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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十三章 過去と未来と

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200/212

ギルドニュース

 冒険者ギルドの人はギルドニュースに影響力があると言われて、嬉しそうだ。

「三か月に一度発行しているので、次の記事に入れましょう」


「レスタール王国の人たちも、協力的になるかもしれませんね。

 今は我々の救いの手を、外部からの理不尽な干渉だと思っているんですよ」

 と、ため息をついた。


 なるほど。

 搾取されているのが「普通」だから、他の国のやり方を押しつけられるようで嫌悪感を持っているのか。


 それなら制度を説明されるよりも、感情的に受け入れられるように……。


「ワイバーン討伐の英雄、アーデンとバスラの対談を載せればいいんじゃないですか?

 レスタール王国を攻撃するのではなく、バスラさんが『なに?そいつはひどい』と憤っているという書き方にするのです」


 英雄同士の話なら、俺も読みたい。


 アーデンとバスラが顔を見合わせた。


「ああ、まあ協力してもいいか」

 アーデンがぶっきらぼうに、渋々というポーズを取る。


「冒険者を軽く見ている貴族たちに、ぎゃふんと言わせてやるのも面白いかもな」

 バスラが羽根を少し動かした。


「貴族にぎゃふんと言わせたい」という発言に、何人かが顔をしかめていた。

 立場が違う人たちが集まると、こういうところが面倒くさいよな。



 エドガーが古びた紙の束を持っていた。

 おそらく当時書き溜めた、アーデンから聞いた話だろう。数年寝かせて、ようやく日の目を見る機会がやってきたな。



 なんとなく会議の参加者を眺めていたら、一人と目が合った。

「トーマ君がいると、面白いね」


 うん? どういう意味だ。

「……ありがとうございます?」


「思いがけず、平和な解決策が見つかったじゃないか」

 と、褒めてくれた。


「でも、エドガーさんが私財を使ってアーデンさんを助けに行かなかったら、闇に葬られていた話ですよ」


「ああ、そうだったな。我々の気がつかないところで、最悪の事態を回避してくれたことに感謝する」

 冒険者ギルドの人たちが、揃って頭を下げた。


「あ、いえ……」

 エドガーが言葉に詰まっている。

 きっと村長や奥さんと言い合いをして、着地点を詰めたりしたんだろう。

 村のためのお金を、外に出た村人のためにどれくらい使っていいか――とか。


 やってよかったと、村人にも思ってほしいよな。



 話し合いが一段落して、会議が終わった。


 アーデンとエドガーは冒険者ギルドに寄ってから、バスラのクランハウスに泊まるという。

 討伐のことで対談をするなら、そばで聞いていたい。

 きっとエドガーはそれも書き留めていくんだろうな。


 そんなことを考えていたら、エドガーに呼ばれた。


「これ……ガルドとブルーノの家族から」

 と手紙を渡された。


「え? どういうことですか?」

 二人とは数年ほど冒険者パーティーを組んでいたが、俺は二人に役立たずと言われ殺されそうになった。

 その家族との交流なんてない。


「トーマに、減刑するように口添えしてほしいと。

 俺はそんなことを頼んでも無駄だと言ったんだが、渡すだけでいいからと渡された。

 読まなくても、俺は責めないよ」

 エドガーは困ったように眉を寄せている。


「減刑って言われても……。そういえば、どんな刑を受けているんです?」

 それすら知らない。


 冒険者ギルドの人がいるので、尋ねてみた。


「彼らの身柄はファルガン共和国で抑えていて、犯罪があった場所と所属がレスタール王国だから、話し合いが難航しててね。

 まだ、決まっていないけれど、犯罪奴隷になる可能性が高いかな」


「そうですか」

 俺は、何と言っていいかわからなかった。


 子どものために被害者に減刑を頼むとか――そこまでするのかと驚いた。俺の気持ちなんか、考えていないんだろうな。

 自分の親は絶対にしないだろうと、少し寂しく思いながら……手紙を突き返すこともできずに、受け取った。


200話目です。

みなさまの応援で、ここまで書き続けられました。

ありがとうございます。

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