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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十章 変わるもの

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男同士の話

 うお、Aランクパーティーのメンバーに声をかけられた。

 ちょっと舞い上がってしまう。


「はい、なんでしょう?」

 少し声がうわずったかもしれない。


「突然なんだが、今日、よかったら飲みに行かないか?」


 ほんと、突然のお申し出だな。

「え、今夜、ですか?」

 ちらりとルナたちを見る。特に予定はないが……。


「行ってきなよ。先輩からアドバイスがもらえるんじゃね?」

 ルナがエールを送ってくれた。


「いやぁ、そんな偉そうな話はできんよ。ちっとばかし、モテるコツを聞きたいだけじゃ」

 ニヤリと嘘か本音か読めない口調で言われた。


「こっちはグレタばあさんと女子会するにゃ」

 サァラがグレタばあさんの腕に飛びついた。


「おお、混ぜてくれるのかい」

 とニコニコだ。




「わしはベルーフと言う。見たとおり、ドワーフじゃ。

 知り合いの息子から相談されてな」

 歩きながら職人街の方に向かっている。


 なんか、嫌な予感がしてきたぞ。

 ここの職人街との関わりといったら、ルナが泣いた件くらいだろ。


 案内された酒場のテーブルには、案の定、あの日の無神経な職人が一人座っていた。



「あの、先日は申し訳なく……」


 そう言われても、俺が嫌なことを言われたわけじゃないし、返事に困る。

「ベルーフさん、これはどういう趣旨なんですか?」

 ちょっと低めで、怒りが滲む声になってしまった。


「まあまあ、まずは乾杯といこう」


 この人も無神経な類いなのか? 気まずい空気を察してくれ。

 くそ。数日後から王都に一緒に行くし、護身術を習わないといけないから邪険にできない。


 気まずいまま乾杯をして、ベルーフが料理を注文した。


「あのあと、宿からも商業ギルドからも怒られて……」

 ノッグと名乗った男が、ぼそぼそとしゃべり出した。


「でしょうね」

 紹介した冒険者ギルドと商業ギルドの顔を潰したようなもんだし。


「だけど、あんなビキニアーマーを着てるんだから、見られて当然じゃないか。

 そんな、被害者みたいに責められてもさぁ」

 ぶちぶちと言い始めた。


 やっぱりな。謝るんじゃなく、自分たちを正当化したいだけだ。

 この場にルナを呼びつけなかったのは、まだ良心的と言えるか。


「あのー、これはなんですか? 苦情をぶつけるために俺を呼んだんですかね」

 もう、不機嫌なのを隠さなくてもいいか。一杯だけ飲んだら帰ろうかな。


「いや、お前、反省したって言ってたじゃないか」

 ベルーフがノッグの頭を叩いた。

「ああ、違うな。どこを反省したらいいのかさえわからないから、教えてやってくれ。

 わしも女心には疎いんでな」


 ええ、面倒くさいな。

 だって、モテない奴って、基本的に人の話を聞かないんだもん。


「……俺もそんなにモテるわけじゃないですよ。

 嫌われないように配慮はしてますけど、それって女性限定じゃなくて誰にでもってレベルの話だし――」


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