第八十五話 「状況が理解出来ない者」
「さてと……。」
優駿達を退却させ殿を務める為に、司馬晋は二十人の"九燕"と戦う覚悟を決める。……そして辺りを見回し、もう一度改めて状況を確認した。
「"九燕"から、逃げ切れると思っているのか?」
目前の勝利に不敵に笑う"九燕"の将、淵麻凰。
「…………。」
……司馬晋は、体を震わせていた。
「ハーハッハッハッハ!馬鹿め、袁剛を討ち取った程度でいい気になりおって!ここに居る"九燕"共は、一人一人が袁剛に匹敵する化け物達よ!……貴様らに、最初から勝ち目等有りはしないのだ!!」
もう一人の将軍も勝利を確信し、震える司馬晋の前でさも得意気に笑っていた。
「……それで、勝ったつもりかい?」
──!?
司馬晋の言葉に驚く、二将。
「貴様は余程の馬鹿と見える……。この状況が、まだ理解出来ぬのか?それとも貴様には、この二十人の"九燕"が目に入らぬと言うのか?貴様らが我等"九燕"を敵に回した時点で、既に勝敗が決しているのだ。所詮貴様ら等、我等"九燕"の前では敵ですら無い。何人足りとも我等の前では一瞬で塵と化す事を、貴様に教えてやろう!」
「…………。」
司馬晋は体を震わせ、一言も喋らなかった。
「やっと理解出来た様だな。恐怖で何も言えぬと見える。良かろう……。せめて苦しまず一撃で、あの世に───。」
「……黙れ。」
──!?
「…………。」
司馬晋は震えていた。……怒りに体を震わせていた。
「困るんだよ、この程度で勝った気になられちゃさぁ。折角、良い所だったのに……。弱者は弱者らしく、必死に足掻いて貰わなくちゃさぁ!」
──!?
「貴様、正気か!?この状況で、まだ世迷い言を……。」
「御託は良いから、かかってきなよ!!」
その言葉に"九燕"の将は怒りを露にし、部下である"九燕"達に首を取る様に命じた。
「殺れ!この馬鹿に、我等"九燕"の恐ろしさを教えてやれ!!」
五人の"九燕"が刃を光らせ、司馬晋に襲いかかる。
「どっちが状況を理解していないのか、教えて上げるよ。」
……そう言いながら、司馬晋は一本の剣を抜いた。
"九燕"の速さは凄まじい物があった。……凡そ常人には、その目で捉える事すら出来ないだろう。
"九燕"の刃は恐ろしい速度で司馬晋に襲いかかり、既にその喉元を捉えていた。
──ゆらり。
しかし自らの喉元に迫る"九燕"の刃にも動じる事無く、両手を大きく広げ奇妙な構えを取る司馬晋。
「見せて上げるよ、伝説の暗殺者一族"剣竜"の奥義をね……。」
──ザシュ、ザシュウ!!
司馬晋の双剣が唸る。高速の剣閃が走り、凄まじい斬撃が"九燕"達の体を斬り裂いていく。
「剣竜二刀流暗殺剣、秘技"鳳凰天舞"!」
──!?
「がはっ!?」
ドサリと音を立て、大地に沈む四人の"九燕"。
「ば、馬鹿な……!?」
「…………。」
司馬晋のあまりの強さに、言葉を失う"九燕"達。
「あれ?……四人だけ?おかしいな、ちゃんと五人斬った筈なんだけどな……。この技には、まだまだ改良の余地がありそうだね。」
──ドシュ!!
討ち漏らした一人の体を剣で貫きながら、司馬晋は酷く楽しそうに笑っていた。
「これで、どちらが狩られる側か理解出来たかい?」
「ひいっ、ひいぃぃぃぃ……。」
あれだけ虚勢を張り、高笑いをしていた筈の燕国将が恐ろしさのあまり叫び声を上げる。
「馬鹿な、有り得ぬ……。我等"九燕"を容易く打ち倒す等、有り得ぬのだ……。」
恐れを抱くのは"九燕"総帥、袁麻凰も同じであった。……いや"九燕"筆頭の実力があるからこそ、司馬晋との実力の違いが理解出来たのかも知れない。
"九燕"筆頭の実力を持つ袁麻凰でさえ、司馬晋の放つ高速の斬撃が全く捉える事が出来なかったのである。
その恐ろしさを理解し袁麻凰は、司馬晋に底知れぬ恐怖を感じていた。
「最初から本気で来ないから、二十人居る"九燕"が十五人まで減っちゃったよ?でも大丈夫、大丈夫……。まだ十五人も居るんだからさ。……もしかしたら、僕にも勝てるかも知れないよ?」
二刀を構えながら、凄まじい殺気を放つ司馬晋。楽しそうに笑う司馬晋の姿に怯え、殺気と気迫に気圧された"九燕"達は恐怖により動く事が出来なかった。
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 88
知力 67
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える所もある。
「司馬晋」
武力 93
知力 95
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「周衛」
武力 92
知力 78
忠誠 100
今は亡き優国、最強の将。九年の時を経て再び優駿と再会を果たす。猫より犬派。
「袁剛」
武力 93
知力 46
肥満 体型
怪力自慢で、燕国一の豪将。実家は中華料理屋で本人も料理が大好き。得意料理はエビチリ。……でも、辛いのは苦手だから食べられない。
「淵麻凰」
武力 94
知力 89
九燕 筆頭
暗殺者一族"九燕"筆頭剣士であり、"九燕"総帥兼燕国四将軍の一人である。"剣竜"に匹敵。いや"剣竜"よりも実力が上回る暗殺者一族"九燕"を率いる長である。
二十九人とその数は少ないのだが、既に"天覇十傑"に匹敵する程の兵力を持っている。趣味は囲碁、将棋。実力は四級くらい。




