第百三話 「籠城戦」
恭国と蛇国の国境沿いには、今は使われていない古びた城が一つあった。その昔、北の強国から蛇国領を守る為、蛇国王が奴隷達に作らせた要塞である。
しかしその後、蛇国王は更に巨大な壁の如く要塞を奴隷達に築かせた為、この城は不要となって今は使われなくなっていた。
優駿達翔国軍はその城に入り次第、恭国軍と戦えるか念入りに確認を始める。優駿の予想よりも遥かに頑丈であり、この城がかなり強固な物であると確認出来た。
恭国軍との戦闘に備える為、指示通り部下を配置していく優駿。そして──。
──ドドドドドドドドド!!
地響きと共に、"天覇十傑"率いる六万の恭国軍が到着する。
「……何で、追ってきたんだろ?」
優駿は首を傾げながら、不思議そうな表情を浮かべていた。
幾ら恭国に優れた軍師が居ないとは言え、この様な明白な策には乗ってこない物だと優駿は考えていた。
翔国軍との戦う為の術を、何かしら龍大聖から聞いている筈なのだが……。
それに、恭国の最大の武器。籠城戦に持ち込んでしまえば、その最大の武器である大陸最強と名高い騎馬隊が活かせないのである。
いや、それは翔国側も同じ事であった。籠城戦に持ち込んでしまうと、公孫翔の知略を思う存分に活かす事が出来ないのである。
もしかすると恭国軍は、こちらが策略をあまり使わない、頭脳戦以外の戦闘に持ち込みたかったのかもしれない。……そう考えれば、恭国軍の行動も理解出来るのでは無いだろうか?
そんな不安が頭に過る優駿だが……。この"天覇十傑"の三将が迫る、緊縛した戦の中───。優駿は何故か、とても落ち着いていた。
「…………。」
チラリと公孫翔の姿を確認する優駿。
……そう、今回の戦いは公孫翔が居るのである。前回の戦いの時も、その前々回の戦いの時も……。優駿は公孫翔と別行動をし、そして苦戦へと追い込まれていた。
「…………。」
公孫翔が側に居る事、そして常勝無敗の公孫翔が立てた策略ある事……。優駿は"天覇十傑"率いる恭国軍に囲まれながらも、その頼もしい存在に安堵していた。
公孫翔に付いていけば、何一つ問題などありはしないのだから───。
「ふむ……。奴等が何故誘いに乗ってきたのかは分からんが、これで得意な騎馬隊を封じる事が出来たな。なら、このまま作戦通りに進めるとするか。」
「……そうですね。」
──ドドドドドドドドド!!
先程と同様に軍を三隊に分け、恭国軍は東側と西側へ移動を開始する。そして北側の門を除き、三方向から城を包囲する形となった。
東門には、"天覇十傑"の将、夏侯炎。
西門には、"天覇十傑"の将、鄭羽。
そして南門には、"天覇十傑"恭国総大将、朱真が配置に就く。
「大方、予想通りだな。作戦通り、三将の一人に狙いを定めて奇襲をかける。……一人討ち取れば、流れは完全にこちらを向くだろう。そうだな……。先ずは総大将、朱真以外の二人を狙おうか。」
公孫翔は三将の一人、鄭羽に狙いを定め、軍の配置を変更させた。
西門を攻める鄭羽軍二万には、西側の城壁を守る為に一万の兵と刹那を。
南門を攻める総大将朱真軍二万の軍には、同じく城壁を守る為に一万の兵と張翼を。
東門を攻める夏侯炎軍二万には、同様に一万の兵と士龍を配置した。
「全軍突撃!」
「オオオオオオオオオオオ!!」
総大将朱真将軍の合図と共に、六万の恭国軍が一斉に攻撃を開始する。
そして恭国軍が動いた事を確認した公孫翔は、待機させていた黄牙隊に突撃の指示を出す。
「西門に居る、鄭羽に狙いを定める!西門を開け!」
公孫翔の作戦とは、籠城すると見せかけ……。三隊に分かれた将の一人に狙いを定めて、それを討ち取ると言う物であった。
