表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十三章 過去と未来と

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

202/211

領主が王都に来たらしい

 久々にトゥルメル領主の孫、エリオットと会った。

 彼は迎賓館で朝食を取っているときに現れた。


「今度は祖父も連れて来たんだ。会議によっては祖父が出席することになる」

 そう言って、給仕が入れたお茶に口をつける。


 そういえば、一度領地に戻っていたんだっけ。

 ん? 祖父ということは領主ということか?

 話が国際的なことまで広がっているから、領主本人じゃないと決められないこともあるかもしれないな。

 先日も立ち消えたとはいえ、戦争の話が出たし。その場合、レスタール王国と接しているトゥルメル領は大変なことになる。



 オルドは「引っ越しは無事に終わりましたか?」と尋ねている。

 彼が所属する「光牙の道標」は本拠地をトゥルメル領に移すことになり、他のメンバーが引っ越しをしていたはずだ。ルナとサァラも手伝うと話していた。


「一応、終わったけどさ……後で、文句をたくさん言われると思うよ」

 エリオットが嫌なことを思い出したように、眉間にしわを寄せた。


「いえ、途中経過はどうあれ、終わったのならよいのです」

 オルドはしれっと言い返した。


 これは……大変なことを承知の上で人に押しつけた感じがするな。

 エリオットは「はあ?」と威嚇するような声を出してから、「確信犯か」と眉間のしわを一層深くする。


 ……何があったのか、聞くのが怖い。

 ルナもサァラも人が好いから、こき使われただろうな。もし俺がその場にいたら、「下ごしらえ」のスキルで役に立てたはずだと思うと、ちょっと悔しくなる。



「そうだ。アーデンさんたちに王都を案内するんだ。

 君たちも参加するかい?」

 エリオットはティーカップを上品に、音もなく置いた。


「いいんですか?」

 俺はその言葉に飛びついた。

 王都をまだ観光していないし、ルナとサァラにも会いたいし、一度この窮屈な王城を出たい。


 フォンも嬉しそうに「行けるなら、行きたいわ」と微笑んだ。



「それは……危険なのでは?」

 離れたテーブルで食事をしていた、妖精族の一人が立ち上がった。ずずっと椅子が音を立てるのは、迎賓館では眉をひそめられる行為だ。


 俺たちは驚いて、そちらを見た。会話が自然に耳に入ってしまうほど近くはない。


「聞き耳を立てるのは、マナー違反ですよ」

 エリオットが威厳を出して、盾になる。


「申し訳ございません。

 ですが、誘拐などの危険があるために王城にいるとお聞きしましたもので」

 妖精族の紳士は、謝罪をしつつも引き下がるつもりはないようだ。


「ご親切に、ありがとう。

 ただ、これは宰相にも許可を得たことですので、ご心配には及びません」


「あの、でしたら、私どもも同行させていただけないでしょうか」

 ちらりとフォンの方を見た気がする。


「そのようなおもてなしは、外交担当部署に要望を出されたらいかがでしょう」

 エリオットは社交的な笑顔のまま、声に苛立ちを滲ませた。


「そうですね。失礼しました」

 他の妖精族に腕を引かれ、その男はうつむいて椅子に座った。

 あれ? あの人、なんだか見覚えがあるような……?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