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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十五章 王都の冒険者

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説得

 気持ち悪い。なんだこいつ。

 だが、一ついいことを聞いた。


「それなら、フォンは関係ないだろ?」

 俺が狙いなら、フォンは襲われていないと考えていいのか? だが、あのとき、クランハウスの階下から戦っているような音がしていた。


「ああ、あれは別の司冠の管轄です。

 教団に対して反対運動をしている者たちを殺害するなんて、浅はかですね。それに、実行部隊に『子どもは可哀想だから見逃そう』などという甘い人間を選んだのも、采配ミスです」

 クリムは口元の泡を服の裾で拭った。


「その後で、『被害者の遺児が信者になったら、世間の印象が逆に良くなる』と作戦変更したらしいですよ。

 親の影響なのか理屈っぽく、素直に教えに馴染まない。それで洗脳の魔導具を身につけさせたが、それもうまくいかない。

『もう、消してしまえ』という意見もちらほら……」


「なんて勝手な……」

「理不尽だと思いますか? この世は不平等、理不尽だらけだ。

 踏みにじられたくなければ、その前に……より大きな力で踏みにじるしかない。

 そうです。力があるから、勝手な振る舞いも許される。

 ね? こちら側にいらっしゃい。

 そうして、妖精族の女性をあなたの部下にして囲ってしまえばいい。命の危険からすくい上げたあなたは、彼女にとって『英雄』ですよ」


 あまりの言い草に呆れてしまい、言い返す言葉も出てこない。

 身勝手な理屈。他者を踏みにじって笑う醜悪さ。

 それに「英雄」という言葉をなんと軽薄に使うのか。バスラやアーデンのことすら、侮辱している。


「あなたたちは妖精族の魔導具師を狙っていたのですよね? この拠点に妖精族はいないのです。ですから助けが来ることは、期待しない方がいいですよ。

 あなたがうなずくまで、食事は運ばせません。早く承諾した方がいいと思います」

 クリムが立ち上がろうと前傾姿勢になった。


 俺は布団を跳ね上げ、足首に繋がれている鎖をクリムの首に巻き付けようとした。

 いや、巻き付けようとして、角に阻まれた!

 そのまま手で鎖を引っ張ると、クリムはベッドに倒れ込む。鎖が細いから、手の皮がすり切れて血が滲む。


「なかなかふざけたことをしてくれますね」

 ベッドに片手をつきながら、クリムが顔を上げる。

「俺を解放しろ! でなければ、角をこのまま折るぞ」

 鎖が角からすっぽ抜けないよう、持ち手の角度に気をつけなければ。

 あばら骨がずきんと痛み、うめき声を上げそうになった。


「人族の――それも戦闘向きではないスキルの持ち主の力など、こんなものですか」

 クリムは抵抗しないまま、俺の目を見上げた。なんだ、この余裕は。

 こっちは額に脂汗が滲んでいるんだぞ。

 悔しい。だが、これが俺の全力なのは、事実だ。


「ぶもおぉおぉ-!」

 クリムが鳴く。その口を塞ぐ余裕はなかった。


 鼠獣人のミナスが走り込んできて、俺の手元を狙って投げ矢を投げる。

「あんた、副司冠さまに何してんのよ!」


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― 新着の感想 ―
 所詮は自らに酔うテロ集団だよな。バスラさん、助けて。囚われのひm、モブのピンチです!
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