開かれた西門からは刹那、黄牙率いる一万の軍が突撃を開始する。それと同時に鄭羽軍の背後の森に伏せておいた、一万の軍も突撃を始めた。
──そして妖しく剣を光らせながら動き始める、大陸最強の暗殺者一族"剣竜"劉士元。
「…………。」
鄭羽は静かに後方を振り返り、背後から迫る一万の軍を確認する。
同じ二万とは言え、鄭羽軍は黄牙率いる二万の軍に挟撃に合う形となった。
「俺が鄭羽を討つ!その間、周りの兵は任せたぜ、刹那!!」
"天覇十傑"を討ち取るために、黄牙は鄭羽の元へ一直線に馬を走らせる。
「おおよ、任せとけ!!」
そして刹那も剣を手に、敵陣の中へと走り出した。
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 88
知力 67
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える所もある。
「司馬晋」
武力 93
知力 95
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「周衛」
武力 92
知力 78
忠誠 100
今は亡き優国、最強の将。九年の時を経て再び優駿と再会を果たす。猫より犬派。
「徐栄」
武力 パナイ
知力 ヤバい
連合 軍総大将
"天覇十傑"に名を連ね、"三英傑"に匹敵する実力を持つと言われている。宗、龍、恭、三国連合軍では、龍大聖を押し退けて総大将を務める程の大将軍である。
割りと若く、まだ二十代。……かなりの甘党。
「陸閃」
武力 化け物らしい
知力 普通
連合 軍の切り札
宗国の将軍。"天覇十傑"ではないものの最強の将、王禅を討つ切り札と呼ばれる少年。年は十六才。まだ若いが武の才は本物で、天賦の才を持つ。
「朱真」
武力 かなりヤバイ
知力 軽くヤバイ
騎馬 隊が強くて有名
恭国筆頭将軍。朱真将軍率いる騎兵団は大陸最強と名高く、よく帝国王禅将軍の騎馬隊とどちらが強いのかと噂される程である。
"天覇十傑"の一人で、常に冷静な猛将である。常に近寄りがたい雰囲気を醸し出しているが、部下の面倒見は良い。年齢は、割りと若い。
「諸葛麟」
武力 非力
知力 割りと高い
祖父 が最強
龍国丞相を務めている。
"三英傑"の一人、龍大聖の孫娘。ちなみに祖父は相国。
祖父である龍大聖程では無いが、かなり知略に長けている。どちらかと言うとほのぼの思考で、戦争はあまり好きなタイプでは無い。
餡蜜大好き。甘露大好き。食べるの大好き。でも太るのがちょっぴり怖い、お年頃……。
「諸葛龍」
武力 秘密
知力 100
超絶 カッコいいお爺ちゃん
龍大聖と呼ばれる龍国の英雄。祖国を救った英雄であり、大陸一の天才軍師と言われている。三国連合軍の副将を務め、二十万を超える大軍勢の指揮を一手に担っている。
「楽勝」
武力 そこそこ
知力 割りと高め
相当 ヤバい奴
狼国の副隊長。司馬晋の配下である。元盗賊の頭で、残忍な性格をしている。司馬晋に実力を認められ、配下になった経緯がある。
「諸葛龍」
武力 97
知力 97
年齢 19
四十年前の若かりし頃の龍大聖。この大陸の戦術を確立させた天才であり、救国の英雄である。
「王凱」
武力 98
知力 52
当時 最強
王禅将軍の祖父。間違い無く、当時最強の将軍である。ちなみに王禅将軍の母方の祖父である。王禅のお母さんも、有名な将軍だったりする。
「村雨」
武力 94
知力 94
当時 は大陸一の知将
龍大聖が戦術を確立させるまで、大陸最強の知将であった。龍大聖が編み出した兵法により、昔の軍師は今と比べると、イマイチの評価と成り下がった。当時は最強なのよ?




