懐かしい顔
ちょっと短めです。
久しぶりに会議に呼ばれた。
最近、なんで城に滞在しているのかわからなくなってきた。
騎士の訓練を見たり、魔法の使い方を学んだり充実しているけれど、むだ飯食らいと言われたら反論できない。
いろいろな問題が発覚したきっかけを作っただけだ。俺の証言が必要なだけなら、エリオットのタウンハウスに移動してもいいんじゃないのか。
フォンが王城に残るなら、置いていけないけれど……。
王城の中を走る馬車で、迎賓館から王宮の執務棟に移動した。
庭園の花が、最初に来た時と変わっている。季節が変わったんだと、ため息が出た。
今日は久しぶりに貴族に準ずるような、煌びやかな服だ。
これ、肩が凝るよな。
顔見知りになったメイドさんたちに着付けられるのが、気恥ずかしかった。
宰相補佐の司会で、会議が始まった。
今日は、エリオットは呼ばれていないようだ。
Sランク冒険者の鷲の獣人バスラがいた。翼を小刻みに揺らして、そわそわしているように見える。
話し合いは、レスタール王国での冒険者の扱いに改善が見られないことについて。
冒険者ギルドの支部に梃子入れをしても、国王や領主が横やりを入れてくる。
具体的には、新しいギルドマスターの家族を脅したり、怪我をさせたりして邪魔をする。
派遣されている冒険者ギルド本部から来ている職員の宿に、嫌がらせをする。掃除といって部屋に入り荷物を漁ったり、食事に下剤を混ぜたりもするらしい。
もう、自浄作用は期待できないという見方に傾いている。
「あまり、他国の内政に口を出すのはよろしくないのですがね」
と、外交担当の職員が苦笑いをした。
「だが、そうも言っていられない状況だろう」
バスラが苛立ちを隠さずに言い返した。
「それに、冒険者ギルドに国は口出しできないというルールを破っているのは、レスタール国王の方だ」
宰相補佐は両者を宥めて、扉を守る護衛に手で合図をした。
「本日は、お客様をお迎えしています。お待ちかねのお客様をお呼びしましょう」
この話の流れで、誰だろう?
まあ、俺はあまり関係ないか。軽く首を回して、体の緊張を和らげた。
――え?
アーデンとエドガーが入ってきた。
元Sランク冒険者のアーデンは、義足を上手く使いこなして歩いている。
車椅子じゃない。
討伐後に放置されて諦めた顔や、強がっている乾いた笑いじゃない。
ああ、よかった。
涙がにじみ、慌てて袖で拭こうとして、金ボタンで顔を擦った。地味に痛い。
村長の息子エドガーはそれを見ていたようで、口元を緩めた。
子どもの頃からお世話になっていた記憶が、ぶわっと蘇る。
俺、故郷を嫌っていたはずなんだけど……胸に安堵感が広がった。




