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十国伝  作者: 魔神
燕国編

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86/90

第八十六話 「十二分の六」

「どうしよう、このままじゃ晋が……。」

司馬晋を助ける為、必死に張翼将軍の元へ馬を走らせる優駿。


(しばら)く走ると優駿の目に、(ようや)く前線にて奮闘する張翼の姿が目に入ってくる。燕国軍を圧倒し獅子奮迅の活躍を見せる張翼の姿に、少しの安心感を覚える優駿であった。


「大変なんだ!張翼将軍!晋がっ、このままじゃ晋が───!!」

安全な筈の本陣から血相を変えて前線に走る優駿の姿に、底知れぬ不安と(ただ)ならぬ気配を感じ取る張翼。


「分かった、すぐに俺が向かう!優駿、お前は大人しく本陣に戻ってろ!」

"九燕"が現れた事を聞かされた張翼は、すぐに五千の兵を引き連れて司馬晋の元へ馬を走らせた。



──ザシュ!ザシュウ!!

司馬晋の刃から放たれる凄まじい斬撃に、()(すべ)も無く(ただ)の肉片と化す暗殺者"九燕"達。

そのあまりの恐ろしさに周りに居た燕国兵達は皆恐怖し、逃げ出して行く程であった。


「貴様は一体、何者だ……?」

全ての"九燕"達が討ち取られ"九燕"の将である淵麻凰は、既に戦意を消失し(ただ)茫然と立ち尽くしていた。


「僕かい?僕は、只の参謀さ。……只のね。」


──ザシュ!!

「ぐはっ!?」

そして残る最後の将も討たれ、全て大地へと()す暗殺者一族"九燕"。


「剣竜二刀流暗殺剣、絶技"龍王連牙"!僕に、この技を出させた事を褒めて上げるよ……。」

全ての敵を葬り去った後、司馬晋は先程までの楽しそうな表情とは裏腹に、何処(どこ)()まらなさそうな表情をしていた。


「燕国軍も"九燕"も、所詮(しょせん)はこの程度か……。」

そうポツリと(つぶや)きながら肩を落とし、少し寂しそうな表情を見せる司馬晋。


──ドドドドドドドド!!


「遅くなって済まねぇ!生きてるか晋!!」

そこに、急いで駆け付ける張翼隊五千。……しかし張翼は倒れている"九燕"の屍の数に驚き、戦慄を覚えた。


「……こいつら全員、お前が殺ったのか!?」


「まあね、只の雑魚だったよ……。」

そう話しながら、司馬晋は不適な笑みを浮かべていた。


「晋、お前……。」

酷く驚きながら話し掛ける張翼。


「アハハハハハハハハハ……。違うよ、こいつらは"九燕"の偽物だったんだ。」

「……偽物?」


「そうそう……。恐らく"九燕"の格好をして、僕達を恐怖に(おとしい)れるのが目的だったんだろうね。お陰で僕達は、まんまと騙されて大変だったんだよ……。」


「ああ、そう言う事だったのか納得したぜ。優駿が泣きそうな顔で走って来るからよ。……心配して損したぜ。」


あまり細かい事は気にしない張翼。張翼は司馬晋の話を信じ、すぐに前線へと戻って行った。

……しかし何処(どこ)か納得が行かず、顔をしかめて(いぶか)しげな表情を見せる優駿。


優駿には、あの恐ろしい"九燕"達が偽物だとは思えなかった。あの"剣竜"と同じ程の恐ろしさと、その放つ殺気の凄まじさは……。優駿には、どうしても偽物だとは思えなかったのである。


……しかし武に覚えの無い事と、頼もしい味方である司馬晋が嘘を言う事は無いと、優駿はそれ以上気にするのを止める事にした。


残りの"九燕"達も劉士元と黄牙の前に難無く破れ去り、四人の将軍が全て破れ去った事を知った燕国王は降伏し、泣く泣く公孫翔に玉座を()け渡した。


燕国王により圧政に苦しめられていた民達は蛇国同様、新たなる王である公孫翔を歓迎し熱烈に迎え入れた。


優駿達の居る翔国は燕国を支配下に置いた事により、十二国中半分の領土である六国を支配下に納める大陸一の大国となっていた。


……しかしこれはあくまで、南方の弱小国を束ねただけに過ぎない。


このまま放っておけば脅威になると判断し、遂に強国である五国が動き始める。


そして優駿達の居る燕国城に、宗、恭、龍───。強大国である三国の将達が迫っていた。


遂に翔国を中心に、大陸全土を揺るがす大きな戦いが始まろうとしていた。


『十国伝』「~三章~燕国編」完結

次回 「~四章~三国同盟編」開始

武将紹介

優駿(ゆうしゅん)

武力 47

知力 87

主人公 オーラがあまり無い。


一応これでも主人公。

亡き国、優国の王子。

生き別れの妹を探している。

祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。

頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。

こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。


刹那(せつな)

武力 89

知力 54

髪型 95 かなり気合い入れてる。


村の自警団の一員。

剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。

でも頭の方は、お察し。

綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。


公孫翔(こうそんしょう)

武力 92

知力 99

髪型 98 美容院通ってるの!?


(おぼろ)の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。


黄牙(こうが)

武力 96

知力 77

自称 最強剣士。


公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。


劉士元(りゅうしげん)

武力 97

知力 67

暗殺 最強の一族


大陸最強の暗殺者一族、"剣竜(けんりゅう)"。


張翼(ちょうよく)

武力 94

知力 87

自分 大好き


翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。


士龍(しりゅう)

武力 88

知力 67

努力 家


志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える所もある。


司馬晋(しばしん)

武力 93

知力 95

糸目 開眼しないタイプの糸目。


掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。


周衛(しゅうえい)

武力 92

知力 78

忠誠 100


今は亡き優国、最強の将。九年の時を()て再び優駿と再会を果たす。猫より犬派。


袁剛(えんごう)

武力 93

知力 46

肥満 体型


怪力自慢で、燕国一の豪将。実家は中華料理屋で本人も料理が大好き。得意料理はエビチリ。……でも、辛いのは苦手だから食べられない。


淵麻凰(えんまおう)

武力 94

知力 89

九燕 筆頭


暗殺者一族"九燕"筆頭剣士であり、"九燕"総帥兼燕国四将軍の一人である。"剣竜"に匹敵。いや"剣竜"よりも実力が上回る暗殺者一族"九燕"を率いる長である。

二十九人とその数は少ないのだが、既に"天覇十傑"に匹敵する程の兵力を持っている。趣味は囲碁、将棋。実力は四級くらい。

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― 新着の感想 ―
第三章完結おめでとうございます(*^^*)♪ 司馬晋強すぎーー!!\(^o^)/ 六つの国を手に入れたんだね〜!凄い!! 次の章は……ついに同盟!!
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