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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十五章 王都の冒険者

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夜の会議

 バスラはノースリーブの貫頭衣を着て現れた。ほんのり酒の匂いがする。寝酒を嗜んでいたのかもしれない。

「相変わらず、夜は早いな」

 アーデンがバスラをからかう。

「鳥目なもんでな」

 バスラは拳で隠すようにあくびをした。


「で? クランハウスを襲撃する計画があるのか」

 バスラが席に着き、緊急会議が始まった。

「妖精族の動物使いが、岩モグラをこのクランの方向に向けて動かしています。角度的に王城ではないですね。

 ん? マーキングが……地下にいる捕虜が発信器を持っているのかも?」


 会議室にざわめきが広がった。先日、アーデンに絡んできた妖精族のことだ。

 屈強な男と魔法使いが立ち上がって出ていった。捕虜をここに連れてくるのか。


「なるほどね。地下を進むのには、方向を指し示すものが必要だわね」

 先ほどサァラに嫌われた女冒険者が、頬杖をついた。


「なんか、すまん。警備兵に突き出した方がよかったか」

 アーデンはそう言ったが、それを咎めるような空気はなかった。

「どうせ王都方面を目指して来るんだろうから、そう変わらないと思うよ」

 獣人はそう言って、鼻の上をかいた。警備兵の詰め所は、クランハウスから徒歩圏内にある。


 妖精族はボロボロの状態で引きずられてきた。もう一人では立てないし、よだれを垂らしている。

「しゃべれなくなってんじゃねぇか。やり過ぎだろ」

 バスラが眉間にしわを作った。

「いえ、『もうこれ以上吐くことはない』って言った後ですよ。末端の捨て駒で大したことは引き出せませんでした」

 捕虜についてきた尋問担当が言い訳をした。

「仕事に趣味を持ち込むな」

「はは、ちょっとばかり興が乗っちまって。すんません」


「こいつに発信器がついているらしいが、わかるか?」

 バスラに問いかけられて、尋問担当は首をひねった。

「裸にして調べてますし……。衣服や装飾品は保管してありますけど、魔法使いに魔導具がないかチェックしてもらったっす」


 オンがじーっと妖精族を見ている。瞳孔が縦に細くなり、心なしか目がつり上がって見える。

「心臓に術が施されていますね」

「じゃあ、生かしておかない方がよかったか?」

 尋問担当が嬉々として尋ねる。

「いいえ。その場合は砕け散ります。微細な欠片まで取り除くのは難しいので、マーキングが人から場所に変わるだけですね」

「えげつないな。妖精族にはよくある戦法なのか?」

 バスラがうんざりした口調になる。

「どうでしょう? 愉悦を感じる方に流されるという傾向が強くて、行動原理が読めません。

 組織に無私の心で貢献するというのは、宗教団体ならではという気がします」


「あの、こいつをクランの外に連れて行ったら、岩モグラはそっちを目指して来るってことですよね?

 したら、オンさんが魔法をぶっ放してもよさそうな、人里離れたところに行って待ち構えるのはどうです?」

 何度かオンの訓練に付き合っている魔法使いが、提案した。

 それを聞いてオンの目が輝いた。

「訓練の成果を見ていただけたら、嬉しいです!」


 バスラが額に手を当てた。

「地形が変わってもいい場所なんて、総裁閣下にご相談しないとならんだろ」

 総裁というのは、この共和国の王様のことだ。みんな「国王」と呼んでいるけれど、直に会う機会がある人は違うな。


「襲撃していいなら、岩モグラに宗教団体の拠点を狙わせたい。混乱に乗じてもっと情報を持っているやつを捕まえて、騒動を終わらせたいです」

 俺はダメ元で言ってみた。頻繁にちょっかいをかけられて、いい加減うんざりだ。


「お前、たまに過激なこと言うよな」

 アーデンがニヤリと笑った。


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― 新着の感想 ―
 撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけ…名言ですよね!(黒)
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