第八十八話 「提案」
三人の大物の登場に……。またその圧に気圧され、動揺が走る優駿達。
普段空気を読む事すらしない刹那でさえ将達の圧を感じ取り、一言も口を挟む事無く闘志に身を震わせていた。
だが、それは連合軍の将達も同じである。一気に十国中四国を征し、最強国である帝国と並ぶ程の強大国にまでに登り詰めた翔国に───。
そして黄牙や"剣竜"劉士元など幹部達の強さを感じ取り、流石は四国を支配下に納める強者達だと認識していた。
そんな空気の中、連合軍総大将徐栄は翔国王にある案を進言する。
「恐れながら申し上げます。この旅我等は翔王様に、御相談申し上げたい事がございます。」
「…………。」
流石の公孫翔も傑物三人の登場に動揺していないかと心配し、公孫翔の表情をチラリと確認する優駿。
「ハハッ、堅苦しい挨拶など俺には必要無いぞ?何なら、敬語も必要無い。どうせ俺達は全員、盗賊上がりだからな……。ああ、優駿は違っていたか。」
「我等に、その様な寛大な御心遣い。大変感謝を致します。……しかし国には体裁と言う物がございまして、その様な事を申す訳には参りません。」
何時もと変わらぬ公孫翔の態度に、心配する必要など全く無かったのだと、取り越し苦労をする優駿。
しかし使者の前で足を組み、片肘を尽き顎を乗せるのは少し態度が悪いのでは?……と、心配が絶えない優駿であった。
「それで、相談とは?」
「ハッ。我等、宗、龍、恭───。三国と同盟を結んで頂きたいのです。」
──同盟!?
三国連合軍総大将、徐栄将軍の言葉に驚く優駿。
「それはつまり……。帝国を討つ為に、翔国に手を貸せと言う事か?」
「…………。」
……同盟。話の内容に動揺を覚えながらも、優駿は思考を巡らせる事を忘れてはいなかった。
同盟を組む事により、簡単に一国を減らす事が出来るなら、この提案は翔国にとって有益な物となるだろう。……それも最強国と謳われる、帝国なら尚更の事である。
しかし優駿には、この提案に幾つかの懸念があった。
「帝国を討つのは、我等三国の使命であります。その件に関しましては、翔王様の手を煩わせるつもりはございません。我等三国が帝国を討つ其れまで間、盟約をお守り頂くだけで結構でございます。」
確かに良い条件ではある。しかし優駿が思う懸念の一つ……。それは三国が長年の間同盟を組み、固い絆で結ばれている事である。
「……で?帝国を滅ぼした後は、三国で翔国に攻めてくるつもりか?」
──!?
優駿の懸念していた事の一つは、正にそれである。確かに帝国は、大陸一の強大国なのかも知れない。
しかし、この三国連合軍の存在はそれ以上に恐ろしい存在ではないだろうか?
たじろぎながらも、三国連合軍総大将徐栄の表情を窺う優駿。
「翔王様……。我等の二つ目の御相談は、それでございます。」
「……二つ目だと?」
「ハッ。確かに我々は帝国を討ち滅ぼした後、互いに覇を賭けて争う算段にてございます。当然ながら、その時は翔国にも刃を向ける事となりましょう。」
「……だろうな。」
「そこで翔王様に、二つ目の御相談を申し上げさせて頂きます。帝国を滅ぼした後も、引き続き一国とだけ同盟を保つ事を条件に、我等三国と同盟を結んで頂きたいのです。」
……引き続き、一国とだけ同盟!?
つまりその盟約があれば、帝国を滅ぼした後も三国から一斉に狙われる事が無く、必ず一国は味方に付ける事が出来ると言う事である。
静かに頭の中で考えを巡らせる優駿。確かに、その条件なら三国との同盟は決して悪い話ではない。
しかし───。
「その提案、翔国に何の得がある?負けている方に加勢し、わざと両方の軍を弱らせれば、俺達は楽に勝利を得る事が出来るだろう。……なんなら帝国と手を結んで、三国を滅ぼすのも面白いかもな。」
「ちょ、ちょっと公孫翔さん!?」
公孫翔の言葉に驚き、慌てて止めに入る優駿。……しかし公孫翔は優駿の言葉を全く気にせずに、そのまま話を進めていった。
「それにだ……。既に帝国に勝った気でいる様だが"三英傑"の一人、王禅は手強いぞ?」
そして優駿が懸念している理由の一つに、同盟の期間があった。たとえ連合軍が帝国に勝てるとしても、一体何年の月日を要するのかが不明なのである。
同盟を結んでいれば、その間優駿達は身動きが取れなくなってしまうのだ。……しかし連合軍総大将徐栄は、不敵な笑みを浮かべながら公孫翔に告げる。
「それは、御心配には及びません。我等には王禅を討つ"切り札"がございます。三ヶ月以内に、帝国は滅ぶ事でしょう。」
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 88
知力 67
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える所もある。
「司馬晋」
武力 93
知力 95
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「周衛」
武力 92
知力 78
忠誠 100
今は亡き優国、最強の将。九年の時を経て再び優駿と再会を果たす。猫より犬派。
「徐栄」
武力 パナイ
知力 ヤバい
連合 軍総大将
"天覇十傑"に名を連ね、"三英傑"に匹敵する実力を持つと言われている。宗、龍、恭、三国連合軍では、龍大聖を押し退けて総大将を務める程の大将軍である。
割りと若く、まだ二十代。……かなりの甘党。
「朱真」
武力 かなりヤバイ
知力 軽くヤバイ
騎馬 隊が強くて有名
恭国筆頭将軍。朱真将軍率いる騎兵団は大陸最強と名高く、よく帝国王禅将軍の騎馬隊とどちらが強いのかと噂される程である。
"天覇十傑"の一人で、常に冷静な猛将である。常に近寄りがたい雰囲気を醸し出しているが、部下の面倒見は良い。年齢は、割りと若い。
「諸葛麟」
武力 非力
知力 割りと高い
祖父 が最強
龍国丞相を務めている。
"三英傑"の一人、龍大聖の孫娘。ちなみに祖父は相国。
祖父である龍大聖程では無いが、かなり知略に長けている。どちらかと言うとほのぼの思考で、戦争はあまり好きなタイプでは無い。
餡蜜大好き。甘露大好き。食べるの大好き。でも太るのがちょっぴり怖い、お年頃……。




