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十国伝  作者: 魔神
蛇国編

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第七十三話 「解放」

──ドドドドドドドドド!!

張翼率いる八千の部隊が戦場を駆ける。


目前の勝利に慢心し、援軍など居ない物と安心仕切っている蛇国軍の背後を突いて襲いかかる張翼隊。

突如後方から現れた八千の部隊に全く対応出来ず、蛇国軍の指揮は混乱を極めていた。


敵陣に斬り込み、獅子奮迅の活躍を見せる張翼。そして、鬼気迫る勢いで敵を斬り裂いていく司馬晋。

張翼の刃と司馬晋の二刀が襲いかかり、蛇国軍を(またた)く間に殲滅していった。


それは正に、圧倒的であった。優れた軍師も居らず"剣竜"も居ない蛇国軍。その様な軍が精鋭揃いである翔国軍に、最初から勝てる道理など無かったのである。

……そして掲げる"翔"の軍旗に、蛇国兵達は次第に戦意を喪失し始めていた。


──ドゴォ!!

「何をしておるのか、貴様らぁ!!」


しかしそんな中、蛇国軍の中にも優れた将が一人だけ存在していた。十五人居る蛇国将の中でも最強を誇る実力の持ち主、沙武遜(さむそん)将軍。


(たけ)り、怒り狂う沙武遜(さむそん)将軍。沙武遜(さむそん)は巨大な金棒を玩具(おもちゃ)の様に軽々と振り回しながら軍を率い、司馬晋隊に襲いかかっていった。


その巨躯(きょく)は刹那が今、闘っている阿鈍(あどん)よりも一回りも二回りも大きく、その巨大な金棒で翔国兵を薙ぎ倒していく。


──ドパァ!!

その巨躯(きょく)と巨大な金棒から繰り出される強烈な一撃は、一振りで十数人の体を叩き潰す程の凄まじさだった。


「ハハ、少しヤバそうだね。あれは……。」

沙武遜将軍に気が付いた司馬晋は二刀を構え、すぐに敵将目掛けて馬を走らせる。


「ガハハハハハハハハ、俺に挑むとは良い度胸だ!!」

同様に沙武遜(さむそん)も又、迫ってくる司馬晋の姿に血を(たぎ)らせ馬を走らせた。


「化け物だね。……勝てるかなー?」

──ヒュッ。

懐に入り込み、素早い動きで斬りかかっていく司馬晋。


──!?

しかし巨大な体から繰り出される強烈な一撃は、司馬晋の予想を上回る速度だった。

沙武遜将軍の全力を込めた渾身の一撃が、司馬晋に襲いかかる。


──!?

「へぇ……。思ったより速いね、君。」


──ガキィン!!

だが、それを難無く弾き返す司馬晋。


「馬鹿なっ!?巨岩をも打ち砕く俺の一撃を、容易(たやす)く弾き返すだと!?」


──ザシュ!!

司馬晋は巨大な金棒を軽々と防ぎながら、もう片方の刃で一撃を叩き込んでいく。


「がはっ!!有り得ぬ、この俺が()されているなど……。」

「なんだ期待してたのに、思ったより弱いね君。がっかりだよ、これなら僕でも楽勝で勝てちゃうよ。」


二刀を巧みに操り、変幻自在な連撃を繰り出す司馬晋。──その刃は、沙武遜(さむそん)将軍の巨体を凄まじい速さで斬り裂いていった。


「ぐはっ……。」

断末魔の声を上げドサリと崩れ落ちる蛇国軍総大将、沙武遜(さむそん)将軍。


猛将である筈の沙武遜(さむそん)を、いとも容易(たやす)く撃ち破る司馬晋の圧倒的強さに……。

敵である蛇国兵だけでなく、味方である翔国兵でさえも静まり返っていた。


「はーい皆ー。勝鬨(かちどき)を上げるよー!」

剣を掲げ、ニヤリと笑う司馬晋。


「オオオオオオオオオオオ!!」

(いて)ててて。……ん?なんだ?」


蛇国将阿鈍(あどん)に追い詰められ、身体中の至る所に手傷を負いながら刹那は倒れ込んでいた。

……そんな劣勢の刹那や優駿の耳にも、勝利の歓声が聞こえ始める。


「何だと!?馬鹿な、勝鬨だと……。何かの間違いでは無いのか?」

その歓声は敵兵の耳にも等しく聞こえ、(とどろ)く雄叫びに阿鈍(あどん)将軍も狼狽(うろた)えずにはいられなかった。


「大変です、阿鈍(あどん)将軍!総大将である沙武遜(さむそん)将軍が討ち取られました!阿鈍(あどん)将軍は至急、本陣迄お戻り下さい!」


「なっ、何だと!?沙武遜(さむそん)()られただと!?そんな訳があるか、貴様ぁ!!」

「はっ、しかし……。」


──ザシュ!

