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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十章 変わるもの

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欲しい知識

 その日はホテルに向かい、無事に三人部屋と個室に分かれた。

 個室があるのは三人のいる部屋と違う階で、それを知ったサァラに文句を言われた。

「階が違うって知ってたら、トーマの味方しなかったのに」


「食事とか一緒に取ればいいだろ。さっきまで連日行動を共にしていたんだから、少しくらい離れた方が……」

「そういう、正論を聞きたいんじゃないにゃ」


 怒られてしまった。



 次の日から冒険者ギルドの資料室で、妖精族の魔道具に関する本を探す。

 いつもなら資料室に行くのは俺とフォンだけなんだが、今回はルナとサァラも協力してくれた。

 だが、妖精族の資料自体が少ない。魔道具関連の本も多くない。


「う~ん。図書館に行くか?」

 ルナが頭をかきながらぼやいた。

「図書館?」

 言葉は知っているが、見たことない。


「領都にあるらしい。

 入場料がかかるから、トーマとフォンだけ入って、あたしたちは魔道具店で聞き込みをするとか……」


「都会の方が、人をさらいやすいかもしれないにゃ」

 サァラが俺とフォンを見て、眉を寄せた。

「しばらくあたいの山の家に行くとか? 不審者が近づいたらすぐわかるにゃ。何もないけど、のんびりできる」

「それも魅力的だけど、まずはサークレットを外さないとなぁ」

 俺は優先順位を指摘した。

「しまった。そうだったにゃ」



「あの、トーマさん」

 幼い声が聞こえた。

 振り返ると、資料室に若い冒険者たちが入ってくるところだった。


「ダンジョンに仕掛けた罠のこと、教えて欲しいんですけど」

「あたしたちもあの日ダンジョンにいて。すごいなって」


 名前を呼ばれた。便利君とかさんざん言われていたから、ちょっと感動。

 でも、フォンのサークレットを外す方が先なんだよな。


 参考になる資料がある棚を教えてあげた。反応は様々で、お礼を言う子もいれば、ケチと睨んでくる子もいた。暇ができたときに相手をするかどうかは、今の態度を参考に決めるぞ。まったく、もう。

 人によっては、「親切じゃなかった」と恨みを買う。忘れたころに嫌がらせをしてくるから怖いんだよな。



 進展がないまま数日経ち、少し焦りが出てきた。

 領都に行くか? だが、闇雲に調べるより、魔道具師からの連絡を待つ方が建設的か?


 俺たちが連日資料室に通っていることを知ったようで、ギルドマスターに呼ばれた。

 休憩のお茶の時間を一緒にしようということらしい。


「フォンのサークレットのことを調べてるんだろ? こっちも教えてやれるような情報がなくて悪いな」

 ギルドマスターがお茶をすすった。

「魔道士がいる王都に行くか? ここの領主様でもお抱えの魔法使いはいるが、魔道士はいないらしい」


 さらっと言うが、機密事項じゃないんだろうか。領主の戦力に関わってくる事柄だと思う。


「魔法使いと魔道士って違うんですか?」

 あまり気にしたことはないが、別物なのか。


「魔法使いは自然の要素を操る。だから生まれつきの相性というか、変更できない『スキル』と一緒だな。

 魔道士は属性に縛られない魔力を理論的に展開する。研究機関に何年も通う必要があるから、数が少ない。

 大陸の方には魔道士ギルドがあるくらい数がいるらしい。けど、こっちは商業ギルドに魔道具の修理専門の魔道士がいればいい方か」


「でも、たまに冒険者にいますよね」

 昔働いていた宿屋の客に魔道士がいた。


「ああ、変わり者はいるな。

 もしくは、魔道士に個人的に弟子入りした奴。正規の魔道士と違って、邪道なことを平気でやる危険な奴が多い」


「え、このサークレットは……」


「正規品か、邪道な奴が作ったかで、対応が変わってくるかもな。

 魔道具師も幅広い知識がある奴がいるかと思えば、仕事として狭い分野だけ得意って奴もいるから……」


 フォンが怯えている。そんなことを聞いたら、一刻も早く外さないといけないじゃないか。

 さて、この先どうすればいい?


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飯の種をタダで教えろという大型新人
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