ギルドニュース
冒険者ギルドの人はギルドニュースに影響力があると言われて、嬉しそうだ。
「三か月に一度発行しているので、次の記事に入れましょう」
「レスタール王国の人たちも、協力的になるかもしれませんね。
今は我々の救いの手を、外部からの理不尽な干渉だと思っているんですよ」
と、ため息をついた。
なるほど。
搾取されているのが「普通」だから、他の国のやり方を押しつけられるようで嫌悪感を持っているのか。
それなら制度を説明されるよりも、感情的に受け入れられるように……。
「ワイバーン討伐の英雄、アーデンとバスラの対談を載せればいいんじゃないですか?
レスタール王国を攻撃するのではなく、バスラさんが『なに?そいつはひどい』と憤っているという書き方にするのです」
英雄同士の話なら、俺も読みたい。
アーデンとバスラが顔を見合わせた。
「ああ、まあ協力してもいいか」
アーデンがぶっきらぼうに、渋々というポーズを取る。
「冒険者を軽く見ている貴族たちに、ぎゃふんと言わせてやるのも面白いかもな」
バスラが羽根を少し動かした。
「貴族にぎゃふんと言わせたい」という発言に、何人かが顔をしかめていた。
立場が違う人たちが集まると、こういうところが面倒くさいよな。
エドガーが古びた紙の束を持っていた。
おそらく当時書き溜めた、アーデンから聞いた話だろう。数年寝かせて、ようやく日の目を見る機会がやってきたな。
なんとなく会議の参加者を眺めていたら、一人と目が合った。
「トーマ君がいると、面白いね」
うん? どういう意味だ。
「……ありがとうございます?」
「思いがけず、平和な解決策が見つかったじゃないか」
と、褒めてくれた。
「でも、エドガーさんが私財を使ってアーデンさんを助けに行かなかったら、闇に葬られていた話ですよ」
「ああ、そうだったな。我々の気がつかないところで、最悪の事態を回避してくれたことに感謝する」
冒険者ギルドの人たちが、揃って頭を下げた。
「あ、いえ……」
エドガーが言葉に詰まっている。
きっと村長や奥さんと言い合いをして、着地点を詰めたりしたんだろう。
村のためのお金を、外に出た村人のためにどれくらい使っていいか――とか。
やってよかったと、村人にも思ってほしいよな。
話し合いが一段落して、会議が終わった。
アーデンとエドガーは冒険者ギルドに寄ってから、バスラのクランハウスに泊まるという。
討伐のことで対談をするなら、そばで聞いていたい。
きっとエドガーはそれも書き留めていくんだろうな。
そんなことを考えていたら、エドガーに呼ばれた。
「これ……ガルドとブルーノの家族から」
と手紙を渡された。
「え? どういうことですか?」
二人とは数年ほど冒険者パーティーを組んでいたが、俺は二人に役立たずと言われ殺されそうになった。
その家族との交流なんてない。
「トーマに、減刑するように口添えしてほしいと。
俺はそんなことを頼んでも無駄だと言ったんだが、渡すだけでいいからと渡された。
読まなくても、俺は責めないよ」
エドガーは困ったように眉を寄せている。
「減刑って言われても……。そういえば、どんな刑を受けているんです?」
それすら知らない。
冒険者ギルドの人がいるので、尋ねてみた。
「彼らの身柄はファルガン共和国で抑えていて、犯罪があった場所と所属がレスタール王国だから、話し合いが難航しててね。
まだ、決まっていないけれど、犯罪奴隷になる可能性が高いかな」
「そうですか」
俺は、何と言っていいかわからなかった。
子どものために被害者に減刑を頼むとか――そこまでするのかと驚いた。俺の気持ちなんか、考えていないんだろうな。
自分の親は絶対にしないだろうと、少し寂しく思いながら……手紙を突き返すこともできずに、受け取った。
200話目です。
みなさまの応援で、ここまで書き続けられました。
ありがとうございます。




