魔法への興味
三人で静かに夕食を取った。
いつもどおりだが、賑やかな時を過ごしたあとはもの悲しくなるものだ。
俺は、今日見学した魔法使いたちの訓練の話を出した。
一見してよくわからない道具がたくさんあって、驚いたとか。
魔法を練る場所が違うと、初めて聞いたとか――
フォンは「言われて見れば、練る場所が違う人がいるかもしれない」という反応だった。
「魔法使いにとっては常識じゃないのか?」
冒険者ギルドで資料を読むときも、魔法関連は理解できなくて読み飛ばしていたところがある。
「基本的に師匠のやり方に倣うから、他のやり方を知らないのが普通なのよ。
ただ、風の魔法使いの集会で話をしていて、発動の仕方が人それぞれかもしれないと感じたことはあるわね」
フォンが思い出したように言った。
オルドが「……魔法使いの集会?」と低く呟いた。
「ああ、俺がサァラと出会ったときは、それで冒険者活動を休止していたんだっけ」
オルドがメモを取り出し、その集会のことを詳しく聞き出そうとしている。
もしかして、参加したいのか?
「オルドさんも風魔法が使えるんですか?」
「私は使える魔法と魔導具を組み合わせて、全てを使えるようにしてある。
属性を持たないとできないという常識を覆したのだ」
「それって、すごいことですよね?」
驚いた。そんな実力者だったのか。
「だからAランクなんだ」
少し照れながら、野菜を口に入れた。
そっかー。そりゃそうだ。
「魔法に興味があるなら、学んでみるか? 会議がない日に魔塔に来ればいい」
オルドに誘われた。
「いや、プロ中のプロがいる場でしょ。無理ですよ」
村で簡単な授業を受けたが、俺は魔法を発動できなかった。
「職員の子どもを預かっている場所で、簡単な教室をやっているそうだ。
そこなら混ざっても大丈夫だろう。
最初に体に合わない魔法を教えられて、『できない』と思い込んでいるだけかもしれないぞ」
そういう可能性もあるのか。
「子どもに交じるのは、抵抗があるのではなくて?」
フォンが断りやすいように気遣ってくれる。
「ああ、村の教室には、他の村から嫁いできた人が参加するとか普通にあった。だから、抵抗はないよ。
恥ずかしがって文字を習わないお嫁さんが、苦労するのも見てるしさ」
やっぱり、魔法は憧れるよな。
俺も一緒に魔塔に行くことにした。
子どもの教室に座って、様子を見るだけでもいい。知識が増えたら、討伐の作戦を考えるときにいいアイディアが浮かぶかもしれない。
「お兄ちゃん、こんなこともできないの? ダサい」
わんぱくそうな男の子に、さっそく絡まれた。
「君は世間を知らないんだね。魔法を使える人がすごいってことは、使えない人の方が多いってことだよ」
ちょっと嫌味な言い方をした。こういう生意気な子には、優しい人だと思われない方がいい。
遠回しに「君はすごい」と言っているから、文句を言いにくくなって、少年の顔は面白いことになっている。
「君は何が得意なんだ?」
と水を向けたら、いろいろと自慢しながらしゃべってくれた。
いちいち「すごいな!」と反応していたら、他の子にも「自分のも見て」と引っ張りだこになってしまう。
知らない魔法がたくさんあって、面白かった。
秘匿すべき魔法が混じっていないか、ちょっと不安になるくらい。
子どもたちは外部との接触に飢えている気がした。王城内の魔塔で生活するのは、誘拐防止という意味があるらしい。
だけど見方を変えると、軟禁っぽいよな。