総大将の沙武遜(さむそん)が討ち取られ、動揺する阿鈍(あどん)に刹那の一刀が襲いかかる。……その隙を見逃す刹那ではない。


よろけ体勢を崩す阿鈍(あどん)。勝鬨に気を取られ、動揺していた所為(せい)もあったのだろう。……しかし阿鈍(あどん)は、それ以上に刹那を(あなど)り過小評価していたのである。


「ぐあっ!?」

生きるか死ぬかの戦場に()いて、敵の前で他の事に気を取られる等自殺行為に等しかった。

その様な生半可な覚悟で倒せる刹那では無い。……刹那も又、数々の死線を潜り抜けてきた強者なのだ。


「シッ!」

──ザシュ!

何とか反撃を試みる阿鈍(あどん)。だがその攻撃を()(くぐ)り、刹那の二撃目が見事に決まる。


「ぐはあっ……。」

決着がつき、ドサリと崩れ落ちる猛将阿鈍(あどん)


「はぁ、はぁ……。」

何とか辛うじて勝利を納めた刹那だが……。阿鈍(あどん)が勝鬨に気を取られて油断をしていなければ、倒れていたのは刹那の方だったのかも知れない。


蛇国総大将が討ち取られ翔国軍が勝利した事を知った優国の民達は、祖国が解放された事を知り涙を流しながら喜んだ。


街中に大歓声が広がり、そして国中が歓喜に包まれる中。……祖国に戻って来れた事を実感し、優駿の目からも涙が(こぼ)れ落ちる。


優国の民は元王子である優駿の帰還を心から喜び、そして優国を救った英雄達を熱烈に迎え入れた。


幼き頃に住んでいた王宮に戻って来た優駿は、幼かった日の事を思い出す。……優しかった両親。──そして、行方不明の妹。


優駿の戦いは、まだ終わって等いないのである。蛇国を倒し、そして再び妹に会う(まで)は───。


「良かったな、優駿。だが、もう一仕事残ってるぜ。気を抜くんじゃねぇぞ……。明日も気合いを入れろよ!」


「ありがとう、刹那。」

共に戦った仲間達に感謝をしながら、優駿は心から笑っていた。

武将紹介

優駿(ゆうしゅん)

武力 47

知力 87

主人公 オーラがあまり無い。


一応これでも主人公。

亡き国、優国の王子。

生き別れの妹を探している。

祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。

頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。

こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。


刹那(せつな)

武力 89

知力 54

髪型 95 かなり気合い入れてる。


村の自警団の一員。

剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。

でも頭の方は、お察し。

綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。


公孫翔(こうそんしょう)

武力 92

知力 99

髪型 98 美容院通ってるの!?


(おぼろ)の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。


黄牙(こうが)

武力 96

知力 77

自称 最強剣士。


公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。


劉士元(りゅうしげん)

武力 97

知力 67

暗殺 最強の一族


大陸最強の暗殺者一族、"剣竜(けんりゅう)"。


張翼(ちょうよく)

武力 94

知力 87

自分 大好き


翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。


士龍(しりゅう)

武力 88

知力 67

努力 家


志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える所もある。


司馬晋(しばしん)

武力 91

知力 93

糸目 開眼しないタイプの糸目。


掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。


蓋亞(がいあ)

武力 92

知力 64

蛇国 三連星


蛇国三連星の一人。三人揃えば必殺技、乱気流攻撃が可能。蛇国で一、二を争う猛将である。


雄流手我(おるてが)

武力 90

知力 46

蛇国 三連星


蛇国三連星の一人。三人揃えば必殺技、乱気流攻撃が可能。趣味は犬のエサやり。


松朱(まつしゅ)

武力 88

知力 72

蛇国 三連星


蛇国三連星の一人。三人揃えば必殺技、乱気流攻撃が可能。焼き芋大好き。


周衛(しゅうえい)

武力 92

知力 78

忠誠 100


今は亡き優国、最強の将。九年の時を()て再び優駿と再会を果たす。猫より犬派。


阿鈍(あどん)

武力 91

知力 32

漢気 90


蛇国が誇る猛将の一人。沙武遜とは相棒である。曲がった事が大嫌い、いつも正々堂々戦う武将である。だが頭が悪い為、良く分かってはいない。


沙武遜(さむそん)

武力 93

知力 27

漢気 95


蛇国軍、最強の将。阿鈍とは相棒の仲である。卑怯な事が大嫌いな愚直な男だが。かなり頭が悪く、良く分かってはいないらしい。

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― 新着の感想 ―
良かったね、優駿♪あともう少しで祖国解放だよ〜\(^o^)/ それにしても、刹那より強くなった司馬晋、すごーい!張翼も何気に強いし♪
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