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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十章 変わるもの

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盲点

「あのさぁ、あたい馬鹿だからわかんないのかもだけど。作った奴がわかってるんだから、そいつを押さえて訊いたら駄目なのん?」

 静かにお茶をしていたサァラが、横から口を出した。


「え?」

 フォンが目を丸くする。俺も目が点だ。

 そ、そうだよな。回り道するんじゃなくて、本丸を攻めてもいいんだよ。


「フォンの乳母夫婦をとっ捕まえて、吐かせればいいのか。

 あたしたちが依頼を出して、高ランクの戦力と知識のある魔道士に同行してもらって」

 ルナが顎に手を当てて、考え出した。

「掲示板に出したら相手にばれるけど、ギルドマスターが他の支部にもこっそり指名依頼してくれたらいいのかも」


「おいおい、そんな特別措置を……」

 ギルドマスターが渋る。


「トーマに対する借り、あるよね? 少しずつ返しておいた方が、お互いのためなんじゃない?」


「あ~、まあ、そういう面も……あるか」


 すごい勢いで展望が開けていく。

 だが、何かがひっかかる。何だ?


「あ、フォンのサークレット! 盗聴機能がついているなら、これも筒抜けになるんじゃ?」

 しまった!

 言ってから気がついたが、これも筆談で伝えるべきだったのでは?

 背筋が凍りつく。なんで今まで気づかなかったんだ、俺。


 フォンが涙目になった。

 俯くまいとしているが、肩が小さく震えている。


 万事休すか。


「俺たちも油断したな。なんかマズいことをしゃべってないか?」

 ギルドマスターが口を押さえて、職員を見た。


 職員は「やれやれ」と呆れたポーズを取ってから、棚から調書を取り出した。

「子どもたちは『本人が盗聴している間に盗聴する仕組み。だから、遠くの会話を聞こうと思わせるだけでもいい』と指示されたと供述しています。

 常時発動型なら魔石の消耗が激しいので、信憑性が高いと思いますよ」


 俺たちは胸をなで下ろした。

 ギルドマスターも一緒に安堵しているのは、駄目じゃねぇか? しっかりしてほしいよ。



「そういえば、子どもたちはどうしてるんだ?」

 ルナが質問した。


「まだ勾留しています。

 ダンジョンで殺害すれば遺体は吸収されて、証拠隠滅できてしまう。悪質極まりないため、傷害ではなく殺人未遂と判断される可能性があります。刑罰の対象となるでしょうね」


「冒険者タグを取得した時点で、もう『子ども』じゃないんだ」

 ギルドマスターも甘い顔はしなかった。



「ちょっと思いついたんですけど、使用目的がわからないダンジョンのドロップ品を鑑定する、古道具屋があります。魔道具専門というわけではないのですが。

 そこで調べてもらったら、どれくらいの危険度かは判明するかもしれませんね」

 職員がそんな情報をくれた。


「うわ~、盲点だった。急いで古道具屋に行こう」

 ルナが立ち上がった。


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