第九十四話 「強者の闘い」
──ドゴォ!!
朱真将軍の槍が唸り、強烈な一撃が王禅に襲いかかる。
──ガキィン!!
「ハッ!!」
「討ち取らせて貰いますよ!」
そして更に襲いかかる徐栄将軍と陸閃の刃。
──ドガガガガガガガガッ!!
「ぐっ……。」
"天覇十傑"の二将と連合軍の"切り札"、その三人が相手なのである。流石の王禅と言えど、三将相手に苦戦を強いられるのは当然であった。
「やはり、あの三人は相当の化け物の様だな……。」
その強者達の戦いを、後方で静かに見守る黄牙。
あの四人は黄牙が天下最強を名乗るのであれば、必ず超えなければならない強敵達である。
黄牙は決して気圧されない様、自らの体を奮い立たせながら力強く剣を握り締めていた。
「…………。」
そんな黄牙の震える姿を、公孫翔と張翼の二人は静かに見守っていた。
──ドガッ!!
「ぐっ……。」
既に全ての兵を失い、劣勢に追い込まれる王禅。王禅は必死に矛を振るい、三人の将に懸命に抗い続けていた。
「…………。」
戦いの最中、少し言葉を失う徐栄と朱真。……それは長い戦いの中で、この様に苦戦を強いられる王禅の姿を見る事が初めてだったからである。
十四万対五百と、劣勢な理由も勿論あるのだが……。やはり連合軍の"切り札"、陸閃の強さが凄まじいのだろう。
「くっ……。流石に、これ以上は無理か……。」
三対一では勝てないと悟り、王禅は馬を走らせ逃走を開始した。
「…………。」
逃走する王禅の姿に、少しの虚しさが込み上げる二将。長い戦いの中で、この様に王禅が逃走する事があるなど夢にも思わなかったからである。
「逃がすな!王禅を追え!!」
二人は長きに渡り戦った強敵の、その様な姿を見たくはなかった。
馬を走らせ、全力で王禅を追いかける徐栄と朱真。
王禅の最後を見届ける為に……。いや強敵を、この手で討ち取る為に───。
二人は王禅との最後の戦いに向かって駆け出して行った。
「俺達も行くぞ!」
「ああ!」
三将を追う為、急ぎ馬を走らせる公孫翔達。
「居たぞ、あそこだ!」
公孫翔達が暫く馬を走らせると、三将と戦う王禅の姿が目に入る。
王禅は三将に詰め寄られ、高い崖へと追い込まれていた。
崖の下は河となっているが、この高さから落ちては流石に王禅と言えども無事では済まされないだろう。
しかし王禅は追い込まれながらも、凄まじい強さを見せていた。
──ドゴォ!!
「ぐっ!?」
三将の攻撃を捌きながら朱真に強烈な一撃を放ち、激しく吹き飛ばす王禅。
「三人掛かりでも苦戦するとはな……。王禅は本当に化け物か?」
王禅の武に驚愕する公孫翔達だが……。そんな中、劉士元だけは何処か冷めた目で戦いを眺めていた。
……同じ強者として、一対一の闘いにしか興味を示さない大陸最強の一族"剣竜"。
──ドガガガガガガガッ!!
「ぐっ!?……さっきから何だ!?テメェはよ!!」
王禅はその者の攻撃を矛で受けながら、自分と同程度の武を持つ少年の実力に驚いていた。
「フッ……。そいつの名は陸閃。王禅、お前を討つ連合軍の"切り札"よ!」
──ザシュ!
