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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十五章 王都の冒険者

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意外な調査結果(前編)

「とりあえず、話を聞かせてもらいます」

 ゴリラ獣人が代表して、ビーバー獣人に話しかけた。


 ラッコのリーダーは興奮しているので、ちょっと離れた場所に連れて行った。力自慢の冒険者が両脇に待機している。


 ビーバー獣人は拘束されていないけれど、数人が警戒態勢を取っている。武器に手をかけているのを見るだけで震えているため、もう暴れたりはしないだろうと判断された。

 ラッコのリーダーと取っ組み合っているときも、武器は出さなかったしな。


「村人が入水自殺しようとしたから、助けただけだよ」

 ビーバー獣人が、緊張しながらそう言った。


「え? そうなのかい?」

 ゴリラ獣人は、否定せずに話を促す。


「えっと『帰りたくない、自殺を止めた責任を取れ』――て言われたから、別の場所に連れて行ったんだ。そこで生活してる。ちゃんと生きてるよ」

「でも、一人だけじゃないよな?」

「生活が落ち着いた頃に、『あたしみたいに苦しんでいる人がいる』と言い出した。だから、彼女が心配している人間が池に来た時に、彼女の言葉を伝えただけ」


「それじゃあ、消えた人たちはモンスターに襲われたのではなく、ただの家出ということか?」

「まあ、そういうこと。

『何でも押しつけられるから、もう嫌』だって。『ここに来て良かった。戻りたくない』って口癖のように言ってる人もいるよ。

 それから、誘ったけど断った人もいるんだ。昨日、小舟を浮かべていた夫婦とかさ」


 襲われないとわかっていたから漁をしていたのか。騙された。


「君が言っていることが、本当のことかを確認したいのだが」

「……陸から行って場所を特定されたくないから、水中を通って僕に付いてこれる人だけ案内するよ」


 それって、ラッコのリーダーしか該当しないのでは?


 みんなの視線が、少し離れた場所にいるリーダーに向けられた。


「おう、なんだ。俺の出番か?」

 会話が聞こえていなかったようで、ラッコのリーダーは立ち上がって、のんきにそんな言葉を発した。



 二人が水の中へ潜っていくのを、見守った。

 どうやら、昔からの知り合いらしい。任務を果たすまで喧嘩は中止すると、リーダーは誓った。


「ここだけの話だけど……」

 ラッコのリーダーと同じ冒険者パーティーの女性が話し出した。

「ラッコリーダーの妹さんが、ビーバー君に片想いしてアプローチしてたんだ。だけど、『性格や生活が合わない』って断われて。

 ラッコリーダーは、それを未だに怒ってるんだよ。『合わない』とはなんだとか言ってさ。

 もう、妹さんは別の人と結婚してるんだけどね」


「え、それだけ?」

 ルナが突っ込んだ。


「それが、種族の差にまで話が発展しちゃってるの。ラッコのリーダーは似てるだろって言うし、ビーバー君は『考えを押しつけるな』って怒るし。

 それで、ビーバー君は都会から逃げて、田舎暮らしを始めたらしいって噂だけ残ったんだ。まさか、こんなところで暮らしているとはね」

 

 それ、妹さんはもう過去にこだわっていないのに、兄貴がいつまでも引きずってるみたいな……?


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