表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十六章 ハーレムの行方

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

283/299

廊下で待機

 フォンの様子がおかしい。

 目覚めたけれど、俺たちを他人のように見つめている。しゃべり方にも、あの柔らかなトーンがない。表情が抜け落ちたようで、感情が読み取れない。


「あたい、妖精族の男性と、医務室の人を呼んでくる」

 サァラが部屋を出て行った。

「手分けした方が早い。医務室は俺が行く」

 俺はサァラに声をかけると、廊下の先でサァラが片手を上げた。了解という合図だろう。



 俺が医務室の人とフォンの部屋に戻ると、フォンはクッションに座っていた。ルナはその近くに座っているが、会話は弾んでいないようだ。

 ルナは困ったときの顔をして、俺にすがるような目を向けた。


「初めまして、フォンさん。私は英雄バスラのクランで、医務室を預かっているカイと言います。治癒師ですが、遠征についていけなくなったので内勤をしています」


「初めまして、カイさん。フィオルニアと申します」

 フォンはニコリともせずに、そう名乗った。

 俺の隣で、ルナが小さく息を呑む。


 廊下から走ってくる足音が聞こえた。入り口から廊下を見ると、サァラと昼間に会った妖精族の男性だ。

「サァラ、あんなに走ってるけど、大丈夫なのか?」

「本人は、獣人は人族ほど安静にしないって言うんだけど」

 俺もルナも人族だから、本当に大丈夫なのかわからない。



 治癒師のカイが、「妖精族の男性とフォンに質問をしたい」と俺たちは部屋を追い出された。廊下で所在なく、待つしかない。


 ルナが半月刀の手入れを始めて、「痛っ」と指を舐めた。

 サァラは空中に拳を突き上げたり、蹴りを繰り出したり、体を動かしている。もう、俺に「体は平気なのか」と声をかける余裕はなかった。

 俺は……どうしよう。短剣の手入れは危なそうだし、騎士団で教わったストレッチでもやるか。


 内側から妖精族の男が顔を出し、事務長を呼んできてくれと言う。

「そういえば、フォンが目覚めたって報告するの忘れてたな。俺が呼びに行くよ」

 何もしないより、体を動かしている方がいい。長い廊下を、機械的に足を動かして進む。


 フォンが目覚めれば、全てが解決すると思っていた。どうしてこうなった?


 事務長がフォンの部屋に入った。しばらくして出てきて、「当分の間ここをフォンの部屋にする」と言った。

 使用人に頼んで部屋に寝具を運び込み、フォンをそこに寝かせる。部屋中に散らばったクッションは、壁際に集められた。

 フォンが入っていた繭は、後日、魔法使いたちが回収しに来るという。


 住み込みの下働きたちがフォンの体を拭き、着替えさせて寝かせるようにとカイが指示を出した。俺たちは会議室に移動し、そこで話し合いをすることになった。


 会議室に着くと、すぐにバスラも来た。

 ルナ、サァラ、俺と、バスラ、事務長、治癒師のカイと妖精族の男性レムという顔ぶれだ。


 カイが聞き取りの結果を話してくれた。

「サークレットによる洗脳が解けたので、本来の性格が表れている可能性がある」

「『本来の』? 今までのフォンが偽物ってこと?」

 サァラが刺々しく反論した。


「偽物とまでは言わない。他人に手を加えられ、ねじ曲げられた部分があるということだ。

 それから、記憶の時系列がめちゃくちゃになっているようだ。子どもの頃の出来事も、つい最近の出来事も区別がつかない混乱が見られる」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
クズな奴が記憶喪失になって純朴な性格になったら、そのまま記憶喪失にしておくなんて事もあり得るやろうなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