第百五話 「落ち度」
「ふむ、あの恭国の将軍達と互角に渡り合うとはな……。流石、六国を制するだけの事はある様だな。"剣竜"を含め、翔国には優秀な将軍が揃っているのだろう。三、四……。いや、五人か。」
"天覇十傑"三人を擁する恭国と、互角に渡り合う武力を持つ翔国に驚く龍大聖。しかし───。
「……ふむ、詰んでおるな。」
大陸一の天才軍略家である龍大聖の知力と、長年に渡る戦いの勘が───。この戦いに於ける勝利と言う結末を、既に見据えていた。
「流石にこの状態から打てる策など、奴等には一つも有りはしないだろうよ。……全軍、突撃!!」
「オオオオオオオオオオオオオ!!!」
勝利を確信する"三英傑"の一人、龍大聖の策略が苦戦する翔国軍の背後に襲いかかる。
──ドドドドドドドドド!!
一斉に崖から駆け降りる四万の龍国軍。その馬の蹄の音により、大地が震えていた。
「何だっ!?」
その近付いてくる蹄の音に反応し、振り替える刹那。
「一体、何処の軍だ!?」
突如現れた謎の大軍に驚愕し、翔国軍は恐怖に陥れられていた。
「……来たか。」
龍大聖率いる龍国軍が到着した事を知り……。勝利を確信し、ニヤリと笑みを浮かべる恭国総大将朱真。
「このままじゃ不味いですよ!どうするんですか、公孫翔さん!」
「…………。」
そう叫ぶ優駿だが、その言葉は公孫翔の耳には届かなかった。
「…………。」
ただ黙ったまま、全く動く気配の無い公孫翔。……いや、それは正確には少し違っていた。賢い公孫翔だからこそ、動く事が出来なかったのである。
当然ながら龍大聖率いる四万の龍国軍は、只の四万の軍と言う訳ではない。翔国を討つ為に龍大聖が選りすぐった、龍国の精鋭達である。
そして龍大聖は公孫翔が打ってくるであろう策を全て読み、その全ての策に対して対応策を講じていた。
今回の公孫翔の策略も勿論、龍大聖は読んでいた。そしてその策略の全てを読んでいた龍大聖は公孫翔の策を逆手に取り、翔国軍に気付かれない様に軍を移動させていたのである。
しかし、それには一つの疑問が残る。……そう、それを宗国が見過ごす筈が無いのだ。
宗国総大将徐栄は龍大聖率いる龍国軍に注視し、その十二万の軍が動かない様に見張っていた筈なのである。
もし龍大聖が四万もの軍勢を率いて動き出したのなら、それを徐栄が見過ごす筈が無いのだ。
……しかし、そこは龍大聖の方が一枚上手であった。
龍大聖は宗国軍を欺く為に数日前から一般人を募り、その一般人に龍国軍の鎧を着せ、あたかも十二万の龍国軍が居る様に見せかけていたのである。
しかし、この作戦は諸刃の剣でもあった。もしこの時、徐栄が軍を動かして龍国を攻めていたならば、確実に勝利を手にしていた事だろう。
四万の精鋭と"三英傑"である龍大聖を欠いた龍国軍が、強国である宗国軍に抗う術など何一つ無いのだから───。
しかし龍大聖は宗国が決して動かないと読み、その隙を突いて進軍してきたのである。
攻めていれば勝利していたものを……。宗国軍は龍大聖の策略に嵌まり、その勝利を逃したのである。
しかしこの失態は宗国総大将、徐栄にあると言う訳ではない。徐栄は恭、龍連合軍に確実に勝つ為に、今回の作戦の全てを公孫翔に委ねたのである。
そして徐栄は公孫翔の指示通り動き、十二万の龍国軍の動きを止めていたに過ぎない。……そう、これは完全に公孫翔の落ち度である。
龍大聖の知略が、ただ単に公孫翔の知略を上回っていた結果なのだ。そして今回の失態の全ては、龍大聖の策を読み切れなかった公孫翔にあった。
優駿が叫ぶ中……。この窮地を脱する為に、必死に思考を巡らせ、十二の打開策を講じる公孫翔。
「…………。」
しかし公孫翔の顔色は、陰りを残したままであった。……それは公孫翔が、この先どんな策略を巡らせようとしても、その全てを龍大聖に潰される事を理解していたからである。
あの天才的知略を誇る"三英傑"龍大聖が、勝てると踏んで攻めてきたのだ。その様な状態の龍大聖に勝てる人間など、この世に一人も存在しないのだから───。
