たちは甲板に集まった。


「よし。プレサントの著作物登録、プレサントの販路拡大とマーケティング、リバーシのテコ入れのアイディア、人材獲得……

 全部やれるところはやれたね!」


「うん! 私もっとお手伝いするからね!」

クララが胸を張る。


「私もすぐにぽっぷと、るーるぶっく準備するね」

ミナもやる気満々だ。


「まずはガラワ組との金貨500枚の約束に向けて頑張りましょう」

レノが引き締まった顔で言う。


「みんな、ありがとう。じゃあ準備を始めようか!」


達成感と期待を乗せて、船はロンドールへ向かって進む。


未来が、確かに動き始めている。

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