「ぐあっ!?」
そして王禅の肩に、陸閃の一撃が決まる。
──ガコォ。
突如足場が崩れ、宙に投げ出される王禅。そして王禅は崖から落下し、荒れ狂う激流の中へと飲み込まれていった。
「殺ったか!?」
「…………。」
「いや……。王禅が、あの程度で斃るとは思えん。……まだ生きている筈だ。探し出せ!」
「はっ!!」
十四万の兵を使い、王禅を探索する為の号令を出す龍大聖ではあるが……。この薄暗くなる中、広大な河の捜索は困難を極める物だった。
──ザパァ。
かなり距離が離れた下流にて……。何とか岸に辿り着く王禅。
「チッ……。やはり五百程度で話にならんか。しかし、あの小僧。この俺に一撃を喰らわすとは、やりやがる。ハッ!楽しくなりそうだな!」
そう呟きながら、王禅は陸閃に斬られた肩に手を当てた。
「流石の貴方でも、あの三人相手では厳しかった様ですね。」
──!?
負傷する王禅の前に、突如現れる一人の剣士。……いや正確には、その人物は剣も抜かず呑気に木に凭れ掛かり、王禅が来るのを待ち構えていた。
「テメェは……。」
「どうも、お久し振りです。」
そこにはニヤリと楽しそうに笑う、司馬晋の姿があった。
「この前は見逃して上げましたけど……。今度は逃がしませんよ?」
「何言ってやがる。逃げたのはテメェの方だろうよ。」
「フフフ……。手負いの所、悪いけど。……その首、置いていって貰うよ!」
そう言いながら二本の剣を抜刀し、凄まじい殺気を放つ司馬晋。
「ほざけ!テメェ如きにくれてやる程、この首は軽かねぇんだよ!!」
王禅も又、恐ろしい殺気を放ちながら巨大な矛を構えた。
──そして両者は、凄まじい一撃を放つ。
──ガキィン!
────────。
そして日が沈み、月が大地を照らす頃。龍大聖の元に、急いで馬を走らせる人物が居た。
……そして、その者は龍大聖にこう告げる。
「お、王禅の死体が発見されました。」
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 88
知力 67
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える所もある。
「司馬晋」
武力 93
知力 95
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「周衛」
武力 92
知力 78
忠誠 100
今は亡き優国、最強の将。九年の時を経て再び優駿と再会を果たす。猫より犬派。
「徐栄」
武力 パナイ
知力 ヤバい
連合 軍総大将
"天覇十傑"に名を連ね、"三英傑"に匹敵する実力を持つと言われている。宗、龍、恭、三国連合軍では、龍大聖を押し退けて総大将を務める程の大将軍である。
割りと若く、まだ二十代。……かなりの甘党。
「陸閃」
武力 化け物らしい
知力 普通
連合 軍の切り札
宗国の将軍。"天覇十傑"ではないものの最強の将、王禅を討つ切り札と呼ばれる少年。年は十六才。まだ若いが武の才は本物で、天賦の才を持つ。
「朱真」
武力 かなりヤバイ
知力 軽くヤバイ
騎馬 隊が強くて有名
恭国筆頭将軍。朱真将軍率いる騎兵団は大陸最強と名高く、よく帝国王禅将軍の騎馬隊とどちらが強いのかと噂される程である。
"天覇十傑"の一人で、常に冷静な猛将である。常に近寄りがたい雰囲気を醸し出しているが、部下の面倒見は良い。年齢は、割りと若い。
「諸葛麟」
武力 非力
知力 割りと高い
祖父 が最強
龍国丞相を務めている。
"三英傑"の一人、龍大聖の孫娘。ちなみに祖父は相国。
祖父である龍大聖程では無いが、かなり知略に長けている。どちらかと言うとほのぼの思考で、戦争はあまり好きなタイプでは無い。
餡蜜大好き。甘露大好き。食べるの大好き。でも太るのがちょっぴり怖い、お年頃……。
「諸葛龍」
武力 秘密
知力 100
超絶 カッコいいお爺ちゃん
龍大聖と呼ばれる龍国の英雄。祖国を救った英雄であり、大陸一の天才軍師と言われている。三国連合軍の副将を務め、二十万を超える大軍勢の指揮を一手に担っている。
「楽勝」
武力 そこそこ
知力 割りと高め
相当 ヤバい奴
狼国の副隊長。司馬晋の配下である。元盗賊の頭で、残忍な性格をしている。司馬晋に実力を認められ、配下になった経緯がある。