いやもし居るとすれば、それは同じ"三英傑"の一人、葉国の李葉だけだったのかも知れない。
公孫翔も、その事を良く理解していた。この先どんな策略を公孫翔が巡らせようとも、その全てを龍大聖に潰されてしまう事だろう。
……そう。龍国軍が現れた時点で、既にこの戦いの勝敗は決していた。
──いや、龍大聖を敵に回した時点で公孫翔達の敗北が決定していたのである。
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 88
知力 67
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える所もある。
「司馬晋」
武力 93
知力 95
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「周衛」
武力 92
知力 78
忠誠 100
今は亡き優国、最強の将。九年の時を経て再び優駿と再会を果たす。猫より犬派。
「徐栄」
武力 パナイ
知力 ヤバい
連合 軍総大将
"天覇十傑"に名を連ね、"三英傑"に匹敵する実力を持つと言われている。宗、龍、恭、三国連合軍では、龍大聖を押し退けて総大将を務める程の大将軍である。
割りと若く、まだ二十代。……かなりの甘党。
「陸閃」
武力 化け物らしい
知力 普通
連合 軍の切り札
宗国の将軍。"天覇十傑"ではないものの最強の将、王禅を討つ切り札と呼ばれる少年。年は十六才。まだ若いが武の才は本物で、天賦の才を持つ。
「朱真」
武力 97
知力 90
騎馬 隊が強くて有名
恭国筆頭将軍。朱真将軍率いる騎兵団は大陸最強と名高く、よく帝国王禅将軍の騎馬隊とどちらが強いのかと噂される程である。
"天覇十傑"の一人で、常に冷静な猛将である。常に近寄りがたい雰囲気を醸し出しているが、部下の面倒見は良い。年齢は、割りと若い。
「鄭羽」
武力 99
知力 74
性格 寡黙
"天覇十傑"の一人。恭国一の猛将で、王禅と互角に渡り合う程の実力を持つ将軍である。性格は物静かで寡黙。
「夏侯炎」
武力 98
知力 67
極力 戦いたくない
"天覇十傑"の一人。戦より、女と金と酒と博打が好き。人間味臭い性格である。しかし性格は良い為、友人も多く、部下からはかなり慕われている。
「諸葛麟」
武力 非力
知力 割りと高い
祖父 が最強
龍国丞相を務めている。
"三英傑"の一人、龍大聖の孫娘。ちなみに祖父は相国。
祖父である龍大聖程では無いが、かなり知略に長けている。どちらかと言うとほのぼの思考で、戦争はあまり好きなタイプでは無い。
餡蜜大好き。甘露大好き。食べるの大好き。でも太るのがちょっぴり怖い、お年頃……。
「諸葛龍」
武力 秘密
知力 100
超絶 カッコいいお爺ちゃん
龍大聖と呼ばれる龍国の英雄。祖国を救った英雄であり、大陸一の天才軍師と言われている。三国連合軍の副将を務め、二十万を超える大軍勢の指揮を一手に担っている。
「楽勝」
武力 そこそこ
知力 割りと高め
相当 ヤバい奴
狼国の副隊長。司馬晋の配下である。元盗賊の頭で、残忍な性格をしている。司馬晋に実力を認められ、配下になった経緯がある。
「諸葛龍」
武力 97
知力 97
年齢 19
四十年前の若かりし頃の龍大聖。この大陸の戦術を確立させた天才であり、救国の英雄である。
「王凱」
武力 98
知力 52
当時 最強
王禅将軍の祖父。間違い無く、当時最強の将軍である。ちなみに王禅将軍の母方の祖父である。王禅のお母さんも、有名な将軍だったりする。
「村雨」
武力 94
知力 94
当時 は大陸一の知将
龍大聖が戦術を確立させるまで、大陸最強の知将であった。龍大聖が編み出した兵法により、昔の軍師は今と比べると、イマイチの評価と成り下がった。当時は最強なのよ?




