昔なじみと今の仲間
四人部屋に案内されると、俺の荷物が置いてあった。
自前の服に着替え、伸びをした。こっちの方が、俺らしいよな。
ベッドに座り、胸元のタグを手のひらに乗せて眺める。
冒険者ギルドと商業ギルドの二つのタグ。
アーデンのクランは同郷なら駆け出しから所属できたが、このバスラのクランはCランク以上が加入の条件になっているそうだ。
つまり、Cランクは一番下。ランクが上がれば個室になるらしいが、これ以上ランクを上げられる気がしない。
やらずに諦めるわけじゃなく、冒険者の世界にどっぷり浸かったからこそ限界が見えてしまった。
がむしゃらに鍛えても、体を壊すだけだ。
良い機会だから、ここで立ち止まって考えてみようと思う。
これから、どう生きていくのかを……。
夕食の時間になって食堂に行くと、ルナとサァラがいた。
二人も四人部屋に案内されて、そこにフォンの荷物が置いてあったという。
「ぬいぐるみをフォンの繭の部屋に持っていくか、やめておいた方がいいか悩ましいにゃ」
「クラン内で盗まれるとか考えたくないけど、用心するにこしたことはないよな」
疑り深くなってしまう自分が悲しいが、事前に対策するしかない。後悔しないですむように――
「そんなことがあったら、フォンが繭を飛び出してくるかも。
『私のぬいぐるみに何をするの!』って」
ルナが快活に笑うが、うっすら目が潤んでいる。
「そういえば、オルドさんはエドガー様の屋敷で、『光牙の道標』に合流したよ」
ルナは肉を食べながら教えてくれた。
「これで完全に、ぬいぐるみの護衛任務が終わった気がするにゃ」
サァラが麦酒をテーブルに置いて、ぷはっと息を吐いて笑った。
「そういえば、そうだな。エリオット様や光牙の道標と、なんやかやと行動を共にしていたもんなぁ」
きれいに区切りがつく前に、次々と問題が起きたせいだ。
そこにエドガーとアーデンがやってきた。
「同席していいかい?」
エドガーが優しく声をかけてきた。
俺がルナとサァラに確認しようと顔を向けると、二人とも顔を赤くして固まっている。
んん? どういう反応だ、これ?
「大丈夫か?」
「も、もちろん!」
ルナが大きめの声を出し、サァラは首を縦にぶんぶん振っている。
「……だ、そうです。どうぞ」
俺の両隣にアーデンとエドガーが座った。
ルナとサァラの意識がアーデンに向いているのがわかる。
ここで紹介するのは俺の役目か。
「パーティーを組んでいるルナとサァラです。
こちらは同郷で村長の息子のエドガーさんと元冒険者のアーデンさん」
「『花猫風月』でリーダーをやっているルナ。剣士です」
「格闘家のサァラにゃ。あの……ワイバーン討伐に参加してましたっ」
二人ともカチコチに緊張している。
そうか。二人にとっては「英雄アーデン」なんだ。
Cランクから見たSランクなんて、雲の上の人物みたいなものだよな。
アーデンはこういう反応に慣れているようだ。
「そう固くならないでくれよ。まずは飯を食おう」
「アーデンさん、トレーを自分で運んできたんですね」
つまり、義足でもこぼさないくらい安定して歩けているということだ。
「もう何年も経っているんだ。ベテランだぞ」
そう言って自分の膝を叩き、アーデンは豪快に笑った。




