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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十三章 過去と未来と

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懐かしい顔

ちょっと短めです。

 久しぶりに会議に呼ばれた。

 最近、なんで城に滞在しているのかわからなくなってきた。

 騎士の訓練を見たり、魔法の使い方を学んだり充実しているけれど、むだ飯食らいと言われたら反論できない。


 いろいろな問題が発覚したきっかけを作っただけだ。俺の証言が必要なだけなら、エリオットのタウンハウスに移動してもいいんじゃないのか。

 フォンが王城に残るなら、置いていけないけれど……。



 王城の中を走る馬車で、迎賓館から王宮の執務棟に移動した。

 庭園の花が、最初に来た時と変わっている。季節が変わったんだと、ため息が出た。


 今日は久しぶりに貴族に準ずるような、煌びやかな服だ。

 これ、肩が凝るよな。

 顔見知りになったメイドさんたちに着付けられるのが、気恥ずかしかった。



 宰相補佐の司会で、会議が始まった。


 今日は、エリオットは呼ばれていないようだ。

 Sランク冒険者の鷲の獣人バスラがいた。翼を小刻みに揺らして、そわそわしているように見える。



 話し合いは、レスタール王国での冒険者の扱いに改善が見られないことについて。


 冒険者ギルドの支部に梃子入れをしても、国王や領主が横やりを入れてくる。

 具体的には、新しいギルドマスターの家族を脅したり、怪我をさせたりして邪魔をする。

 派遣されている冒険者ギルド本部から来ている職員の宿に、嫌がらせをする。掃除といって部屋に入り荷物を漁ったり、食事に下剤を混ぜたりもするらしい。


 もう、自浄作用は期待できないという見方に傾いている。



「あまり、他国の内政に口を出すのはよろしくないのですがね」

 と、外交担当の職員が苦笑いをした。


「だが、そうも言っていられない状況だろう」

 バスラが苛立ちを隠さずに言い返した。

「それに、冒険者ギルドに国は口出しできないというルールを破っているのは、レスタール国王の方だ」



 宰相補佐は両者を宥めて、扉を守る護衛に手で合図をした。

「本日は、お客様をお迎えしています。お待ちかねのお客様をお呼びしましょう」


 この話の流れで、誰だろう?

 まあ、俺はあまり関係ないか。軽く首を回して、体の緊張を和らげた。


 ――え?

 アーデンとエドガーが入ってきた。



 元Sランク冒険者のアーデンは、義足を上手く使いこなして歩いている。

 車椅子じゃない。

 討伐後に放置されて諦めた顔や、強がっている乾いた笑いじゃない。

 ああ、よかった。


 涙がにじみ、慌てて袖で拭こうとして、金ボタンで顔を擦った。地味に痛い。


 村長の息子エドガーはそれを見ていたようで、口元を緩めた。

 子どもの頃からお世話になっていた記憶が、ぶわっと蘇る。


 俺、故郷を嫌っていたはずなんだけど……胸に安堵感が広がった。


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