第九十五話 「落日」
──!?
その一報を受け、連合軍陣営に衝撃が走る。
「王禅の死体が発見されただと!?」
「それは間違いない情報なのか!?」
「はっ!王禅の死体で間違いないと思われますが……。念の為、確認をお願い致します!こちらです!」
「分かった。すぐに向かおう……。」
「…………。」
龍大聖を含め各国の将達は皆、移動の最中は口数が少なくなっていた。最大の強敵である筈の王禅が、容易く討ち取れるとは思っていなかったからである。
……いや、徐栄、朱真、陸閃の三将も又、王禅に引けを取らない強力な将なのだ。幾ら王禅と言えども、その強力な三将相手では討ち取られるのは至極当然の事なのだろう。
「…………。」
「…………。」
皆、目的地まで無言のまま馬を走らせていた。
日が沈み、暗闇の中で松明の火に照らされながら王禅の亡骸を確認する各国の将達。
「…………。」
「……討ち取ったのは、お前か?」
徐栄は王禅の亡骸を横目に、狼国隊長である司馬晋に問い掛けた。
「はい。でも僕が駆け付けた時には、既に瀕死の状態でしたけど……。」
「ふむ、そうか……。たとえ瀕死の状態であっても、王禅を討ち取ったのは大した物だ。しかし……。」
王禅を討ち取ったものの、各国の将達は手放しで喜んではいなかった。
……それは、王禅の首が無かった為である。
「……首はどうした?」
「すいません、河に流されちゃったみたいで……。」
肝心の首が無ければ、本人と断定する事は難しい。
……いや、この巨躯なのだ。身に付けている鎧と体に受けた無数の傷が、この人物が王禅であると物語っている。
この亡骸が王禅の物である事は間違いないのだろう。しかし───。
「兵を使い、王禅の首を捜させろ!」
念には念を入れ、徐栄は王禅の首を配下に捜索する様に命じた。
しかし、この広大な河の中から一つの首を探し出すのは困難を極める事だろう。必死に王禅の首を探す連合軍だが、二日経っても王禅の首が発見される事は無かった。
そして帝国が滅び、王禅が死亡してから一ヶ月後と言う時が過ぎ去っていた。
──龍国。
「ゴホッ、ゴホッ……。」
「大丈夫ですか?お祖父様。」
咳き込む祖父〈龍大聖〉を心配し、すぐに側に駆け寄る孫娘諸葛麟。
「……ああ、心配せずとも良い。この程度、大した事は無いわい。」
自分の身を案じる可愛い孫娘の存在に、嬉しそうにニコリと笑う龍大聖。
「…………。」
心配する孫娘を見つめ、微笑みながらも龍大聖は龍国の今後を憂いていた。
龍大聖は長年に渡り、三国連合軍の軍略を一手に担ってきた。それ故に、龍大聖は誰よりも各国の軍事力を把握している人物と言える事だろう。
天才的知略、一騎当千の武力、英雄的求心力、卓越した先見の明、兵達を纏め上げる優れた統率力───。
その以外にも内政や医術等、様々な才能に秀でた龍大聖ではあるが……。そんな天より愛された龍大聖にも、持たざる物が一つだけあった。
──それは、残さた時間である。
龍国と言う国は龍大聖、一人の天才によって保たれていると言っても過言ではない。
もし龍大聖と言う存在が無ければ各国は一斉に龍国に攻め入り、一瞬にして龍国は滅ぶ事になるだろう。
「……ふむ。」
そして大陸全土を宗国が支配すると龍大聖は危惧していた。
「いや、今は翔国やも知れぬな……。」
龍大聖の居なくなった龍国が、強大国である宗国、翔国に抗える力など無い事は明白であった。
「急がねばな……。この儂が生きている内に鳧を付けねばなるまいて。」
そう呟きながら、龍大聖は王の元へと向かって行った。
龍国の王、龍王は温厚な人物である。龍王は龍大聖の進言を全て聞き入れ、龍大聖に国の全てを任せていた。
帝国との戦いが終わった後も覇権を争わず、引き続き同盟を続けたいと願っていた。
……しかし、宗と恭は違う。只単に帝国を討つ為だけに、龍国と同盟をしていただけなのである。
帝国を討った今、宗王と恭王は野心を抱き、大陸全土を支配すると言う野望に満ち溢れていた。
何とか引き続き同盟を願う龍大聖と龍王だが……。龍大聖が居なくなり、弱体化した龍国を放っておく程、宗と恭は甘くは無いだろう。
龍国の行く末と大陸の平和を願う龍大聖。……しかし龍大聖の想いとは裏腹に、無情にも時は過ぎ去っていった。
──翔国。
そして予ての盟約により、翔国に各国の将軍達が集結する。
予ての盟約。そう、翔国が一体どの国と盟を結ぶのか?……その答えにより、各国の命運が大きく変わると言っても過言ではない。
公孫翔のたった一つの決断が、各国の命運を大きく変えるのである。
徐栄、朱真、龍大聖───。各国の大将軍達が公孫翔の次なる言葉を待っていた。
そんな張り詰めた空気の中、頬杖を突きながら呑気にも玉座に踏ん反り返る翔国王、公孫翔。
「俺が選ぶのは───。」
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 88
知力 67
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える所もある。
「司馬晋」
武力 93
知力 95
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「周衛」
武力 92
知力 78
忠誠 100
今は亡き優国、最強の将。九年の時を経て再び優駿と再会を果たす。猫より犬派。
「徐栄」
武力 パナイ
知力 ヤバい
連合 軍総大将
"天覇十傑"に名を連ね、"三英傑"に匹敵する実力を持つと言われている。宗、龍、恭、三国連合軍では、龍大聖を押し退けて総大将を務める程の大将軍である。
割りと若く、まだ二十代。……かなりの甘党。
「陸閃」
武力 化け物らしい
知力 普通
連合 軍の切り札
宗国の将軍。"天覇十傑"ではないものの最強の将、王禅を討つ切り札と呼ばれる少年。年は十六才。まだ若いが武の才は本物で、天賦の才を持つ。
「朱真」
武力 かなりヤバイ
知力 軽くヤバイ
騎馬 隊が強くて有名
恭国筆頭将軍。朱真将軍率いる騎兵団は大陸最強と名高く、よく帝国王禅将軍の騎馬隊とどちらが強いのかと噂される程である。
"天覇十傑"の一人で、常に冷静な猛将である。常に近寄りがたい雰囲気を醸し出しているが、部下の面倒見は良い。年齢は、割りと若い。
「諸葛麟」
武力 非力
知力 割りと高い
祖父 が最強
龍国丞相を務めている。
"三英傑"の一人、龍大聖の孫娘。ちなみに祖父は相国。
祖父である龍大聖程では無いが、かなり知略に長けている。どちらかと言うとほのぼの思考で、戦争はあまり好きなタイプでは無い。
餡蜜大好き。甘露大好き。食べるの大好き。でも太るのがちょっぴり怖い、お年頃……。
「諸葛龍」
武力 秘密
知力 100
超絶 カッコいいお爺ちゃん
龍大聖と呼ばれる龍国の英雄。祖国を救った英雄であり、大陸一の天才軍師と言われている。三国連合軍の副将を務め、二十万を超える大軍勢の指揮を一手に担っている。
「楽勝」
武力 そこそこ
知力 割りと高め
相当 ヤバい奴
狼国の副隊長。司馬晋の配下である。元盗賊の頭で、残忍な性格をしている。司馬晋に実力を認められ、配下になった経緯がある。




