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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十四章 クランでの生活

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王都の冒険者ギルド

 会議室に案内され、同行してくれたクランの事務担当者が書類を取り出した。

 妖精族とトラブルが生じ、フォンが繭に籠もってしまったこと。その繭を妖精の国へ連れて行くと主張してきたことを説明する。


「国同士の取引に利用される可能性もあります。いち冒険者では対抗できなくても、大手クランなら対抗できますから」

 事務担当者がはっきりと言った。


「妖精の国とのトラブルですか。それは、例の宗教団体の絡みですよね。それから、レスタール王国の冒険者ギルド不正問題も。

 諸々のことを引き受ける覚悟がある、ということでよろしいですね」

 ギルド職員はクランとしての方針を確認した。クランだけでなく、ギルド支部も関わらざるを得なくなってくる。


「クランマスターがトーマ君を気に入っているので、厄介ごとも含めて囲い込みます」

 事務担当者が聞き捨てならないことを言った。


「は?」

「あなたは、有益かつ面倒くさい存在なのですよ」

 事務担当者はトーマの方を見もしないで、書類を埋めていく。


「はい、結構です。本人たちの申請に、クラン側の受け入れ意思を確認しました。

 最優先でクラン登録をしてしまいましょう」

 ギルド職員は俺たちの冒険者タグを受け取り、棚の方に歩いて行った。


 お茶を出してくれた職員もそちらに行き、二人がかりで魔導具を操作している。

 制服の後ろ姿を見て、ちゃんとアイロンをかけてピシッとしているなぁと思った。動きもキビキビしている。


 それを眺めながら、ルナはお茶をすすった。

「クラン登録って、そんなに大変なのか?」


「普通は一人の職員がちゃちゃっとタグの変更をするもんね」

 サァラも不思議そうだ。


「……あなたたちは拠点をトゥルメル支部から、ファルガン共和国王都支部に移すことになります。

 書き込む情報が、クラン加入だけではないのです」


 そんな会話に、俺は参加できなかった。紅茶の香りがいいことに感心しつつ、聞き捨てならない言葉が頭の中をぐるぐるしている。


 囲い込むってなんだ? 

 評価されるのは嬉しいが、バスラとは会議で顔を合わせるくらいで、何がきっかけか心当たりがない。納得できない高評価って、据わりが悪いというか……気持ちが悪いな。



「これで、国同士のやりとりに巻き込まれても抵抗できますよ」

 ギルド職員が笑顔でタグを返してくれた。

「ようこそ、王都支部へ。トゥルメル支部のギルドマスターからもお話をうかがっていますし、歓迎します」


「あ、そうじゃん。トゥルメルのギルマスに挨拶してない」

 ルナが言うとおりだ。気にかけてくれたし、便宜も図ってもらったのに。


「では、連絡を入れておきましょう。伝えたい言葉があったら……口頭より紙に書いてもらった方がいいかもしれませんね。

 でも、移転することも想定していたと思いますよ。王都に来て半年以上経っているじゃないですか」

 ギルド職員に言われて、驚いた。そんなに時間が経っていたのか。


 部屋を出るときにギルド職員に言われた。

「うちの食堂にも、一角ウサギのさばき方を伝授してくださいね」


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