王都観光
次の日は、王都観光をした。
俺は王都についてすぐに王城に行ったから、昨日の冒険者ギルドも内心どきどきだったんだよな。
改めて街並みを見る。
高い建物があり、石畳も整然としている。人が多く行き交い、店も多い。
山脈に接しているトゥラン領より暖かい気がする。
冒険者がいる区画には他のクランハウスもあり、ライバル関係とかややこしい事情をルナに耳打ちされた。クランの保護下に入ると、別のいざこざに巻き込まれる可能性もあるんだな。
フォンのことは、魔法使いとクランにいる妖精族に任せるしかない。
オルドが領主のタウンハウスから通ってくれることになったし……。
暗い顔をしていると、ルナとサァラが明るく振る舞おうとしてくる。二人の方がフォンと付き合いが長いのに、俺に気を遣わせたら駄目だろう。
気持ちを切り替えて、初めて歩く街を楽しまなきゃな。
次々と、景色のいいところ、美味しい屋台を梯子した。
二人とも早口で、あれもこれもと盛り込みすぎの観光案内――俺たちが王城から出てくるのを待っていてくれたんだ。
サァラが跳ねるように見晴らしのいい高台に連れて行ってくれた。
「王城があっちで、あたいたちが入ってきた門はあそこにゃ」
「エドガー様のお屋敷はねぇ……あれだ」
ルナが指さした。
さっき街を歩いていたときはとても広く感じたが、こうして眺めると箱庭のようだ。城壁で囲まれているせいかもしれない。
きれいに手入れされている庭園も素晴らしいが、遮るもののない景色の開放感は別格だ。風も気持ちいい。
しばらくのんびりと景色を眺めていたら、サァラが腕に抱きついてきた。
尻尾で首筋を撫でられ、ゾクッとしてしまう。
「ん? どうした?」
飛び跳ねるような心臓を悟られないよう、平静を装って尋ねる。
「ええ~? だってさぁ……」
サァラがモジモジしながら、肩にぐりぐりと頭を擦り付けてくる。ちょっと……嬉しいけど、困るんだが。
「じゃあ、こっちはあたし」
ルナがもう片方の腕に飛びついてきた。
胸が当たる――っていうか、ルナの場合はビキニアーマーで痛いんだよな。ふにっと柔らかい感触じゃないのにホッとするやら、残念やら……。
「二人とも寂しかったのか?」
何て言えばいいかわからん。俺の方もご無沙汰なんで、めっちゃ反応してしまう。
とりあえず、普通の会話を続けないと……。
「部屋がさぁ、男女別でCランクは二人部屋か四人部屋じゃん」
サァラが上目遣いで見てくる。ちょっと、ほんと、勘弁して。
「少し離れていたから、仲良くする必要があるよね?」
ルナが意味深な言い方をする。
「そ、そうかな?」
まあ、やぶさかではないと申しますか……そちらがお望みなら、いいんですけど。
人のまばらな高台には、昔の砦の跡がある。天井は崩れているが、壁が中途半端に残っている。おあつらえ向きと言いますか……うん、まあ、そういうことだ。




